P5 通 信
NO.95
平成9年8月1日

暑中お見舞い申し上げます。

 総会屋に対する利益供与で野村証券、第一勧業銀行に続いて山一証券に対して捜査がおよび、連日のように新聞、テレビで報道されています。
 総会屋は、現実に暗躍し企業組織の弱いところを突いてきます。理想と現実の隙間をついて、企業は、その資金力から甘い汁を吸おうと狙っている総会屋など闇の社会の格好の餌食となる場合が少なくありません。
 理想では、会社は株主によって主催されているとされますが、大部分の株主は、株式の取得は投機目的であったり利益の配当を求めるだけで、株主総会で自らの権利を行使しようとする株主は僅かしかいないのが現実のところです。そこで会社は、取締役あるいは代表取締役が株主総会を取り仕切り、実体は株主より取締役などが会社を支配しているのが実際です。
 学者は、それじゃまずいと考えたのでしょう。株主の強化の制度を打ち出し(昭和56年の改正など)、少数株主にも株主総会で議題を提案する権利を認めました(232ノ2)。ただし、提案できる株主は、六ヶ月以上前からその会社の株式の1%以上か300株以上の株式を持っている必要があります。この1%基準で株式を取得するとすると野村証券の資本金は1、800億円ですので18億円の株式を、山一証券ですと12億円の株式を取得する必要があるのですが.....
 そこで、総会屋はこの株主提案権を武器にして会社に圧力を掛けることができるようになりました。もちろんそれだけでは、片手落ちなので、消極的には総会屋に対する利益供与の禁止規定(294ノ2)を設け、会社は、会社荒らしをする株主に対して利益を与えてはならないとして、この違反に対しての罰則規定を設けました。
8月の税金予定
個人事業税の納付(第一期分)
個人の住民税の納付
労働保険(第二期分)の納付
通常月末
 これは総会屋対策に設けられた規定ですが、会社に対して総会屋に利益を与えないようにするとした、総会屋対策としては間接的な規定となっています。
 今報道されている事件は、この利益供与が問題とされています。
 結局、理論的に必要とされる株主の地位の向上は、総会屋の地位と美味しいところも併せて向上させることになりました。もちろん企業には社会的責任があるのですから総会屋との関係を断ち切る必要があります。しかし言うのは簡単ですが、『深夜に突然、公にしていないはずの自宅の電話が鳴る。淡々とした口調で「奥さん同じスーパーで買い物しているね」「娘さんはよく渋谷に寄り道しているじゃない]・・・・(日経97.8.1)』となるとなかなか難いところです。これと関係があると明らかにされているわけではありませんが、阪和銀行副頭取の射殺事件も住友銀行の名古屋支店長の射殺事件のいずれも解決されていません。理想だけで解決しようとすればあまりに悲惨な結果をもたらします。
 野村証券も山一証券(まだ解明されているわけではありませんのでチョッと勇み足ですが)も、明らかに反社会的団体に不正な利益を供与したとされていますので、社会的な制裁を受けることになるでしょう。しかし野村証券を含めた四大証券会社株式の購入資金やそれら証券会社への運用資金として275億円の運用資金を不正に貸し付けた第一勧業銀行に対してはもっと大きな責任があると思わざるを得ません。過去には銀行は、高い社会的地位を有して信頼を得ておりました。それは国からの保護もあったでしょうが、社会に対して大きな貢献をしてきて勝ち取った地位・信頼であったことも確かでしょう
 しかしここにきて銀行に対して批判も多くなってきています。
 保険会社と提携して保険料の貸付をして保険加入を推進したものでは、変額保険について裁判で争いとなったものも出てきています。新聞報道でもありましたが、破たんした日産生命の個人年金の加入に大がかりに提携した銀行もあり、未だに高い金利を支払っている加入者もいるようで、大蔵省から利率の引き下げの指導を受けています。 これらは保険加入者の個人的な責任がもちろん一番重いのですが、銀行との関係を保つために加入をした人も少なく無いようです。地位と信頼の重みを忘れて金儲けに走ると遙かに大きなものを失うことになりかねません。これは我々も含めてあらゆる社会で当てはまることで、それぞれが自壊しなければなりません。
 生命保険の話が出たので、この話を少ししておきます。日産生命の経営破綻は、保険業界の不倒神話を崩しました。それに伴いルールのない破たん処理は、多くの問題点を露呈しました。 今契約者は、銀行への預金のように生保についても分散加入により、危険負担を分散させようとしていますが、保険の加入を一社から数社に分散しようとする場合でも、今まで入っている積立型の保険を解約して分散しようとしますと、加入年度によっては、不利になる場合も出てきます。10年ぐらい以前の保険では5%以上の高い予定利率が設定されていましたので、それを解約して現在の3%以下の保険に加入し直すのはあまり得策とはいえません。 もちろん日産生命のように経営破綻をきたす生保会社の契約では、保険金額の減額がされると結果的にはそれ以上の損害となってしまいます。しかし今までは、国からの指導と手厚い保護によって、厚いベールの中にあり、通常の人がその保険会社の内容がどうなっているか知ることはできません。このため、どこの保険会社の保険契約を分散したらいいのかなかなか判り難いのが実状です。
 私どもにも確かな情報が流れてきているわけではありませんので、真偽のほどは判りませんが、ある情報誌(経済トレンドレポート 浅井情報ネットワーク1997年5月10日号)によりますと、危ない生保会社の順として、東邦生命、日本団体生命、千代田生命、協栄生命があげられておりました。こちらで確認をとっているわけではない情報をあえて掲載した理由は、情報の公開なしに突如契約者に責任を押しつけられる危険があるためであり、ささやかな防御の一つとして参考までに取り上げました。またこのような情報は一部週刊誌でも見受けられますが、まことしやかにこれら会社名が公表されるのは、むしろ情報公開されない業界の体質にあるのではないでしょうか。
 次に破たんする生保会社が出るかどうかは私どもには判りませんが、日産生命の破たんとその後の処理によって生保業界全体の信用をなくしたことだけは確かでしょう。

消費税の話は、お休みさせていただきます。

P 5 Corner

ドライシラタキ

 コンニャク芋は、日本では群馬県が産地として有名ですが、元々寒さに弱いこの芋、原産地はインドネシアだと言われています。しかしインドネシアの現地では食用にされることもなく見捨てられていたそうです。
 いま、ジャワ島北部のブリタル台地には広大なコンニャク芋畑が広がっています。最近になって、現地の日系人の方が、これらの芋を栽培製造して日本にコンニャクを輸出しています(朝日新聞97.6.29)。
 特に乾燥した糸こんにゃくは、日本からの優れた技術力とによって日本で注目を集めています。特に乾燥しているため保存に適し衛生的であること、お湯にもどすのも簡単であることなどから主婦だけではなく、業務用としても使われ始めているそうです。
 この製品の技術と製品の輸入は、中江事務所で仕事をさせていただいております東紀物産株式会社が行っております。
 今月は、イソップ物語はお休みとさせていただきます。

編集後記
8月の声を聞いた途端にまた真夏の暑さがやってきました。今年は冷夏
になると言う予想ですが、さてどうでしょうか。O-157も相変わらずあちこ
ちに出没しているようです。体調に気を付けてこの夏を乗り切って下さい。
編集発行 株式会社プランニングファイブ


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Last Updated: 2/AUG./1997