P5 NEWS SHONAN
TAX
OFFICE NO.257
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平成23年3月1日
常用漢字表
だんだん日の出が早くなってきました。最近では昼間は暖かく、春がすぐそこまで感じられます。所得税・贈与税などの確定申告も年々早めに資料を頂き、もう終盤戦に架かってきました。有り難うございます。
平成23年度の税制改正(法案、内閣提出第2号)は、1月25日(火)に国会に提出されました。しかし税制改正法案は2月15日に衆議院財務金融委員会に付託されましたが、まだ審議らしい審議はほとんど行われていません。この改正法案は予算関連法案の一つですが、制定されないと予算の実施が困難になるものです。
改正税法の新旧対照表(改正前と改正後が対比して表示されているもので、変更部分が判るように下線等で表示されている)では、「すべて」が「全て」に変更されています(法人税法2条十二の八など)。別にどうでも良いだろうと思ってしまいますが、平成22年11月の「常用漢字表」の改定を受けて、「公用文における漢字使用等について」が定められましたので、今年1月1日から提出される法案から適用されています。
同様に、「たな卸資産」が「棚卸資産」とされました(法人税法29条など)。この改定(決定)は、平成22年11月30日から施行され、法律の改正のときもこの決定によります。ただし文語体をそのまま使用しているような古いものについては適用除外とされています。
一般の文書には、原則として適用はありませんが、定款とか規約など重要で長期に使用されるものは、これによった方が良いかもしれません。もちろんこの通信では、無意識のうちに?原則無視します。でも論文などはできるだけ気をつけてください。
今回は、気をつけておきたい漢字使用の取り決めをお話しいたします。
3月の税務・総務予定
(税務)
*所得税・贈与税の申告期限・納付期限 15日(火)
*個人の青色申告の承認申請期限 15日(1月15日以降新たに業 務を開始した場合には、その業 務開始の日から2か月以内)
*個人消費税の申告期限・ 納付期限 3月31日(木)
(総務他)
*新年度の昇級・給与査定
*ホワイトデー義理チョコ対策
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【法令における漢字使用等】
「さかのぼる」が、「遡る」になり(通則法58条B)、「給付補てん金」が「給付補填金」とされました(法人税法68条)。
漢字の方がしっくりするものばかりです。そのほか「毀損」、「進捗」、「関わる」、「明瞭」や「隠蔽」(「隠ぺい」は、法人税法34条に規定がありますが、改正になっていないようです。)などがあります。
常用漢字表で「破毀」が使えるようになりましたが従前の通り「破棄」をそのまま使います。同じようなものに「理窟」が使えるようになりましたが、今まで通り「理屈」を使います。
2.漢字が使えますが、仮名で表記するものとしては、
かなり、ふと、やはり、よほど、おって などがあります。
また「御案内」、「御挨拶」は「ご案内」「ご挨拶」とは書きません。
3.常用漢字表に無いものや、用いられない音訓を使うものについて仮名で表記するのは適当ではないとして振り仮名を付けます。
これには、 「按(あん)分」、「瑕疵(かし)」や「涵(かん)養」などがあります。
4.原則として、単語の一部だけを仮名にするのは、できる(「出来る」は使いません)だけ避けることになりました。
「橋りょう」、「し尿」、「てん末」、「排せつ」や「漏えい」とします。
また、「改訂」と「改定」についてですが、「改訂」は書物などの内容に手を加えて正すことという意味についてのみ用い、それ以外の場合は「改定」を用います。
ほかに読み間違えるおそれのない場合は、( )の中に示すように、送り仮名を省くことができます。
必ず、必ずしも、初めて、果たして、再び、我が国(これは、「わが国」と書く方が好きだったのですが)など。
(3)複合語のうち,次のような名詞には送り仮名を付けません(「送り仮名の付け方」通則7)。
請負 売上(高) 売主 買主 貸家 借入(金) 積立(金) などです。
何となく無意識に使っていたり、ワープロでは頑なに送り仮名が付けられているものばかりです。
あまり中身はありませんが、今年度(23年度)の税制改正で、衆議院財務金融委員会における野田財務大臣の提案理由をあげ
次に、所得税法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
・・以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、個人所得課税について、給与所得控除の上限設定及び役員給与等に係る給与所得控除の縮減、成年扶養控除の対象の見直し、上場株式等の配当等に係る軽減税率の特例の適用期限の延長等を行うこととしております。
第二に、法人課税について、法人税の基本税率及び中小企業者等の軽減税率の引き下げ、これにあわせた課税ベースの拡大、雇用促進税制及び環境関連投資促進税制の創設等を行うこととしております。
第三に、資産課税について、相続税の基礎控除の引き下げ及び最高税率の引き上げ等の税率構造の見直し等を行うこととしております。
第四に、消費課税について、地球温暖化対策のための課税の特例を創設する等の措置を講ずることとしております。
第五に、市民公益税制について、認定特定非営利活動法人等に寄附をした場合の所得税の税額控除制度を創設する等の措置を講ずることとしております。
第六に、納税環境整備について、納税者権利憲章を作成するものとするとともに、更正の請求期間を延長する等の措置を講ずることとしております。
その他、エネルギー需給構造改革推進投資促進税制の廃止等既存の租税特別措置の整理合理化を図り、あわせて住宅用家屋に係る所有権の移転登記に対する登録免許税の特例等の適用期限を延長するなど、所要の措置を講ずることとしております。 |
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税理士制度−13
前回は、臨税についてお話しをしました。さて、その続きです。
昭和39年の税理士法改正法案の不成立後、長らく改正が遠のき、昭和53年になって改正案が国会に上程され昭和55年に税理士法改正(4月8日成立、昭和55年法律26号)が行われました(「55年改正法」と呼ぶことにします。)。もちろん昭和39年から昭和53年までは、何も議論されていなかった訳ではありませんが、大きな問題がいくつもありました。
このため55年改正法は大幅な改正となり、現行法の基になっています。この改正では、「税理士使命の明確化、税理士業務の対象となる税目の範囲の拡大、税理士試験制度の整備合理化、登録即入会制度への移行、懲戒手続の合理化等を図るほか、他人が作成した申告書の審査に関する書面添付制度並びに助言義務に関する規定を新設する等、所要の改正を行おうとするもの」と説明されています(昭和55年4月4日、世耕参議院大蔵委員長から参議院本会議での報告から)。
まず「税理士使命の明確化」とは、それまでの税理士法第1条の「税理士は、中正な立場において、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務を適正に実現し、納税に関する道義を高めるように努力しなければならない。」の改正です。「中正な立場」の「中正」は「中立公正」を短くしたもので、「中性」と間違えそうです。この「中正」は、必ずしも明確でないとして議論になりました。廃案となった39年改正法でも「中正な立場」の字句の削除で問題となっていました。
特に、納税者の委嘱を受け,報酬を受けて業務を行っている税理士が何故中立なのかという議論がありました。租税法を無視して委嘱を受けた納税者の利益だけ図れば良いという暴論は、もちろん理解できるところろではありませんので55年改正法では、「税理士は、税務に関する専門家として公正な立場において、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する・・」とされていましたが、参議院で修正され、「申告納税制度の理念にそって、」が追加されました。
最終的には、現行の税理士法1条の「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」とされました。
この続きはまた。
編集後記 確定申告がまだの方は、早めにご連絡ください。何を思ったか今月号は漢字の話をしてしまいました。なお、詳細は、P5のホームページに該当文書をリンクしておきます。
編集発行 株式会社プランニングファイブ
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