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平成22年8月1日

 
熱中症
 

 7月は、活発な梅雨前線の影響で、広範囲にわたって記録的な大雨になりました。梅雨明けは、関東地方では、平年の7月20日より3日早い17日でした。今年の梅雨入りは平年より6日遅く、梅雨明けが3日早かったので、結果としては、短い梅雨でしたが、短期間にまとまった雨が降った感じです。

 

 梅雨明け以後日本列島は、本格的な猛暑に見舞われています。

 

 この猛暑の影響で熱中症による死者が増加しています。そのうちの7割近くが、65歳以上のお年寄りだそうです(Asahi.com、10/7/22。熱中症による死亡件数は、年平均500名にも上ります。最近一番多かったのが平成6年(1994年)の600名でした。60歳ぐらいまでは男性が極端に多く、高齢になると女性が多くなります。なお、今年は、梅雨明け以降の猛暑で、熱中症による死者数は、7月までで既に200人を超えていると言うことです。長生きのリスクは、色々なところに潜んでいます。

 

 また、今年は台風の発生は少なく今年は3号(発生7月19日、消滅7月23日)です。

 昨年(2009年)は、7月までで6号、2008年は8号でした。台風は、あまり来て欲しくないのですが、例年20号ぐらいは発生しますので、9月、10月に集中して発生するかも知れません。

 

 日本近辺の地震は、人が感じる震度1以上で月平均100回程度あります。昨年(2009年)12月は極端に多く、400回近い地震が発生しました。今年に入って震度5弱の大きな地震は3回(福島県沖が2回、沖縄近海が1回)です。6月28 日時点では、気象庁は、東海地震に結びつくような変化はみられないとしています。

 火山は、火口周辺警報として桜島がもっとも警戒レベルが高く、入山規制となるレベル3。火口周辺規制のレベル2は、三宅島と霧島山(鹿児島)などとなっています。伊豆諸島では、伊豆大島も火山活動が三宅島と同様に高くなっています。

 















 


8月の税務・総務予定
(税務)
*個人住民税2期分の納付          通常月末
*個人事業税1期分の納付          通常月末
*個人消費税の中間申告・納付
 (平成21年分の確定消費税額が48万円を超え400万円以下)
                                                8月31日まで
                                    振替納税 ・・9月28日(火)
(総務他)
*夏期休暇の実施
 

 

 相続税の申告をさせていただいた相続人の方から、「1千万円の相続財産を取得したのですが、翌年所得税の申告をしなければいけないのでしょうか。」という質問を頂くことがあります。 所得とは、収入とは違いますが、簡単に言いますと経済的な価値が懐に入ってくることを言います。ただし不動産が値上がりしても、実際に売る(移転する)までは、未実現として所得とはしません。

 

 確かに相続で財産をもらっても、その相続人に経済的利得が発生しますし、それならば所得税の対象になるのではないかと思われるかも知れません。しかし、相続税も課税されて、また同じ財産について所得税が課税されたのでは、結果としてその相続財産は、手元にほとんど残らないことになる恐れがあり、国民感情としては納得できないのではないでしょうか。それならば、相続税をやめて所得税だけにすればという意見は置くとして、所得税法には、非課税規定が設けられています(9条)。そこには、1号から17号まで規定をおき、恩給だとか遺族年金(3号)、給与所得者の通勤費(5号)やノーベル賞(13号)などが挙げられています。

 

 その中に「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したとみなされるものを含む。)」として(15号)、相続税・贈与税の対象となる財産の取得は、非課税とされています。すなわちある財産の取得が、相続税や贈与税の対象になるものは、所得税の課税対象にはしないとしています。

 

 ちなみにに所得税の非課税の規定は、所得税法だけに規定されているわけではなく、各種法律に非課税の規定があるから厄介です。例えば雇用保険については、雇用保険法25条で「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。」とされていますし、宝くじの当せん金の非課税は、当せん金付証票法13条に、雇用保険の失業給付は、雇用保険法12条に規定されるなど所得税法以外の非課税の規定は100近くに及んでいます。

 

 その中で、相続により取得した年金で受け取る生命保険金が所得税で課税されていることが、先ほどの所得税法に定める非課税規定に反するのではないかという裁判が起こされ、一審の長崎地方裁判所は、二重課税だとして納税者が勝訴し、二審の福岡高等裁判所では逆転して国側が勝訴して所得税の課税を認めました。そして最高裁判所の判断が先月(7月)6日にあり、納税者の主張を認め所得税の課税対象とならないとした判断をしました。

 

 これに対して、早速、翌7日に財務大臣から、これまでの解釈を変更して、「過去5年分の所得税については更正の請求を出していただいたうえで、それを経て減額の更正をするという形の対処をしていきたいというふうに思います。誠意を持って対応していきたい」とした発表を行いました。また、5年を超える部分についても今後、検討するそうです。

 

 何故、早期にこのような対応をとらなければいけなかったのでしょうか。裁判所の判断は、一つの法律解釈の判断で、その裁判官の独自でな合理的な解釈判断です。すなわち裁判所の判断=それ自体法というわけにはいきません。ですから地方裁判所、高等裁判所の判断で、国がこれほど早急な対応をすることはまずありません。しかし最高裁の判断は、意味が違います。同種の事例が裁判になったとして、地裁・高裁の裁判官は、正しいと思う判断をすることは当然認められるでしょうが、最高裁がするであろう判断と異なる判断をすることは、訴訟の遅延や当事者に無用な負担を強いることになりますので、下級審裁判官も最高裁の判断に反しないことが、上訴しても破棄されない判決をすることになります。

 

 この意味では最高裁の判決は、下級審の裁判官を拘束することになります。ですから、今後裁判をしても結果は見えていますので、国は早急に対応せざるを得なかったのです。

 

 最高裁の判断は、このように非常に重たいのです。しかし、最高裁の判断の理由について、下級審判決を踏まえて明らかにしておくことは重要です。表面だけ捉えると間違った理解になることもあります。

 

 後先になりましたが、この事件の場合には、納税者は、受け取った年金は所得税は非課税だとし、年金から徴収された源泉所得税の還付を請求して、22万円の還付を求めましたが、税務署は最初5万の還付だとし、裁判で争う前には20万円の還付だとして、ほとんど納税者の主張と代わりのないものになっていました。「マー良いか」としなかった納税者は、大きな影響を与えたことになりました。この結果、生保年金以外に相続をした金融商品でも、今回の判決を踏まえて対応しなければならないものが出てくるかも知れません。

 

 申告をさせていただいているお客様には、調査をして事務所としても対応させていただきます。

 

 一部省略

 

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税理士制度−7

 

 前回は、シャウプ勧告時に遡上に上った特別税務代理士についてお話しいたしました。

 

 今回は、やっと税理士法に入れそう。

 戦後の税制改正で、所得税や法人税などの主な租税に申告納税制度が採用されるなど税制民主化の方向に舵が切られ、従来の税務代理士のあり方にもその性格を変えざるを得ないことになりました。そこにシャウプ使節団による、税務運営の民主的な発展を図る税務代理業務の重要性が指摘されると共に、税務行政の適正円滑化を推進すべきであるとする勧告を受けて、昭和26年2月、納税者の代理人となる新しい税理士法に対する基本方針・要綱が作成され、同年3月に税理士法案として国会に提案されました(日本税理士会連合会『税理士制度沿革史』41頁、昭和62)

 

 基本方針では、「現行税務代理士制度を改正し、税務代理士の名称を税理士と改称するとともに素質の向上及び申告納税制度の適正な発展に資する等のため、新たに試験制度及び登録制度を採用して、人格及び能力ともに適切な人材を多数集めることを図る」こととして税理士制度が創設されました。このように戦後の混乱期、人材を多数集めることが急務だったのです。

 

 なお、原案では、弁護士について税理士業務を行うに際しては税理士である肩書きの附記と税理士士登録を求めていましたが(要項(四)権利義務(ニ)、(五)税理士の資格、試験及び登録(イ))、「通知弁護士」として現行のような曖昧な形でスタートしました(税理士法51条、前掲『税理士制度沿革史』59頁)

 なまた、要綱においては、「附記」として公認会計士関係で、「(1)公認会計士試験科目には、遅くとも税理士法施行の日から1年後は、租税法を加えること。(2)租税法を科目に含まない公認会計士試験に合格して登録する者の登録には、租税法を含む特設の義務講習を少なくとも30時間受けることを要件とする。」とされていましたが、公認会計士試験に租税法が追加されたのは、平成18年1月からで、法人税など狭い範囲に限定されています。ところで試験範囲にある租税法総論を『公認会計士試験論文式・租税法』(中央経済社)に書かせていただいておりますが、毎年出題がなく、年々縮小されて風前の灯火

 

  余計な話をしてしまいました。このあとは、また次回。

 

 一部省略


編集後記

 暑い日が続きます。身体に気をつけてお過ごしください。なお、申し訳ございませんが、事務所でも夏休みを頂きます。よろしくご理解のほどお願い申し上げます。涼しくなるのが待ち遠しい!!        

                               編集発行 株式会社プランニングファイブ