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平成22年7月1日

役員報酬の個別開示
 
 

 梅雨入り後、関東地方でも暑い日が続いています。今年は、5月6日の沖縄・奄美に続いて東北北部の6月16日の梅雨入りを最後に北海道を除く日本全国で梅雨に入りました。

 関東甲信は、6月14日。一週間近く遅い梅雨入りでした。梅雨明け予想は、平年は、7月20日ごろ(昨年は7月14日)ですので、まだ梅雨は続きます。

 そういえば、昨年の近畿地方は、8月3日梅雨明けですので、関東地方から半月も遅かったことになります。果たして今年は? 

 今年の3月決算から上場会社の「役員報酬の個別開示」が義務づけられ、新聞報道などで対象者の名前が出ていました。このワイドショー的話題を取り上げることにします。

 トップは、ご存じのように日産自動車のカルロス・ゴーン社長(8.9億円)、続いてソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長(8.1億円)で、三位は日本人の大日本印刷の北島社長(7.9億円)だそうです(東洋経済2010.7.10、21頁)。

 この上場企業などに1億円以上の役員報酬の個別開示を義務付ける制度は、金融庁の「企業内容等の開示に関する内閣府令」として2月12日に公表、意見募集後の3月31日に公布・施行され(平成22年内閣府令12号)、最初の開示となりました。

 この役員報酬の開示に関する金融庁の考え方は、

「・・1億円を基準とした点について、現状における日本の上場会社の取締役の報酬額の平均値は、有価証券報告書によれば約2,500 万円です。日本の役員報酬が米国等における役員報酬に比べて低いとの指摘を踏まえ、個別開示の対象としては、この額より一定程度高めに設定しました。日本に比べて高額な役員報酬を支払っていると言われる米国において、上場企業約3,400 社のCEO の報酬額の中央値は約1.9 百万ドル(1億7千万円)、最頻値は0.4 百万ドルから0.6 百万ドルの付近との調査があり、1億円前後にその多くの企業が分布していることがうかがわれます。」と(http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100331-8/00.pdf)。

 

 

月の税務・総務予定
(税務)
 *納期特例適用者の源泉所得税の納付    12日
 *所得税予定納税額の減額申請      15日
 *所得税予定納税額  第1期分の納付   8月1日
 *固定資産税及び都市計画税の第2期分の納付  通常月末

(総務他)
 *社会保険月額算定基礎届 10日
 *労働保険の更新手続きは、6月1日(火)から7月12日(月)まで

 

 

 意見募集では、報酬を1億円未満に抑えることを目的としているのではないかという意見や役員のプライバシーの保護で問題があるという意見に対して金融庁の見解が載っていますので、興味のある方は、ホームページをご覧ください(前掲サイト)。

【路線価の公表】

 国税庁は、平成22年分の路線価及び評価倍率を記載した路線価図等を7月1日に国税庁ホームページに掲載・公開しました。

 全国平均の下落率は昨年比8.0%。昨

年の5.5%よりさらに大きく下落したことになります。

 一番下落率の大きかったのは、東京銀座の前年比26%の下落。1uあたり3,100万円が2,300万円になりました。次に大きな下落は、名古屋の名駅通りと大阪の御堂筋で、ともに20%の下落。名古屋は1uあたり700万円が600万円に、大阪は900万円が700万円に下落しています。

 なお国税庁ホームページには、平成20年分から22年分までの路線価図等が掲載されていますので、興味のある方は、ご覧ください。

【納税者番号】

 政府の国家戦略室は、6月29日、「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会・中間取りまとめ」として、国民の所得把握や社会保障に利用可能な共通番号制度の選択肢を提示しました。その中で、複数の共通番号制度案を提示しています。

 昔から何度も出てきた納税者番号制度の拡大版です。古くは、昭和55年に納税者番号に代わるものとされ導入された“少額貯蓄等利用者カード制度”、いわゆる“グリーン・カード制度”があります。これは批判も多く、結局日の目を見ること無く昭和61年に廃止されました。その後、昭和63年に政府税制調査会の納税者番号等検討小委員会では、プライバシー保護などの問題点を指摘した上で、利子所得の総合課税に向けて平成4年に結論を出そうとしました。

 そして平成9年には、金融ビッグバン(金融大改革)に併せて大蔵省は納税者番号制を導入する方針を固めたとた報道がなされました(日経H9.11.1朝刊)。その時の問題は、「納税者番号」から納税・申告など税金以外への転用が問題になりました。早い話が、行政に情報流失・運用に関してそれほど信用がないというところでしょうか。

 今回も基本的には、以前の議論とあまり代わりがありませんが、いくつかのパターンを提示しています。

 「中間とりまとめ」で出てきた選択肢としては、

 T.利用範囲をどうするか

 U.制度設計をどうするか

 V.保護の徹底をどうするか です。

T.利用範囲をどうするか

 まず、共通番号の利用範囲について

 A案 所得把握と税徴収が可能で、税務分野のみに限る「ドイツ型」

 B案 税務と社会保障の両分野で利用できる「アメリカ型」(社会保障の現金給付に利用する場合(B-1案)社会保障情報サービスに利用する場合(B-2案)の2案に分かれる)

 C案 税務分野と社会保障分野に加え、住民登録など幅広い行政分野で利用できる「スウェーデン型」

 の3案を示しました。

 諸外国で、納税者番号制度導入が古く、代表的なものに、アメリカの納税者識別番号(Taxpayer Indentification Number:TIN)があり、1962年から導入されました(それ以前にも社会保障番号SSNとして導入されていました。)。アメリカでは、1962年のTIN法によって自己の納税申告書にそのTINを記載すること及び給与、利子、配当その他の支払調書等に受取人等のTINを記載することが義務づけられました。

 すなわち納税者番号の導入は、あらゆるところに番号記入が強制され、一体的に把握されることを意味します。

U.制度設計をどうするか

 この共通番号をどうするかについては、@基礎年金番号、A住民基本台帳に利用されている住民票コード、B住民票コードに対応した新たな番号の3種類を挙げています。

 基礎年金番号は国民全員に付番されておらず、住民票コードとともにプライバシー保護の観点から課題が残ると指摘されています。また、新たな番号は住民票コードと対応させるならば、プライバシー保護の問題を避け、投資コストも抑制できるとのことです。

 情報漏れによるプライバシーの侵害を懸念する声を踏まえ、情報管理方式として一元管理方式と分散管理方式を選択肢としています。当然、分散管理方式の方が、相対的なものですが、情報漏れが少なくなります。

V.保護の徹底をどうするか

 プライバシー保護の方法については、国民の個人情報に対する「国家管理」への懸念や「不正行為」及び「目的外利用」のリスクが挙げられます。対応策として、第三者機関を政府外に設置することや、ICカード導入による確実な本人確認の仕組みなどを検討するとしています。第三者機関については、昔から出ていたことで、目新しいことではありません。要は、罰則の強化を含めた立法上の対応がまず必要です。

 

 省略

 

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税理士制度−6
 

 前回は、シャウプ勧告時の米国の弁護士制度なのについてお話しいたしました。

 さて、シャウプ勧告における税務代理の話を進めたいと思います。

 勧告で興味深い点の一つに、税務代理を担うべき会計専門家としての当時の会計士に厳しい指摘もみられています。例えば「日本の当面する大問題の一つは、この専門家を殆ど全く欠いていると言うことである。」と。また「・・客観的な試験を弱めるような企みに対しては今後一層強力に抵抗すべきである。・・会計士の恐ろしい欠乏も、これを標準の引き下げによって満たしてはならない。」としている(E節付帯問題1会計)。その後の平成15年の公認会計士の増員についての改正については、追ってお話しすることにして、税理士制度の話を続けます。

 国税庁は、昭和25年度シャウプ税制使節団にたいする提出資料として「現行制度改正に関する要綱類」(資料集その二149頁)で、税務代理士制度関係として税務代理士法改正案大綱では、税務代理士を特別税務代理士税務代理士の二本立ての制度として考えていたようです。特別税務代理士(「特税」と言うことにします。)は税務代理士の行う税務代理及び納税相談の他に税務官公署に提出する財務諸表の会計監査の意見表明まで含めたもので、申告の精度をより高めて調査省略を担保する制度とした位置づけとしたようです。この特税については、弁護士には会計学の試験を求めていました。

 しかし、この特税が行う会計監査意見表明は、公認会計士の証明業務と重複するとして、結局、税務代理士一本として名称を税理士に改め、税理士法の創設へと進んでいきますが、特税制度は、申告精度を上げ税務調査の省略まで目指した点では、興味深いものでした。一方、新たな検証制度が必要な点や特税の責任の重さから採用する所まではまだ熟していなかったのだろうと思われます。

 このあとは、また次回

 

 省略

 


編集後記

 梅雨の影響で各地に大雨の被害が報じられ、暑い参議院選挙戦が繰り広げられています。こちらは、暑さと、湿気で一足早く夏ばて気味ですが、暑気払いを楽しみに少しづつ業務をこなしています。

 編集発行 株式会社プランニングファイブ