P5 NEWS SHONAN TAX OFFICE NO.246
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平成22年3月1日
今年の税制改正
1〜2月は寒い日が続きましたが、ここにきて日によっては暖かくなるなど、少しづつ春が感じられます。
3月に入りますと、所得税の確定申告期限も後わずかになります。申告の都度お預かりした資料と申告の控えをお返ししていますので、すでに手元に届かれている方も多いと思います。
電子申告の場合には、通常の申告書等の他に、電子申告で行いましたという「電子申告完了報告書」、この申告で何を電子送付し、何を直接税務署に送ったかの区分を記した「申告書等送信票」や、税務署からの「申告についてのお知らせ」を併せて返却させて頂いております。
また、この電子申告の内容を再度確認頂くために、申告年月日や所得金額について記載した確認書に押印して、ご返却頂いております。他にも医療費の領収書以外で申告に使ったすべての資料のコピーもお送りしていますので、それを見て、翌年の申告のために資料の保管をお願いいたします。
今年22年度の税制改正は、先月(平成22年2月)5日に国会に提出され、16日に衆議院に付託され、19日の財務金融委員会で審議が始まりました。
@ 個人所得課税について、年齢16歳未満の扶養親族に対する扶養控除及び特定扶養親族のうち年齢16歳以上19歳未満の者に対する扶養控除の上乗せ部分を廃止します。
A 法人課税について、資本に関する取引の税制の整備や特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度の廃止を行ないます。
B 国際課税について、外国子会社合算税制を見直します。
C 住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税措置を拡充します。
D 揮発油税等及び自動車重量税に係る十年間の暫定税率の廃止とたばこ税の税率を引き上げます。
E 所得税の寄附金控除の適用下限額を引き下げます。
F 所得税、法人税及び相続税等の脱税犯の罰則の強化を行います。
G 租税特別措置を整理します。
3月の税務・総務予定
(税務)
*所得税・贈与税の申告期限・納付期限 15日
*個人の青色申告の承認申請期限 15日
(1月15日以降新たに業 務を開始した場合には、その業務開始 の日から2か月以内)
*個人消費税の申告期限・納付期限 3月31日
(総務他)
*新年度の昇級・給与査定
*ホワイトデー義理チョコ対策
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まだ、国会を通過して公布・施行されているわけではありませんが、大事だと思われるところを紹介します。
これは、子ども手当や高校授業料の無償化に伴って、所得税の扶養控除が
年齢区分 |
現行 |
改正 |
〜15歳 |
38万円 |
0円 |
16〜18歳 |
63万円
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38万円 |
19〜22歳 |
改正なし |
22〜69歳 |
38万円 |
改正なし |
70歳〜 |
48万円 |
改正なし |
もちろんこの表は、扶養控除の対象になる場合の控除額で、また70歳以上の場合に同居であれば10万円控除額が加算されます。
また住民税についても同様の改正が行われます。
イメージで言いますと、子ども手当の支給される中学生の扶養控除は廃止されます。高校生は、授業料の無償化に伴い減額され、25万円下げて38万円となります。高校に行かなくてもこの減額は同じ。それ以上の年齢の方については、今まで通りとなります。
このように区分が細分化され、生まれた日によって控除が異なることになります。
これは、来年23年度から適用になりますので、今年の分は今まで通りです。また、源泉徴収税額表も来年1月から変わることになります。
ちなみに配偶者控除については今後の問題として積み残しになりましたが、改正は必至です。
昨年の改正に引き続き非課税の範囲が拡大されます(措置法70条の2)。
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基礎控除 |
住宅資金贈与 |
21年 |
110万円
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+ 500万円 |
22年 |
+ 1,500万円 |
23年 |
+ 1,000万円 |
この場合、贈与を受ける人は20歳以上で、かつ、贈与を受けた年の合計所得金額は2千万円以下でなければなりません。これだけ所得がれば、贈与される方ではなく、する方だと思いますが。なお、贈与をする人は、親だけではなく祖父母からでも構いません。
もちろん22年に1,660万円(110+1,500万円)の住宅資金の贈与を受けて、23年になってもう一度1,110万円(110+1,000万円)の贈与を受けると言うことはできません。なぜ税法は、住宅建築市場にこれだけ優遇するのでしょうか?
平成18年に導入された特殊支配同族会社のオーナー役員に対する給与の給与所得控除額部分を法人税で課税した制度が、今年の4月決算法人から廃止されます(経過措置附則17条)。
この制度は、個人事業者が法人成りをした場合に役員報酬は法人税の損金(費用)に、所得税では、給与所得として課税され給与所得控除額が控除されるという課税ベースの剥落への対応を図るという趣旨だと言われています。
@ だれでもそう簡単に法人なりをするわけではない。
A 課税の対象となる法人が、個人のような一人オーナーとは限らない。
B 法人課税の場において個人事業主の所得と同列に比較することは筋が通らない。
C 法人に課税する給与所得控除額の内容は、概算経費、担税力の差によるもの、源泉徴収により早期に納税することへの負担調整だとか種々の見解があるが、この内容は考慮されずに制度ができあがっている。
D 毎月一定額に固定され源泉徴収される役員報酬と自由に使える個人の所得を二重控除の問題として単純に片付けることは適当でない。
などが言われていました。やっと仕切り直しとなりました。
これは、前記の「オーナー課税」と違い、要望のないところを課税強化するもので、政治主導項目ではなく財務省主導項目です。
相続税の課税価格計算の問題で、亡くなった方が事業に使っていたりお住まいになっているご自宅の土地については、評価を下げるという制度が縮減されます。影響の大きな改正です。
例えば、従来は、被相続人の居住の用に供されていた土地については、相続税の財産評価の際に、その居住用の財産を取得した相続人などの使用・利用形態に応じて240uまで80%の減額が、あるいは200uまで50%の減額が認められてきました。この場合に取得した相続人が居住しない場合であっても50%が認められていましたが、これをなくそうというものです。
これは相続課税制度全体の議論の中で出てくるものですが、とりあえず今年の4月から適用することになりました。これは今年度に改正される租税罰則の強化と同様に縮減・強化は先に実施して、本体は、ゆっくり見直そうと考えたのだと思います。
省略
P5コーナー
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税理士制度−2
前回は、明治末に大阪で実施された税務代弁者取締規則では、代弁者は申請ででき、その申請も警察署で行われたという話をしました。今回は、その続きです。
さて、この代弁者は、報酬も許可を受けなければなりませんでした。この「税務代弁者」として規制を受ける背景として、「この職業群の発生は、納税者にとって有利な面もあったが、他面納税者の税務知識に乏しいのを奇貨として、故なく審査請求、訴願その他不正不当の要求を納税者にすすめ、いたずらに税務官庁に対する紛争を惹起せしめて、これの解決の報酬として、不当な金額を要求したり、また事情によっては、その報酬の訴訟を提起して納税者を困窮させるなど、その弊害は決して少なくなかった。」と説明されています(日本税理士会連合会『税理士制度沿革史』11頁、昭和62)。
その後、昭和2年に計理士法が制定されました。以前は、年配の方に「計理士さんがきたよ!」といわれましたが、さすがに最近は少なくはなりました。なぜ計理士という名称を用いたかは、当時すでに自称「会計士」として用いられていた経緯もあり、資格として明確に分ける必要から、また会計学の別称として「計理」が使われていた(計理学)ことから採用されたと言われています。経理の方が、実際の仕事の内容と合致していたかも知れません。
この計理士、当時の税務代弁者の相当数が計理士の資格に横滑りし、業としては税務の代理が大きなウエイトを占めていました。
さて、昭和になって税務代理をしている税務代理士業としては、自称会計士、計理士、退職税務官吏、弁護士らでした。大阪で実施された税務代弁者取締規則は、一応の効果が認められましたが、全国的に統一した法制が確立されていなかったため不正・不当な行為が後を絶ちませんでした。国の根幹をなす税がこれでは、どうしようもないと言うことで、昭和17年の税務代理士法によって納税者に代わって所得税等の申告の代理をなしてこれを業にすることが定められました。
このあとは、また次回。
編集後記
所得税の確定申告期限・納付も後わずかになりました。大半の方は、申告関係資料も頂戴し、一部不足資料待ちとなっています。ご協力有り難うございました。まだ寒い日が続いていますので、お体お気をつけください。また、花粉症も春を待ちきれずに始まっています。インフルエンザのマスクが花粉症のマスクに変わってきました。
編集発行 株式会社プランニングファイブ
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