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      SHONAN TAX OFFICE NO.391  
  
 

 
令和4年5月1日
 
貸付用少額資産
 

 今年のゴールデンウイーク(GW)は、久しぶりに新型コロナ感染症による行動制限のない大型連休。しかし一方で、感染者数は高止まり傾向で、急増した今年1月の水準(100万人/月・厚労省発表)よりまだ高く、4月も130万人/月の感染が続いています。気のせいかも知りませんが、最近は身近の感染者が増えているように感じます。

 

 重症化して亡くなる方は、4月は1日平均50人で、決してて少なくありません。感染しますと、先月のこの通信でもお知らせしたように、半分ぐらいの方が何らかの後遺症を発症していますので、感染しないに越したことはありません。

 

 中国の感染者も増加しています。上海では、厳重に青いフェンスで区切られた東側のpudong地区は、3月28日から5日間の予定で隔離が始まりましたが、厳しい制限措置はまだ続いています。

 

 中国では徹底したゼロコロナ政策が採られていますが、習主席が6か月後に三回目の続投を控えているからかどうか分かりませんが、最近は“社会的ゼロコロナ政策”とでも言うのでしょうか、感染者を集中的に隔離する方向に向かっています。現在1億8千万人の人が、何らかの外出禁止措置がとられています。その理由は、ワクチン接種が遅れていて、2回のワクチン接種が完了した80歳上の人は51%、3回接種に至っては20%だといわれています。しかし総ワクチン接種数は、中国では人口の2.4倍、日本は2倍です。公表された数字では、4月の感染者数は12,000人/日で、死亡者数は60人/日ですので、人口の割には少なくなっています(4月25日の週WHO)。

 

 また、台湾でもコロナ感染が急拡大し、毎日1万人を超える感染者数を公表しています。台湾では、ゼロコロナからウイズコロナへ方針転換しているようです。台湾の2回のワクチン接種は8割、ブースターで6割で、日本ではブースター接種は5割を超えたばかりですが、余り変わりません。また感染後の隔離期間は、日本より大幅に減らし10日間から3日間に短縮するようです(4/28シンガポールCNA)

 

 高額な費用を払いワクチン接種を奨励してきた国では、その意味を問われることになり、多くの国で規制一辺倒というわけにはいかなくなっているようです。

 


5月の税務・総務予定
 

(税務)
*所得税(新型コロナウイルスの影響により申告等が困難で申告延長者)の振替納税選択の振替日 5月31日(火)
*令和3年分所得税延納分の納付期限             5月31日(火)
*個人消費税(新型コロナウイルスの影響により申告等が困難で申告延長者)の振替納税選択の振替日 5月26日(木)
*特別農業所得者の承認申請期限                16日(月)
*自動車税の納付     通常月末
*個人住民税特別徴収税額通知
            通常まもなく*軽自動車税の納付 4月1日の所有者  に課税       通常5月末日
*固定資産税・都市計画税の第1期分の 納付 通常4月〜6月中(横浜市5月2日)
*固定資産課税台帳の縦覧
 4月1日から20日又は最初の固定資産 税の納期限のいずれか遅い日以後の日 までの期間(横浜市4月1日(金)〜5月2 日(月)、東京都4月1日〜6月30日(木))

 

(総務他)
*社内清掃と設備点検
*令和4年度労働保険の年度更新の準備
 6月1日(水)から7月11日(月)まで

 

 
 令和4年の改正から
 

 興味深い改正の一つに「貸付用少額資産の取得価額の損金算入制度の見直し」があります。

 

 これは、減価償却資産を取得した場合、通常は耐用年数に基づいた償却計算をして損金算入が行われますが、少額資産については短期に損金算入を認める次の三制度が設けられています。

 

 @ 少額減価償却資産(取得価額が10万円未満は全額損金ができ資産に計上しなくて良いというもの・法令133))

 

 A 一括償却資産(取得価額が20万円未満の減価償却資産は3年で償却するというもの・法令133の2H)

 

 B 中小企業者の少額減価償却資産(取得価額が30万円未満のものを全額損金算入するというもの・措法67の5,措令39の28)

 

 すなわちこれらを適用すれば、資産に計上しないで良いという規定で、税金を考えたときの資産購入の目安になります。

 

 今年度の改正で、この三制度について、主要な事業として行われる場合を除き、貸付けの用に供したものが対象資産から除外されました。

 すなわち、上記の資産については、「貸付けの用に供した資産」が除外されることになり、早速、4月1日以後に取得・製作・建設をするものから適用されました。

 

 例えば9万円のドローンを500台購入しますと、今までは4,500万円が一気に損金(所得から差し引きます)になり、節税策として使われたようですが、今後はそれが貸付用では、ダメになったと言うことです。

 

 一方、ここでいう“貸付け”の範囲から除かれる「主要な事業として行われる貸付け」とは、この改正の契機となった節税・租税回避等を目的に行う貸付け以外の貸付け等が該当します。つまり、“通常の事業活動等の中で行う貸付け”であれば、これまでどおり、同制度等が適用できることになります。

 

 “通常の事業活動等の中で行う貸付け”とは、法令上では、「継続的に当該内国法人の経営資源(事業の用に供される設備……、事業に関する従業者の有する技能又は知識……)を活用して行い、又は行うことが見込まれる事業としての資産の貸付け」とされています。なんだか分かり難い文章ですが、ここでいう経営資源の「事業に関する従業者の有する技能又は知識」から

“租税に関するもの”が除かれています。これは、節税・租税回避を目的を行う貸付を除くという意味です。

 

 具体的には、改正の対象になる“貸付け”の範囲から除外されている「主要な事業として行われる貸付け」とは次のようなものです(法令133@等)

 

 @子会社に資金がないことなどを理由に、親会社が資産を購入し、その資産を子会社に貸し付けるケースは、もろに「貸付」ですが、「主要な事業として行われる貸付け」に該当し、今まで通りです。

 

 A 資産の貸付けが主要な事業として行われる場合には、本改正の対象外となりますので、物品賃貸業者(リース業・レンタル業)が賃貸する少額資産や、不動産賃貸業者が物件に付随して賃貸する少額資産についても、今まで通りでこの改正の中には入りません。

 

 不動産評価についての最高裁判決(令和4年4月19日第三小法廷

 「不動産節税に影響」などとして新聞報道がされましたのでご覧になられたかも知れませんが、影響はともかくとして実務的には興味深い裁判です。

 

 前提が分からないと、何がどう問題なのか分かり難いと思いますが、相続税は、財産をいくら相続したから相続税はいくらだと計算します。ところが財産の価額は時価だとされていますが、頻繁に売買されるようなものならばともかく、個別性がつよく、また当事者が異なればまた異なり、それぞれが正に時価ですので、一般的な金額を示すことは難しいことから、実務では、国税庁が財産評価基本通達(評価通達)を示してこれによっています。

 

 そして相続税では、これによって評価すれば公平で、これによって評価しないと問題だとされますが、評価通達の中の6項(第一章総則・法律でいえば全体に共通する定め)で、これで評価することが「著しく不適当と認められ」れば国税庁長官は別に評価するというもので、この相続税の事件では、最高裁判所は、納税者のした評価通達による評価が「著しく不適当」だとして、国が同通達第6項に基づく鑑定評価額により行った課税庁の処分を認めました。

 

一部省略

 

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評基通6項の適用
 

 前頁の裁判の事実関係は、詳細にお話しすることはできませんが、次の不動産の評価の問題です。

 
 
 
 
 
 

 

 

 

今年の3月に口頭弁論が開かれたことで判決の行方が注目されていました。第3小法廷の判決で、結論はともかく、少数意見(補足意見)も示されませんでした。

 

 どの様に判決したかと言いますと、

 

 最初に、評価通達は、法的効力はないが、(一般に言うところの)時価を超えてなければ問題ない。

 

 そして課税庁のした鑑定評価は、一般的には時価だろうから評価通達以上の価額でも問題ない。

 

 そして次に本筋です。

 

 ア 課税庁は評価通達によって評価を行っていることから、特定の者のみ評価通達で評価した価額を上回る鑑定評価にによることは、鑑定評価が時価を上回らないとしても、合理的な理由がない限り、平等な取扱ではなく違法だ。

 

 しかし評価通達による評価では「実質的な租税負担の公平に反する」場合には、この合理的な理由になり平等原則に違反しないので違法ではない。

 

 そして、結論を導くための合理的なり理由として、

イ 通達評価額と鑑定評価額との間には大きなかい離があるが、だからといって合理的理由だとは言えない。

 

 しかし、亡くなる前にした不動産の購入・借入れの結果、相続税はゼロとなり、「相続税の負担は著しく軽減され」た。「(不動産の)購入・借入れが近い将来発生することが予想される・・相続において・・相続税の負担を減じ又は免れさせるものであることを知り、かつ、これを期待して、あえて本件購入・借入れを企画して実行した」のであるから「租税負担の軽減をも意図してこれを行ったものといえる。」として、評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことは、そのような行為もしない、或いは出来ない他の納税者との間に「看過し難い不均衡を生じさせ」るとしました。証明することの困難な主観的な意図に踏み込みました。

 

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編集後記 相変わらず中途半端に終わってしまいました。皆さんのGWはどうでしたか。この通信がお手元に届く頃はGWも終わってる頃だと思います。コロナウイルス関連のデータは、HPをご覧下さい。 

                        編集発行 株式会社プランニングファイブ