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令和2年7月1日
 
ひとり親控除
 

 今年も半年が経過しました。また梅雨に入り、雨の日が多くなっています。新型コロナウイルスの影響で、なかなか普段には戻れませんが、確実に季節は巡っています。これから夏、本番。台風もこれからになるかと思うと憂鬱です。今年の台風の発生は6月までで二つ。年間は20〜30個発生しますのでこれからです。

 

 今年の前半の流行語というか、よく使われた言葉は、さすがにコロナ関係が多く、「3密」を除くとカタカナ語が多くなっています。「ロックダウン」、「パンデミック」、「クラスター」、「ステイホーム」などなど。

 

 上半期の流行語を勝手に、3つを選ぶとすると、次のようになりました。

 

 1位・・アベノマスク

 

 2位・・自粛

 

 3位・・多目的トイレ

 

 いま世界のコロナウイルス対策の傾向は、先進国ではロックダウン疲れから緩やかに解除傾向に向かい始めています。感染拡大を恐れながらバランスを採りつつの対応しています。しかしその反動も顕著で、イギリス(イングランド)では、数万人が海岸に押し寄せるなど、ロックダウンの後遺症が現れています。またイングランドの一部の市では、再び外出制限が出されました。

 

 あれだけ優等生だった奇跡のカリフォルニアも気が付いたら感染が拡大しています。インドでは、早く始めすぎたロックダウンで、解除の途端に感染が急拡大しています。

 

 コロナ感染のピークは、11月になる所もあると指摘されるなど、感染の長期化は避けられない状況になっています。世界の現状は、長期的なロックダウンは現実的ではない、とされる傾向にあります。

 

 先進諸国の中では、死者数が少ないといわれている日本も、感染者数が、再び100人を超えています。今後長く付き合っていくとなれば、再度の緊急事態宣言は効果的とは思えません。とるべき道は、法的な問題はさておき、ピンポイントで対応していくしか方法はなさそうです。

 

世界のウイルス感染者数・死者数(万人WHO値

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

7月の税務・総務予定

(税務)
 新型コロナウイルス感染症の影響が続き現在も所得税、法人税や相続税などの申告・納期限が申告等できるまで延長されています。
 従来の予定を次ぎにあげておきます。

*納期特例適用者の源泉所得税の納付   10日(金)まで

*所得税予定納税額の減額申請      15日(水)まで

*固定資産税及び都市計画税の第2期分の納付  通常月末まで

(総務他)

*月額算定基礎届 10日(金)まで

*令和2年度の労働保険の更新手続き
     6月1日(月)から8月31日(月)まで (延長されています)

*クールビズ等節電対応
  5月1日〜9月30日まで      (環境省・令2.4.21)

 
 

 令和2年度の税制改正は、色々ありますが、その中で個人的に興味深いものとしては、連結納税制度を改組したグループ通算制度に、未婚のひとり親控除と寡婦控除の見直しがあります。

 

 前者のグループ通算制度は、完全子会社(親会社が100%の株を所有している会社)をお持ちの会社には、利用できる制度で、大会社以外でも使えるところも多そうです。しかし令和4年からですので、その内お話しをするとして、

 

 後者のひとり親控除と寡婦控除は、細かいところを気にすると興味深い内容です。

 

 これは、改正では珍しく、今年(令和2年度)から適用します。大体、税制改正は、適用になるときには、殆ど忘れた頃にやってきますが、こればかりは、今年からの話です。

 

 まず第一に、今まで男親に適用のあった寡夫控除がなくなりました(旧所法81条)。だからといって、男親の控除が全くなくなるという訳ではなく、ひとり親控除の適用があれば、控除は今までの寡夫控除の27万円がひとり親控除の35万円の控除になります。

 

 また、寡婦やひとり親とひっても、現実には同居している事実上の配偶者がいる人は、いずれも除かれます。そして同性の配偶者?の場合には、難しい所があります。

 

 改正内容は・・

 

 これまで、同じひとり親であっても、離婚・死別であれば寡婦(夫)控除が適用されるのに対し、未婚の場合は適用されず、婚姻歴の有無によって控除の適用が異なっていました。

 

 また、男性のひとり親と女性のひとり親で寡婦(夫)控除の額が違うなど、男女間で取扱が異なるなど、従前よりこの取扱いの公平さに疑問が投げかけられていました。

 

 そこで今回、次のような改正が行われました(所法2条@三十、三十一、81条)。

 

 @婚姻歴や性別にかかわらず、生計を同じとする子(総所得金額等が48万円以下)を有する単身者について、同一の「ひとり親控除」(控除額35万円)を適用する。

 

 Aそれ以外の寡婦については、引き続き寡婦控除として、控除額27万円を適用することとし、子以外の扶養親族を持つ寡婦についても、男性の寡夫と同様の所得制限(所得500万円(給与年収678万円)以下)を設ける。

 

※ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者は対象外とされる。

 

 国会の審議録をご紹介します。結構面白い内容です。

 

 

○清水委員 ・・ひとり親控除が認められる人の条件として、生計を一にする子というのは、これは何を指すのでしょうか。・・

○矢野政府参考人 ・・親と同一の家屋に居住している子は、原則として、生計を一にする子と取り扱っております。また、同一の家屋に居住していない子でありましても、修学等の余暇には親と生活している子や、あるいは、親から常に生活費や学資金などの送金を受けている子は、生計を一にする子と取り扱っております  生計を一にする子につきましては、改正後の所得税法におきましても同様の取扱いがなされると考えております。

○清水委員 ・・ひとり親控除の対象になるケースを確認したいと思います。・・

 事例一、離婚している親が別居している子に養育費を毎月送っている、この別居している親がひとり親控除が認められるかどうか。

 それから、事例二、これはパートナーシップ制度で同性の方が同居している場合、それから住民票に事実婚の記載がない、同棲、同居ですよね、こういう場合、いわゆるこの親にひとり親控除が認められるのか。

 それから、事例三、80歳の一人親と60歳の同一の生計をしている子、親の収入は年金のみ。

 全て、この子供の合計所得は48万以下というふうにした場合、これらのケースは今回創設されるひとり親控除、35万円分、対象になりますか。

○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
 今挙げられました四つ(?)のケース全て基本的には適用されることになるということでございます。

○清水委員 ・・ひとり親控除は適用されませんが、寡婦控除が適用になるケースの確認をさせてください。

 事例四、例えば、妹夫婦が事故などに遭って亡くなられた、その子供をいわゆる亡くなった妹のお姉さんが扶養する場合、これについては寡婦控除が適用になるのか。

 それから、事例五、これは大災害のときなどよくあるんですが、両親が亡くなって子供さんだけが残った場合、その祖母が孫を扶養するという場合、これは寡婦控除、27万円が適用されるのかどうか。

 これについて、イエスかノーかでお答えください。

○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
 事例四の方は、寡婦控除の適用対象になり事例五の方は、お子さんではありませんので、対象にならないということになります。
 失礼いたしました。右側の事例五も、寡婦控除は適用になります。

○清水委員 いずれの場合も、寡婦控除は適用されるということなんです。

 ただし、この事例四と事例五の場合、非婚の女性あるいは男性である場合、事例五も、いわゆる孫を扶養している方が非婚である、結婚した経験がない、あるいは男性である場合、この場合は控除の対象になるんでしょうか。寡婦寡夫の控除はとれるんでしょうか。

○矢野政府参考人 お答えを申し上げます。
 いずれも適用になりません。

衆議院財務金融委員会令和2年2月21日審議録
 

省略

 

 

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補正予算

  令和2年度の予算は、3月37日に成立しましたが、その後、4月30日に、いわゆる「コロナ感染症臨時特例法」と同時に、感染症対策の一環として第一次補正予算(25.7兆円)が成立し、続けて6月12日に第二次補正予算(31.9兆円)が成立しています。

 

 

歳入予算(単位 兆円)

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 2次補正は、令和2年度の補正予算考慮後の歳入予想です。税収は当初のママで作っております。決算は後にならないと分かりませんが、最終的な公債収入(借金)は、100兆円を単年度で超えるかも知れません。

 

 前頁の続きですが、ひとり親控除等の事実婚の有無については、次に審議録から紹介します。

 

 
○門山委員 ..未婚の一人親について、多くの方の努力により、ひとり親控除として35万円の所得控除が認められたことは大きく評価できるところでございますけれども、このひとり親控除を受けられる要件として、事実婚でないこと、すなわち、その者と事実上婚姻関係と同等の事情があると認められる者として一定のものがいないことが要件とされておりますけれども、事実婚状態であるか否かを誰がどのようにして認定するのでしょうか。

○矢野政府参考人 ・・ 一人親に対する控除は、単身で子を扶養しながら働く場合に、両親ともにいる家庭に比べて選択できる職業や働き方に制約があるなど、所得を得る上での御本人に対する特別な事情に配慮して設けるものでございます。

 このため、明らかに事実婚状態にある方につきましては、執行可能な枠組みで控除の適用から除くことにしております。

 具体的には、市町村におきまして、本人が世帯主である場合には、世帯主の夫又は妻の住民票の続柄、それから本人が世帯主でない場合には、その者の住民票の続柄につきまして、夫(未届)、妻(未届)といった記載があるかどうかを確認していただくことにしております。

衆議院財務金融委員会令和2年2月21日審議録
 
 

省略

 

編集後記 オンラインで会議をさせてもらうことも多くなってきました。音が切れたり画像が悪かったり、通信環境にかなり影響を受けるようです。使ってみると資料の提示や説明が、し易かったり良い面もかなりあります。当分苦しい時期が続くと思いますが、熱中症を含めて身体に気を付けて乗り切ってください。
      編集発行 株式会社プランニングファイブ