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令和元年12月1日
 
特別養子制度
 

 令和元年も今月まで。あっという間の1年でした。天皇陛下の即位の行事が続きましたが、災害の発生を除いては、昭和から平成の時とは違い明るく未来を感じさせる年でした。

 

 “今年を振り返って”でも書こうかと思いましたが、あまり思いつかないので新年号にまわします。

 

 この事務所通信は、月初発行なので毎回月初めに書き始めます。その間、おおよそ1か月の余裕がありますが、新年号は12月の中旬には書き始めなければなりません。この時期は、色々な用事が重なる時でもあり、これを書き上げたらすぐにスタートしなければなりません。相変わらず何時も追い立てられている感じを受けて、1年が終わりそうです。

 

 来年は、オリンピックイヤーです。観戦予定はありませんが。その間、都心の競技会場周辺は、混雑すると思われます。あまり都心に近づかない方が良いかも知れません。

 

 今年は、台風による大雨の影響で師走になってもまだ、交通機関を始めとして完全復旧には至っておりません。

 

 12月1日現在で今年の台風は28号(カンムリ)まで発生しました。

 

 年 発生 上陸 接近数
2019
2018
2017
2016
2015
 28
 29
 27
 26
 27
  5
  5
  4
  6
  4
  15
  16
   8
  11
  14
 

 2019年は、11月までの速報値です。12月の台風の発生数は、まだ分かりませんが例年で見ると12月は多くても2〜3個程度でしょうから、今年が特別多いというわけではないようです。

 

 上陸件数は、台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合をいいますが、これで見ても例年並みでした。

 

 台風の接近数は、台風の中心が国内の北は稚内、南は石垣島のいずれかの気象官署等から300 km以内に入った場合とされています。日本に影響があったという意味程度だと思いますが、少し多くなる傾向かなという気がする程度です。ただ、雨・風の被害は、増えている気がしますが。

 

12月の税務・総務予定

(税務)
給与所得の年末調整
(原則)本年最後の給与の支払日前日まで
*固定資産税・都市計画税(第3期分) の納付期限   通常月末

  (東京都 R1年12月27日、横浜市・茅ヶ崎市 R2年1月6日)

(総務他)
*年初の通信(年賀状の代わり)の発送
*年末ボーナスの支給

 

特別養子制度の改正と税法

あまり一般的ではありませんが、今年、特別養子制度の改正が行われ(公布R1.6.14・法34)、1年以内に施行されることになっています。来年の半ばには、この新制度が動き出します。

 

 この話の前に、税法との関係に触れておきます。

 

 相続税法では、15条に“遺産に係る基礎控除”の規定が置かれています。これは、遺産全体に対する課税最低限を定めたもので、遺産がこの基礎控除額以下であれば,被相続人から相続によつて財産を取得した人には、相続税は課税されないことになっています。この遺産に係る基礎控除額は,3,000万円と600万円に法定相続人数を乗じて算出した金額との合計額とされていますので、法定相続人の数が多ければ当然課税最低限が上がり、財産を多くお持ちの方の相続でも、相続税がかからなかったり、相続税の税額計算が少なくなるなど大きな影響を及ぼします。

 

 そして養子がいれば実子とみなしますので、法定相続人の数が増えます。そのためかどうか分かりませんが、以前は沢山の人を養子にされていた方がいました。この基礎控除の計算については、昭和63年から養子の数の計算上の制限を設け、@被相続人に実子がある場合は1人、A被相続人に実子がない場合は2人までとされました(同2項)。

 

 ただし養子でも特別養子縁組による養子となつた者と被相続人の配偶者の実子でその被相続人の養子となつた者は、原則として制限を受ける養子とはされず計算します(同3項1号)。

 

 さて、やっと本題です。

 

 まず特別養子制度とは別に、養子(普通養子)制度があります。これは明治29年の民法制定時からあったもので、実の親子でないものの間に法的な親子関係を築く制度です。この制度の利用は年間8万件ほどです。

 

 養親には20歳に達しないとなれませんが(民792)、養子候補者には年齢制限はありません。そうは言っても養親より年上の人を養子にすることはできません(同793)。養子が未成年者でなければ、戸籍窓口の届出で成立します。なおこの養子では、実親との親子関係は存続しますので実親との間にも相続権を有し扶養義務を負います。

 

 今回改正された特別養子制度は、昭和62年に創設されました。

 

 この制度は、専ら子どもの利益を図るための制度で、家庭に恵まれない子に温かい家庭を提供して,その健全な養育を図ることを目的としています。実親子関係を終了させることに特徴が有り、普通の養子とは違います。このため養親子関係を強固なものとして,養子が安定した家庭で養育されるようにすることができます。

 

 年配の方は覚えておられるかも知れませんが、東北の産婦人科医師が,予定外の妊娠をした女性のために,虚偽の出生証明書・出生届の提出を多数あっせんした事件の発生が有り、これがこの制度が創設された目的の一つにもなりました。

 

 この特別養子制度は、年間500件程あります。主な要件は、次の通りです。

 

 ・家庭裁判所の審判で成立します。

 

 ・養子候補者に上限年齢(現行法:原則6歳未満)が定められています。

 

 ・実親による養育が困難であり、実親の同意が必要で(ただし,虐待事案等では不要),養親の下での養育が相当であること

 

 など

 

 改正内容については、色々細かいところはありますが、紙面の都合で国会の審議録を紹介させてもらいます。

○山下国務大臣 民法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、特別養子制度の利用を促進するため、民法等の一部を改正しようとするものであります。

 現在、児童養護施設等には、保護者がいないことや虐待を受けていることなどが原因で、多数の子が入所しておりますが、その中には、特別養子縁組を成立させることにより、家庭において養育することが適切な子も少なくないと指摘されております。そこで、特別養子縁組の成立要件を緩和すること等により、この制度をより利用しやすいものとする必要があります。

 この法律案は、特別養子縁組における養子となる者の年齢の上限を引き上げるとともに、特別養子縁組の成立の手続を見直すことにより、特別養子制度の利用を促進することに寄与するものと考えております。

 その要点は、次のとおりであります。

 第一に、この法律案は、民法の一部を改正して、現行法では原則として6歳未満とされている養子となる者の年齢の上限を、原則として15歳未満にまで引き上げることとしております

 第二に、この法律案は、家事事件手続法の一部を改正して、特別養子縁組の成立の審判の手続に関する規定を見直すこととしております。具体的には、まず、特別養子縁組の成立手続を養子となるべき者が特別養子縁組をするのに適する者であることを確認する段階と、養親となるべき者が養親として適する者であることを確認する段階の二つに分けることとしておりますその上で、養子となるべき者の実父母は、第二段階の手続には参加することができないこととするとともに、第一段階の手続においてされた実父母の同意は、一定期間の経過後は撤回することができないこととしております。

 第三に、この法律案は、児童福祉法の一部を改正して、児童相談所長は、みずから第一段階の審判の申立てをすることができることとするとともに、養親となるべき者が第一段階の審判の申立てをした場合には、その審判の手続に参加することができることとしております。(令和元年5月15日衆議院法務委員会議事録)
 
 
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令和元年年末調整特集−2
 

 今月は、国税庁の「年末調整のしかた」を参考に紹介します。

 

Q 当社では、12月分の給与を12月16日に支給し、その際に年末調整を終えました。その後、12月24日に従業員Aから、Aの父親が控除対象扶養親族に該当することになった旨の申し出がありました。

この場合、Aは扶養控除を本年分の所得税について受けることができるのでしょうか。

 

A 控除対象扶養親族に該当するかどうかは、その年の12月31日の現況で判定しますで、Aさんは本年分の所得税についてAさんの父親に係る扶養控除の適用を受けることができます。

 

 年末調整が終わっていてもAさんから「給与所得者の扶養控除等異動申告書」を提出してもらえば、翌年1月の「給与所得の源泉徴収票」を交付する時まで年末調整の再計算を行うことができます。

 

もちろんAさんが確定申告をしても構いません。

 

Q 年末調整時に従業員から提出された「給与所得者の配偶者控除等申告書」の「あなたの合計所得金額(見積額)」欄に記載された給与所得の収入金額よりも、本年中にその従業員に支払った給与等の金額の方が多かったため、その従業員にその記載内容の再確認を依頼したところ、その給与所得の収入金額や「配偶者控除の額(配偶者特別控除の額)」欄の金額に誤りがあることが判明しました。

どのように処理すればよいでしょうか。

 

A 従業員から提出された「・・配偶者控除等申告書」の「あなたの合計所得金額(見積額)」欄に記載された給与所得の収入金額などに誤りがある場合、給与等の支払者は、その従業員の方に「・・配偶者控除等申告書」の記載内容の訂正を依頼するなどして、適正な配偶者控除額又は配偶者特別控除額により、年末調整を行ってください。

 

 他にも予測による記載を求めるなど、確定申告を前提とした制度で、もともと実際の運用には無理があります。

 

 今年も有り難うございました。

 

編集後記

 とうとう令和元年の最終号です。とはいっても、令和は5月からでしたので、8か月しかありませんでしたが。今年も、ついこの間まで長く暑い日が続いていましたが、気が付いたらシッカリ冬になりました。四季があるのは有り難いことです。

 今年もこの通信にお付き合い頂き有り難うございました。来年もどうぞ宜しくお願い致します。皆様にとりまして、来年が良い年になりますように。

編集発行 株式会社プランニングファイブ