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OFFICE NO.349
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平成30年11月1日
軽減税率対策補助金
秋の気配から冬へと、山々の装いが急速に色彩を変えています。ついこの間の終わりの知れない灼熱の夏も、遙か彼方に過ぎ去った感じがします。
10月、11月は税務調査の最盛期で、既に何件かこなしましたが、総じて手続が遅くなっています。
これから1年先の来年10月からの消費税率のアップと反対の多い軽減税率制度のスタートが迫ってきました。
今までは、消費税税率のアップ時にそれに見合う値引きについては、消費税の転嫁を拒む行為として禁止されていましたが、今回は、一部に「クーポン券」などの議論や値引きも奨励しているように思えてなりません。
国税庁では、飲食料品と飲食料品以外のものを同時に販売し、割引券等の利用により一括して値引きを行った場合についてQ&Aを出しています。
そこでは、適用税率ごとに区分した“値引き後の税込対価の額”等をレシートに記載しなければならないとしています。そこで興味深いのは、値引きの対象を「飲食料品」または「それ以外」に限定しても両方でも良いといっています。
裏を返すと、小売店を中心に値引きをしろともとれてしまいます。いずれにしましても、来年の消費税率の引き上げ時にはかなり混乱をするのではないかと思います。
本来、改正を粛々と行えば良かったのに、数度に亘って改正を延期したことや軽減税率の導入などでわざわざ迷路に分け入ってしまった感がします。
まだ直接にはいわれていませんが、次の消費税率のアップ(当然考えているはずです)の時には軽減税率の拡大要求が益々増加するでしょう。日本の消費税の基となったヨーロッパの消費税(VAT)の混乱をそのまま輸入したことになりそうです。
なお、食料品等を扱う中小企業・小規模事業者につきましては、レジを取り替える必要が出てくるかも知れません。レジ導入や受発注システムの回収等の経費の一部を保証する「軽減税率対策補助金」の制度がありますので、ご検討ください。
11月の税務・総務予定
(税務)
*所得税の予定納税額2期分の減額承認申請 15日(木)まで
*所得税の予定納税額2期分の納付 11月30日(金)まで
*個人事業税の納付(第2期分) 通常月末
*税を考える週間 11日(日)〜17日(土)
(総務他)
*年末調整関係資料の配付
*冬期賞与の算定
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このため20歳代以下の方は、消費税のない時を知らない世代になりました。
この消費税の導入に至るまで、長い歴史がありました。昭和53年の大平内閣時の検討。そして、その後の中曽根内閣で昭和62年に売上税法案が国会に提出されましたが、この時は批判が多く審議されることもなく廃案となり、昭和62年の11月に発足した竹下内閣に引き継がれました。そして1年以上もかかり消費税の創設に係る改正法案の審議は、昭和63年12月24日のクリスマスイブに野党の審議拒否の中で強行採決され可決・成立され、翌年4月から拙速に施行されました。昭和天皇が崩御された年でもあり鮮明に覚えています。
2.平成6年11月の村山内閣で消費税率5%(国4%、地方1%)への引き上げが国会で成立し、平成9年4月から施行され、初めて地方消費税が導入されました。この地方消費税は、一旦国に納められ、1/2を都道府県に、残りの1/2が市町村に振り分けられます。
3.平成24年6月の野田内閣(民主党政権)で、平成26年4月1日から消費税率8%(国6.3%、地方1.7%)、そして平成27年10月1日から10%の2段階の引き上げが決まりました。その後、平成24年12月の総選挙で政権交代した自民党の第二次安倍内閣で、平成26年からの消費税の引き上げが確認され実施されました。
消費税率10%(国7.8%、地方2.2%)は、当初、平成27年10月からだったのですが、その後平成29年4月からに1年半の延長が行われました。この時も再度延長され平成28年12月の改正で平成31年10月1日からの2年半延長されました。都合4年間延期され、来年は、まず延期は無いと思われます。
今までの消費税率の引き上げと同様に、来年10月前後の取引に係る消費税の経過措置が採られています。基本的には従来と同様ですが、思い出して貰うためにいくつか紹介致します。
電気料金等については、平成31年10月1日(施行日)前から継続して電気、ガス、水道水及び電話を利用している場合に、施行日から平成31年10月31日までの間の料金の支払いについては原則として、旧税率(8%)が適用されます。
事業者が、平成31年4月1日(指定日といいます。消費税では重要になりますので、再度消費税率の引き上げ延期をする場合にはこの日の前までには決めておかなければなりませんので、政府はその日が最終決断日となります。)の前日(平成31年3月31日)までの間に締結した工事の請負に係る契約をして施行日(平成31年10月1日)以後に引渡し(資産の譲渡等)を受けた場合には、経過措置の適用を受け旧税率(8%)となります。
このときは、その事業者は相手方に対してこの資産の譲渡等がこの経過措置の適用を受けたものであることを書面で通知することとされています。
指定日の前日(平成31年3月31日)までの間に締結した資産の貸付けに係る契約によって、施行日(平成31年10月1日)前から引き続きこの契約に係る資産の貸付けを行っている場合には、その契約の内容が次の「@及びA」又は「@及びB」に掲げる要件に該当するときは、施行日以後に行う資産の貸付けについては、旧税率(8%)が適用されます。
@ 貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること。
B 契約期間中に解約の申入れをすることができないことなど。
映画や演劇の入場券を施行日の前日(平成31年9月30日)の間に購入し、利用が施行日(平成31年10月1日)以後に行われるときは、当該課税資産の譲渡等については旧税率(8%)が適用されます。
なお、ICカードへチャージ(入金)された時点では、乗車券等の販売を行っていることとならないため、旧税率の適用にはなりません。すなわちネット予約をする場合には、入場券、乗車券等の発券は施行日前に行っておくと旧税率(8%)が適用されます。
インターネットの通信料金が月々の使用量に関係なく定額料金となっている場合には、施行日前の契約でも、この通信料金は、使用量の多寡にかかわらず毎月、一定額を支払うものであり、検針等により料金の支払を受ける権利が確定するものではありませんので経過措置の適用対象となりません。
ただし、料金設定が多段階定額制となっている場合、例えば、「使用量Aまでは○○円、使用量Aを超えた場合には××円とする。」といった場合には、その使用量に応じて料金の支払を受ける権利が確定することになりますから、この経過措置の適用対象となります。
(http://www.shonantax.jp/)
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法人税等申告事績
先月、平成29年事務年度の「法人税等の申告(課税)事績の概要」が公表されました。
これは、国税庁が、平成29年4月1日から平成30年3月31日までに終了した事業年度に係る申告について、平成30年7月末までに申告があったものを集計したものです。
これによりますと、平成29年度における法人税の申告件数は約290万件で、その申告所得金額の総額は71兆円、申告税額の総額は12.5兆円となり、申告所得金額の総額については、前年度に比べ12%の増加で、8年連続の増加だったそうです。また申告所得金額の総額は、過去最高となりました。
法人税の税収も、リーマンショックの時は6兆円まで減少したことを思うと2倍になっています。近年では平成18年に法人税の税収は15兆円でピークでした。法人税改革で税率の引き下げを考えると大きな税収の伸びを記録したことになります。なお地方法人税の税収は6,500億円です。
また、源泉所得税等の税額は18兆円で、こちらも前事務年度に比べ 6.5%増加しました。
3,600億円(3.4%)増加し 、2年連続の増加です。
給与所得の次に多いのは、配当所得で4.3兆円。報酬料金等は1.2兆円です。
編集後記
この事務所通信も来月号で今年も終わりになります。そして来月号は通算で350号。来年には30年記念の360号が予定されています。今月号も月初の予定がありスタートが遅くなってしまいました。でもよく30年も続いたもんだと、あと10号を残していますが思っています。毎月、何を書こうかと苦しんでいますが、何となく手を抜き(失礼し)ながらせっせと書き上げています。来月号もどうぞ宜しくお願い致します。
編集発行
株式会社プランニングファイブ
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