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SHONAN TAX OFFICE NO.325  
 




 

平成28年11月1日
 
消費税の転嫁結果 
 

 本当に1年が早いもので、次月号が今年最後の事務所通信になります。この通信も28年目に突入していますが、内容は枝葉で些細なところを取りあげることが多くなってしまいました。もう少し頑張って,何とか30年までは、続けて行きたいと思っています。

 では、早速、枝葉の内容から。

 経済産業省は、平成28年10月21日に平成28年9月末までの消費税転嫁対策の取組状況を公表しました。

 これは、平成26年4月の消費税率8%引上げを踏まえ、消費税の円滑かつ適正な転嫁がなされたか、をチェックして取りまとめたものです。

 消費税が適切に転嫁できていないと、最終消費者が負担するという消費税の本質が根底から狂ってしまい、制度の信頼をなくしてしまいますので、政府としてもどうしても厳しく抑えなければいけないところです。

 公表では、「買手側の転嫁拒否行為に対しては、転嫁対策調査官(転嫁Gメン)による監視・取締りを行っています。平成28年9月末までの累計で、指導を3,025件、措置請求を5件、勧告・公表を35件実施致しました」と報告されています。

 業種別では,製造業(25%)が多く、次いで事業サービス業(ビルメンテナンス業・警備業等)・娯楽業等(16%)が多くなっています。

 次に,ほんの一握りの公表されている中から勝手に抽出させてもらいます。吉野家グループは,店舗家賃の転嫁をさせなかったとしてメディアで取りあげられていましたので,同じようなのもありましたが、それ以外から。

*鰍iR東日本ステーションリテイリング(買いたたき)

 駅構内等で食料品,衣料品等を販売する同社は,消費税率の引上げに伴う売上高の減少を防止するため,納入業者に対し,仕入価格を通常支払われる仕入価格に比べ3%程度低く設定することになる販売促進企画への参加を要請した。

*轄L島東洋カープ(買いたたき)

 プロ野球球団を運営し,球団のロゴマーク等を表示する商品(グッズ)の販売等を行う広島東洋カープは,グッズの納入業者に対し,消費税率の引上げ分を上乗せせずにグッズの仕入価格を据え置いた。

 

 

11月の税務・総務予定


(税務)
所得税の予定納税額2期分の減額承認申請  15日(火)まで
*所得税の予定納税額2期分の納付         11月30日(水)まで
*個人事業税の納付(第2期分)           通常月末
*税を考える週間 11日(金)〜17日(木)


(総務他)
*年末調整関係資料の配付
*冬期賞与の算定

 

 

 

 専業主婦などで所得の少ない配偶者については、ご主人の所得税の計算で所得控除として配偶者控除が適用されますが、この配偶者控除について,最近よく新聞で見かけるようになっています。

 この配偶者控除の問題は、以前より、女性の社会進出を阻んでいる等として廃止の議論が続けられてきました。

 この配偶者控除は、年間アルバイトで

103万円を越えて働きますと(もちろん配偶者の方が他に所得があると少なくなってしまいますが)、配偶者控除が受けられなくなります。

 しかし配偶者に対する控除は、もう少し優遇され、配偶者控除が受けられなくても配偶者のパート収入が141万円までですと、配偶者特別控除があり38万円から3万円まで徐々に減額されますが、完全に控除がなくなるわけではありません。いずれにしてもこの規定があるために、配偶者の方が働かれるときに,働き方をセーブされる傾向が見うけられます。

 

 税制調査会の議論では,次のような意見が出されています(平成28年10月25日・第5回 税制調査会資料)。

 

○ 女性の就業調整については、税制だけではなく、企業の配偶者手当や社会保険料の問題等についても併せて見直す必要があるのではないか。


○ 配偶者控除はそれなりの役割があって存在したものであり、社会的に就労促進のために不要という結論を出して良いのか。家庭という単位で負担してきた高齢の配偶者の世話や子育てを全部社会に負わせることが社会的なメリットになるのか考えるべきなのではないか。


○ 配偶者控除を見直す趣旨は、単に就業調整しなくて済む仕組みの構築ではなく、公平性・中立性の観点から、専業主婦、パートタイムまたはフルタイムの間で働き方を変えていくことを阻害しないようにする仕組みの構築であるべきではないか。


○ 非常に多くの方々が配偶者控除の適用を受けており、その意向を無視することができない中では、配偶者控除の廃止を実現させることは現実にはなかなか難しいのではないか。


○ 配偶者控除が定着している中、ソフトランディングする形で見直しを行うことが重要であり、対象を子育て世代等に限って、配偶者控除における配偶者の収入制限である103万円を150万円や200万円に引き上げるという方法もあるのではないか。


○ 年末にかけて時間が限られている中、一昨年のメニューをさらに深掘りした形で色々な案を示し、国民の議論や政治の判断を待つというのが現実的な選択肢ではないか。
○ 専業主婦の中には、例えば、子育て等の事情によりやむを得ず専業主婦を選択している所得の低い方々もおり、どういう層が実際に専業主婦になっているかを丁寧に見ていく必要があるのではないか。


○ 控除に所得制限を設けるのであれば、個人単位課税の原則の下、いずれの配偶者に控除を適用し、どのような形で所得制限を設けるのかといった点を整理する必要があるのではないか○ 議論に当たっては、何が一番理想的で、国の出すメッセージをサポートするもので、施策として効率的かという点にこだわるべきではないか。

 

 これを読むと,とても意見の収斂は見込めなさそうです。最後は選挙を見据えた政治判断になるのでしょう。この配偶者控除や成年扶養控除(今は立派な成年でも所得が少なければ扶養控除を受けられます)は、廃止される方向に向かっています。

 配偶者控除に代わって、最近よく聞かれるのに「夫婦控除」という案があります。

 自民党の特命委員会のこの夫婦控除の提案では、なんだか変ですが、夫婦を中心とした家族の絆が希薄化するのを防ぐためには、若い世代に、いわゆる『事実婚』ではなく、法律上の結婚を促す必要がある、として所得税の「配偶者控除」を充実させた「夫婦控除」という新たな制度を導入すべきだとしています。

 具体的には、この「夫婦控除」は、配偶者の収入がいくらであっても一定の控除を受けられるようにするもので、所得控除ではなく税額控除のようです。税額控除ですと、現状の配偶者控除の問題の一つである高所得者層ほど税金の軽減効果が大きくなるという不公平は緩和されます。

 そして,所得制限も考えられているようで、金額はともかく、高額所得者等には適用はない方向に向かっています。

 もう一つ、女性の社会進出を阻害しているものに給与支払者から受ける扶養・家族手当があります。これも外で働くのを躊躇させる要因の一つです。

 これも段階的に廃止して職能による賃金制度に移すということも検討されています。

 厚生労働省の「平成27年職種別民間給与実態調査」(人事院)によれば、次のよう になっています。

 

家族手当制度がある事業所
 
77%
 
うち配偶者に家族手当を支給

 
90%
(全体の 69.0%)
 
うち配偶者の収入制限あり
 
85%
 
収入制限の額

 

103 万円 69%

130 万円

26%

 

 

 

 

 

 

 

 このように配偶者の収入制限がない事業所も約15%はあります。

 

 配偶者に家族手当を支給する事業所を100 とした場合の配偶者の収入による制限がない事業所の割合を企業規模別にみると次のようになっています。

 

500 人以上 11%
100 人以上 500 人未満
 
19%
 
50 人以上 100人未満で
 
29%
 

 企業規模が小さいほど高くなっているのは予想外です。納得する面もありますが。

 

 省略
 
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(http://www.shonantax.jp/)

 

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今年の年末調整
 

今年の年末調整では、いくつか注意しておく必要があるところがあります。

 

1.通勤手当非課税限度額の引上げ

 平成28年4月に、1月1日以後に支払われるべき通勤手当の非課税限度額が10万円から15万円に引き上げられました。それ程多くはないと思いますが、改正前の1月から3月までの金額を源泉徴収簿の余白に、「非課税となる通勤手当**円(**×3ヶ月分)」として記載します。

 

        国税庁パンフレット

 

2.国外に居住する親族に係る扶養控除等

 平成28年1月1日以後に支払われる給与等の源泉徴収又は年末調整において、非居住者である親族(国外居住親族)に係る扶養控除、配偶者控除等の適用を受ける場合には、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を源泉徴収義務者に提出又は提示する必要がありますので、年末調整事務を行う方は,必ず確認して下さい。日本人の方でも対象になることがありますので,注意が必要です。

 ☆ 親族関係書類の概要

 次のいずれか(外国語は翻訳も)

@ 戸籍の附票の写し、パスポートの写し

A 国外親族の氏名、生年月日等を外国政府が発行した書類

 ☆ 送金関係書類の概要

国外親族の生活費を各人毎に送金した書類

@ 送金明細

A クレジットカードの引落明細

3.年末調整書類マイナンバーの記載不要

@ 給与所得者の保険料控除申告書

A 給与所得者の配偶者特別控除申告書

B 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

 給与の支払者が法人である場合には法人番号を付けて下さい。

 

 

 

        

  実際の事務所通信とは、若干相違しています。

 

 

 


編集後記

 あの暑かった夏が過ぎたとたんに秋から冬へと向かっています。暑い日と寒い日が交互に来てマスクの人も増えています。今年は、インフルエンザの予防接種ができると良いのですが、今年も気が付いたらもう間に合わないということになりそうです。本内容で使わせて戴いたものは、オフイスレター(p-five.com)でリンクしています。

                                    編集発行 株式会社プランニングファイブ