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平成27年10月1日
 
個人情報保護法の改正
 

 マイナンバー法の改正に隠れがちですが、大きな改正でその影響は大きいと思われますので、個人情報保護法(以下、保護法)を紹介しておきます。

 

 保護法が施行されてから10年目である同法の改正が、マイナンバー法改正と一括審議され9月3日に成立しました。

 

 何故、大きな改正かといいますと、対象者は、従来、5千件のデータを取り扱う事業者に限定されていましたが、これが撤廃され、極端な場合には1件でもこの法律の適用対象になります。例えばお蕎麦屋さんの持っている出前先のデータも保護の対象になります。

 

 

1.個人情報の範囲の明確化

 特定の個人を識別する範囲を明らかにします。例えば、顔認識データなど特定の個人の身体的特徴を変換したものも個人情報となります。

 

2.要配慮個人情報

 人種、信条、病歴や犯罪経歴などのいわゆる“機微情報”は、要配慮個人情報として本人同意を得ない第三者提供の特例(オプトアウト)が禁止されます(法2)。

 

3.匿名加工情報

 今回の改正の中心となるもので、安心、安全なパーソナルデータの利活用を推進するため、個人を識別することができないように個人情報を加工するなどの適正なルールの下で本人の同意なく第三者提供を行えるようにするものです。Suicaによるデータの利用で問題となった案件について利用できるようにしようとしたものです。

 

4.トレーサビリティ

 ベネッセ事件で問題となった案件にみられるように個人情報漏えい事案への対応として、個人情報の第三者提供を受ける際に取得経緯等の確認及び記録の作成等を義務づけられました。この特徴は、諸外国にもあまりない記録が求めらたことです。

 

5.個人情報保護委員会

 現在は、平成17年に施行されたマイナンバー法の下で特定個人情報保護委員会があり、これをマイナンバー以外の個人情報にまで広げた組織をスタートさせます。

 この組織の特徴は、大きな権限が与えられることとマルチステークホルダープロセスといって有識者も参画した組織とされるということです。

 

  外国事業者関連は、省略します。

 

10月の税務・総務予定
 

(税務)
特別農業所得者への予定納税額の通知   15日(木)まで
*個人住民税第3期分の納付          通常月末
 

(総務他)
*秋の厚生事業実施
*第2期分労働保険料の納付      11月2日(月)まで

 

 

 給与所得の源泉徴収票

 

 平成27年分の給与所得の源泉徴収票、通常来年受け取るものですが、これはA4の四つ切りの大きさであるA6サイズで、従来と変わりません。しかし平成28年分からはA4の二つ折りであるA5サイズとなり、かなり大きなサイズに変わります。

 

 このことは何かといいますと、会社の経理部門や税理士事務所で在庫している4つ切りするためにミシン目の入った用紙が使えなくなることを意味します。

 

 しかし、その他「退職所得の源泉徴収票」や「不動産の使用料の支払調書」などの支払調書は、従来通りのA6サイズのままになる模様ですので、まだその用紙も当分は使えるでしょうが、いずれメモ用紙ぐらいにしかならなくなるときがくると思いますので、在庫は、できるだけ持たないようにした方が良いかも知れません。

 

 平成28年分の給与の源泉徴収票には、個人番号の記載をしたものを支払を受ける人に交付することになっていましたが、平成 28 年1月以降も、給与などの支払を受ける方に交付する源泉徴収票などへの個人番号の記載は行わないこととされました(平成27年10月2日所得税法施行規則等改正)。

 

 個人番号を記載をしないこととなったものは、給与所得の源泉徴収票ばかりでなく公的年金等の源泉徴収票や特定口座の年間取引報告書等です。

 

 しかし給与所得の源泉徴収票などは、記載すべきだと思っています。

 

 理由は、還付申告等をされるときは、源泉徴収票を見ながら国税庁のホームページなどで行う方もいると思いますので番号が記載していないと不便になること、通常それ程源泉徴収票を使う頻度は多くないこと、そして最も大事なことは、番号の重要性等をについて理解して頂くために、給与については記載する方が良いのではないかと思っています。もちろんただ渡すだけでは芸がありませんので、「番号記載」など赤いスタンプで注意を喚起することも必要でしょう。

問1 なぜ従業員に交付する源泉徴収票に個人番号を記載しないこととされたのですか。

 

答1 本人交付が義務付けられている源泉徴収票などに個人番号を記載することにより、その交付の際に個人情報の漏えい又は滅失等の防止のための措置を講ずる必要が生じ、従来よりもコストを要することになることや、郵便事故等による情報流出のリスクが高まるといった声に配慮して行われたものです。

 

 「郵便事情等による情報流失」の危険のためとは、良く言ったなと思いますが、流失の危険は色々な場面に想定され当然あるとの前提で対応をすべきです。

 

 外国にいる親族の扶養控除等

 

 今年の3月号(305号)でもお知らせしましたが、日本に住まわれている外国人の方が本国の配偶者や子供の扶養控除等を利用する場合の取扱いが、今年の改正で、平成28年以降に支払を受ける分から、厳格に適用されることになりました。

 適用を受ける場合には、外国にお住まいの配偶者やお子様の「親族関係書類」や「送金関係書類」(外国語のときは、その翻訳が必要)を源泉徴収義務者に提出等しなければなりません。

「親族関係書類」とは、次の@又はAのいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものをいいます。

@ 戸籍の附票の写しその他の国等が発行した書類及び国外居住親族の旅券の写し

A 外国政府等が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるもの)

 

 次にQ&Aから・・

 

Q1 扶養親族が留学する場合でも、親族関係書類と送金関係書類の提出又は提示は必要ですか

 

A 扶養親族が留学する場合において、その留学が継続して1年以上国外に居住することを通常必要とするものでなければ、その扶養親族は国外居住親族には該当しないことになります。その扶養親族が国外居住親族に該当しない場合には、その者に係る親族関係書類や送金関係書類の提出又は提示は必要ありません。

 

Q2 親族関係書類は、1年以上前に発行されたものでも有効な書類として認められますか。

 

A 親族関係書類については、法令上、書類の発行日に関する規定はありませんので、書類の提出日より1年以上前に発行されたものであっても有効な書類として認められます。ただし、扶養控除等の対象となる親族については、結婚や離婚などにより異動があるため、「給与所得者の扶養控除等申告書」などの申告書に記載された国外居住親族が居住者の親族に該当するかどうかは、これらの申告書が提出される日の現況により判定することとされています。

 したがって、親族関係書類の発行日が「給与所得者の扶養控除等申告書」などの申告書の提出日より数か月以上前であるような場合には、これらの申告書の提出を受ける際に、その国外居住親族の親族関係に変更がないかを申告書の提出者に確認していただくようお願いします。

 

Q3 親族関係書類では、何を確認すればよいですか。
 

 

A 親族関係書類では、「給与所得者の扶養控除等申告書」などの申告書に記載された国外居住親族が居住者(本人)の親族であることを確認した上で、これらの申告書に記載された国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所に誤りがないことを確認してください。

 

Q4 送金関係書類では、何を確認すればよいですか。
 

 

A 送金関係書類では、その年において、居住者(本人)が国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、その国外居住親族に行ったかどうかを確認してください。例えば、送金関係書類が外国送金依頼書の控えの場合には、送金者の氏名が居住者(本人)となっているか、送金受領者の氏名がその国外居住親族となっているか、及び送金日が扶養控除等を適用しようとする年分のものであるかを送金関係書類により確認してください。

 

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個人情報の管理
 

個人情報保護法の改正に係る審議からご紹介します。

 

○相原久美子君 ・・本改正によりまして、これまで規制対象外の取り扱う個人情報が五千人以下の小規模事業者も新たに規制対象となります。中小零細企業や個人商店にはホームページさえ有していない事業者も多いわけです。周辺の私たちが接する個人商店、その中に実際に個人情報はあるけれども、それをどのように使うかすらも恐らく分かっていない方たちもいらっしゃる、そういう中小零細企業や個人商店にしっかりとやはり対応をしていっていただかなければならない、大規模事業者との一律の対応を求めるというのは過度な負担を強いることにもなります。

 今回、小規模事業者を規制対象とした理由と、政令や委員会規則を検討するに当たり、中小零細企業に対する負担軽減や支援策等の措置と実効性の確保をどのように考えていらっしゃるのか、お伺いします。


○副大臣(平将明君) ・・現行法では、取り扱う個人情報の数が五千件を超えない者は個人情報取扱事業者から除外をしておりましたけれども、今回の法案ではそれが対象になるということですから、町の八百屋さん、魚屋さんも入ってくるということでございます。
 

 なぜこれを入れたのかといった御質問ありましたが、先ほどEUの十分性の議論もありましたが、EUの十分性の中で、やっぱり小規模を全くカバーしていないじゃないかという指摘もされております。今後、世界的にこういった個人情報の取扱いをする際にはこれは避けて通れないんだと思います。
 

 ・・具体的には、例えば、安全管理措置義務に関する規定を定める際には、事業規模や個人情報の利用形態に応じた適切な運営となるよう小規模の事業者においてとるべき措置の具体例を示すなど、明確で分かりやすいものにすることを想定をしております。例えば、町のおそば屋さんが配達先の名前と住所と電話番号を持っているとすれば、ホームページはないということになろうかと思いますが、そういった際は、紙の顧客名簿しかないということであれば鍵の掛かる引き出しに管理をしていただければ足りるというようなことにもなりますので、そういった具体例を分かりやすく示していきたいというふうに思います。

    参議院内閣委員会平成27年5月26日議事録

 

 

 省略

 

編集後記 今月も月初に出かけていたため大部遅くなって書き始めることになってしまいました。このため書いてあったものものの継ぎ足しです。今年もあっという間に年末が見えてくる時期になってしまいました。一方、秋の味覚を堪能する食欲の季節でもありますから、食べ過ぎに気を付けましょう。自戒を込めて。 
           編集発行 株式会社プランニングファイブ