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SHONAN TAX OFFICE NO.287   
 




 

 
平成25年9月1日
 
出産祝い
 

 気象庁の関東甲信地方の1か月予報では,平年に比べ曇りや雨の日が多いとなっています。また平均気温も、平年並または高い確率となっています。すなわち,天気が悪く高温の可能性が高いといういうことのようです。

 出産祝い金(出産手当金など)は,健康保険組合などによって異なりますが,出産のため仕事を休み給料が支給されない時に支給されることがあります。一般には,それ程,高額な金額ではありません。一方,企業独自で出産祝い金を支給しているところもあります。少子化の進む日本社会に対して,一般企業からの少子化対策という意味合いがあるのでしょう。

 しかし,この出産祝い金の額が飛び抜けて高額な企業があります。5年以上前になるかと思いますが,当時,話題となったソフトバンク(SB)の場合には,この金額は半端ではありません。SBでは,次世代の社会を担う子どもを安心して産み、育てられる職場環境をつくることは、企業に求められる基本的な役割の一つであるとして2007年から育児支援制度を導入し,出産祝い金は勤続年数1年以上の正社員を対象に支給されています。夫か妻のどちらかが正社員であることが必要で,支給額は第1子が5万円、第2子が10万円。ここまでは,一般的な金額かも知れませんが,第3子で100万円、第4子には300万円、第5子以降の出産では500万円を支給するとしていました。その時の報道を覚えていませんか。最近になって,その支給状況が公表されました(週刊東洋経済2013.8.31・47頁)

 

  年
 
第1子(5万円)
第2子(10万円)
第3子以上
(100〜500万円)
平成21年    589 人   46人
  22    573   45
  23    642   50
  24    629   55
  25    673   59
 

 古い統計になりますが,世帯の子供の数は,子供が一人の世帯は全体の1/3で,2人子供は50%に上ります。二人子供世帯が殆どで4人以上になると3%弱になります(野村総合研究所2006.2.24。そうすると確かにSBではかなり,少子化対策に貢献していることになりそうです。

 


9月の税務・総務予定


(税務)
*個人消費税の振替納税(中間が必要な方)
 (中間1回の方・1回目)             27日(金)
 

(総務他)
*防災訓練
*残暑対策

 

 

【不動産所得のお尋ね】

 

 8月28日付けの日経Web刊で「税務当局が不動産の賃貸所得(不動産所得)のある個人を詳細に調べ始めた。賃貸不動産が多い東京都など都市部を中心に「お尋ね」と題した文書を多数送付。確定申告などの内容を質問しており、今後調査を強化する可能性がある。不動産は老後資金のための保有も含めて裾野は広く、注意が必要だ。・・・・7月以降、賃貸マンション・アパートなど賃貸不動産を持つ個人に税務署から2012年の不動産所得について文書で質問する「お尋ね」が相次いで届き、大きな波紋が広がっている。」との記事が載っていました。

 この記事によりますと 文書は現在、東京国税局管内(東京都、神奈川県、千葉県、山梨県)の全税務署が不動産所得がある約110万の個人案件から選んで送付中とのことで,他の地域でも都市部の税務署は不動産所得に関心を強めており、東京国税局の方式が全国に広がる可能性があると報じています。

 「お尋ね」は,不動産所得の申告を行った者に対して,「決算書(収支内訳書)の内容についてのお尋ね」と題する文書で,受け取った方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは,過去の不動産所得の申告内容の自主的な見直しを促すことを目的としているとのことで,不動産所得の申告に申告が誤りが少なくないことが原因のようです。

 税務署から送付される「決算書(収支内訳書)の内容についてのお尋ね」には,「お尋ねしたい事項」として,@収入の内訳,A租税公課の内訳,B修繕費の内訳,C借入金利子の内訳,Dその他の経費の内訳,E雑費の内訳,F減価償却費など項目があり,その中で求められた所を回答します。

 具体的には,回答欄にその内容を記載して返却(回答)します。その内容もかなり具体的に記載しなければならず,書きにくいかも知れません。

 例えば,“租税公課の内訳”について回答する場合は,「租税公課の種類と物件の所在地,支払金額,支払金額のうち必要経費算入額」をそれぞれ記載し,“借入金利子の内訳”について回答する場合は,「支払先の名称や借入金の対象となる不動産の所在地,借入返済合計額(借入金利子と必要経費算入額)」を記載し,所轄税務署に提出することになります。一見して分かるような回答・資料であれば,それで済みますので,弊所で申告された方は,必ずこちらにその書類をお渡しください。こちらで対処いたします。そのうち,申告書(決算書など)の様式が変更されるかも知れません。

 そして内容が明らかになり誤りがなければそれで良いのですが,回答後に,税務署の担当官から連絡があり不明点や問題点の指摘を受けることがあります。そのとき一方的な指摘や対応の悪さからトラブルに発展したケースもチラホラ聞こえてきます。

 税法は複雑ですので,専門知識の少ない納税者は一方的な指摘で,分からないまま従ってしまう場合もあるのではないでしょうか。

 あまり一般的ではありませんが,立ち退き料,弁護士費用や家屋の取り壊しなどの費用については,専門家でない一般の方にはなかなか分かり難いところだろうと思います。

 また,不動産所得に係る税務調査は,消費税の申告があるとか数千万円を超えるような大きな不動産所得が発生しているとかでも無い限り,実地の調査事例はあまり見かけません。

 ご自身で行った過去の申告を見せて頂くと,減価償却資産の耐用年数がすでに経過しているのに毎年同じ金額を費用としたり,資産としなければならない物を修繕費として全額費用として所得を算出してものも見かけます。

 それでは納税者間で公平とはいえませんので,皆さんが等しく正しい申告をすべきことも確かです。

 

 ここでは,不動産所得の申告で誤りの多いところを簡単に説明しておきます。

 @収入金額に賃貸料は計上しているのですが礼金については計上漏れとなっていることがあります。また,敷金・保証金で償却があるとき(一部返却しないで良い金額があるとき)は,収入金額に計上しなければなりません。

 確かに最近では,礼金,保証金は頂きませんという契約もありますので,確認してみてください。

 A支払いの遅れている家賃や供託されている家賃も原則として本来決められた家賃を収入金額に計上しなければなりません。

 これは,よくある事例です。また,供託の場合で,値上げの要求の一部のみ加算して供託されたときは,加算部分も含めて争いのない部分となりますので,加算後の金額で収入金額に計上します。

 B租税公課として費用(必要経費)計上されている中に,自宅分の固定資産税が含まれていることがあります。

 1階部分を店舗に貸して2階がご自身の自宅としているような場合には,占有面積など合理的に按分して費用計上する必要があります。

 Cそれ程無いとは思いますが,自宅に係る借入金利子や,アパートの建築資金の借入金の返済で元本も利息に含めて支払利息(費用)に計上していることがあります。

 過去の申告での決算書(収支計算書)を拝見すると,一見してアレっと思うような申告に出くわすこともあります。

 D交際費・厚生福利費の計上が多い申告も時々見受けられます。アパート経営でこれほど交際費が必要なのかなと首をかしげるものもあります。

 また交際費の内容が近所の人との飲食であったらり,家族旅行が福利厚生費に入っているなど業務について生じているか(関連しているか)をよく精査しなければなりませんが,常識的な判断が殆ど正しい判断です。

 

 省略

 

 

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(株)P5では,経営計画策定,保険・不動産等の資産運用,相続対策業務,パソコンの購入及び指導,貴社のホームページの作成・ドメインの取得,計算書類の公告のお手伝いをしております。

 

 
出産祝い金の課税は?
 

 さて,前段で出てきましたSBの事例で,出産祝い金を500万円もらったときの課税はどうなるでしょうか。

 健保組合などから支給される出産手当金や出産育児一時金は,非課税です。但し,医療費控除の計算では.出産手当金は給与の補?ですので差し引かなくても良いのですが,一時金の場合は出産に対する補償としての意味合いから医療費から差し引くことになります。

 

 しかし,500万円の出産祝い金を受け取った場合に課税されないとなると,課税の公平上どうかという問題が生じます。そこで使用者から支給される一般的でない高額な結婚,出産手当等の祝金品は,給与等とされ課税されます。

 ただし,「その金額が支給を受ける者の地位等に照らして,社会通念上相当と認められるものについては,課税しな(い)」とされています(所基通28-5)

 では,いくらまでならば課税されないかは,役員,従業員などの地位等に照らすとしていっているだけで明確ではありません。

 役員と従業員であまり大きな差を付けることは,常識的ではありませんし,少子化対策に貢献し,かつ,SBのような先進的な施策について給与課税しないことで社会的な批判を受けるとは考え難いことなどから,給与課税以外の方法での課税をすべきでは無いかとした考えもあります。もちろん子供のいない家庭にも配慮しなければなりませんし,全く課税しないとなると,そこはまた所得の発生が顕著な場合に課税しないとなることの不公平感を生じさせることになり,適切ではありません。

 いずれにしましても現時点では,SBの場合には3子(100万円)以上について給与課税されることになると考えられます。

 世の中の変化や国民意識の多様化から婚外子の違憲判断の変更があったように,この給与課税について裁判で決着を付けるのも面白いかも知れません。

 

 省略

 

編集後記 残暑が続きます。まだ熱中症にも気を付けてください。9月から来年3月まで消費税の増税で,世の中,騒がしくなると思います。パフォーマンスなのか年1%ずつアップするとか一部物品の軽減だとかが,ちらほら聞こえます。通常の取引ですと,来年早々は,駆け込み需要が増えるはずです。でも,その後の反動は覚悟しておいてください。 編集発行 株式会社プランニングファイブ