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OFFICE NO.278
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平成24年12月1日
相続税の取得費加算
もう12月。3.11の震災から1年以上立ちましたが,あまりの被災の大きさに復興の足取りは,なかなか進みません。今年は,宮城・岩手の被災地を回ってきましたが,瓦礫の山から僅かに被災前の賑わっていた頃の村や町を思い出させてくれるのみです。
これから,急激に寒い冬がやってきます。被災地を含め東北は,真っ白な雪で覆われてしまい,復興のための住宅建設への影響が懸念されています。
そんな中で,1票の格差で違憲状態のまま衆議院選挙に突入しました。
今月は,全体的に平年に比べ曇りや雪または雨の日が多い見込みですが,東・西日本太平洋側では、平年と同様に晴れの日が多い見込みです。沖縄は,あまり天気は良くなさそうです。また,全国的に月の前半は気温がかなり低くなるところがある模様で,北・東・西日本日本海側を中心に、この時期としては降雪量が、かなり多くなる可能性があるとのことです。
独断で選んだ今年11月までの主なニュースです。年末に新聞社が発表する今年の10大ニュースは何が入るでしょうか。
1月 イタリア,コスタ・コンコルディア号座礁
2月 東京スカイツリー竣工
3月 AIJ投資顧問による企業年金資産消失問題
4月 関越自動車道高速バス居眠り運転事故
5月 日本のすべての原子力発電所が稼働停止
6月 台風4号和歌山県上陸
7月 九州北部豪雨。
8月 消費税法改正案が可決成立
9月 台風17号が愛知県東部に上陸
10月 東京駅丸の内駅舎復元工事が竣工
11月 衆議院解散 |
12月の税務・総務予定
(税務)
*給与所得の年末調整
(原則)本年最後の給与の支払時
*固定資産税・都市計画税(第3期分)の納付 通常月末(1月4日)
(総務他)
*年初の通信(年賀状の代わり)の発送
*年末ボーナスの支給
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2012年度の政府税制調査会では,10月19日に第1回会議を皮切りに,来年度の税制改正について議論が行われています。昨年は第1回目を4月に開催していましたので,従来よりかなり遅い開催です。議事録を見ますと今までの所,役所の説明が主なため,一般的な内容になっています。
相続税・贈与税の見直しについては,平成23年度の改正で見送られた相続税の基礎控除の見直しなど従来とそれ程変わった内容にはなっていません。
皆さんには,あまり一般的ではないので興味は無いかも知れませんが,この措置(「(相続税の)取得費加算」といいます。)は,実務上は重要な問題です(措法39)。
取得費加算とは,例えば,相続により取得した土地を相続税の申告書の提出期限の翌日から3年以内(相続開始の日の翌日から3年10ヶ月以内)に譲渡した場合には、土地について納めた相続税額を取得費に加算して譲渡所得の金額の計算をすることができるというもので,住民税も影響します。
相続税を納付するために土地を売らざるを得ない時に,土地の譲渡税で課税されたその残額で相続税を払うことになりますので,納税不足となる恐れもあることから,譲渡課税で考慮するものです。すなわちこの制度は,相続税の課税対象となった相続財産の譲渡が相続直後に行われる場合には、相続税と譲渡に係る所得税・住民税が相次いで課されることによる負担の調整を図るなどのため昭和45年に創設されました。
これは,相続で取得した土地や有価証券などの相続財産に適用され,当初は,この取得費加算は,譲渡した財産に対応する相続税額に限られていました。
例えば,相続で所得した土地1億円,その他1億円,相続税額6千万円だったとします。この土地は,亡くなられた方が以前2千万円で買った物を相続し,仲介費用などの譲渡費用や特別控除等の特例はないとします。譲渡税は2割とし,相続開始後すぐにこの土地を1億2千万円で売ったとしますと,譲渡税は次のように計算します。
*相続税額6,000万円×1億円/2億円=3千万円
この制度は平成5年に改正が行われ,「相続土地等に係る特例」として,当時の地価動向や譲渡益に対する税率引上げなどの事情から、相続財産である土地等の一部を譲渡した場合には、譲渡していない部分を含む全ての土地などに対応する相続税額を取得費に加算することができることになりました。
これにより,前記例で,「土地1億円,その他1億円」の「その他1億円」も土地だったとしますと譲渡税は,
=4千万円×20%=8百万円となり,より減額されることになります。
これについて会計検査院が検査した58税務署において,土地等の譲渡による譲渡収入金額が3千万円以上で取得費加算の特例を適用した方(特例適用者)は,平成21 年、22 年合計で延べ約2千人。取得費加算額1,200億円になるそうです。
本来であれば、譲渡した土地に対応する相続税額しか取得費の加算額にできないところ、この特例により全ての土地の相続税額を取得費に加算をした結果、譲渡収入から控除できます取得費加算額が2倍以上に膨れ上がっているケースがあると。そういう者が全体の52.9%、額で言えば全体の63.4%を占めているという御指摘です。また、結果として譲渡所得がこれによって生じなかった者も見受けられたということです。 ・・
平成5年の改正の影響をこの調査をした方々について、試算をしておられます。平成5年の前の制度に比べて、取得費の加算額が786億円増加、その結果、取得税額が118億円減少したという結果です。・・
会計検査院は,・・本特例措置の必要性が著しく低下していると指摘をされています。・・
会計検査院としましては、・・この特例が有効かつ公平に機能しているかの検証を行った上で、特例について相続財産の処分が相続直後に行われる場合における相続税と所得税の負担の調整という本来の趣旨に沿った適切なものとするための検討を行う必要があると指摘が行われております。
検討の方向性で書いていますが、以上の会計検査院からの御指摘を踏まえ、特例が有効かつ公平に機能しているかどうか、検証を行う必要があると考えています。
(平成24年11月12日第6回税制調査会議事録) |
これについては,相続財産となる土地は,換金性が低いこと,納税資金が不足して売却をせざるを得ない場合があることや土地の市場への算入を促進するなど,かなり政策的な意味合いが強いこともあり,この数字だけで軽軽には判断できないかも知れません。
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年末調整
サラリーマンが毎月の給与から源泉徴収されている所得税を本来いくら払えば良いのかを,徴収時に考慮されていなかった保険料とか年金の支払額を含めたところで計算して,その人の年間の納税額を確定します。
通常は12月において本年の最後の給与を支払う時までに行います。
今年,24年の年末調整で改正があって注意すべき所は,大きくは次の二つ。
これは,下表のように片道の通勤距離で1ヶ月当たりの,課税されない通勤手当の限度額が定められていますが,そのうち片道15Km以上の場合にあっては、交通機関を利用した運賃が高ければそちらを使えました(月あたり10万円が上限)。
この特例が、平成24年1月1日以後に受けるべき通勤手当からは廃止とされました。
これは,交通用具を使用している場合に適用されますので,マイカー通勤には限りません。自転車,バイクでもOK。ジョギ
片道の通勤距離 |
月あたりの限度額 |
2km未満 |
(全額課税) |
2km以上10Km未満 |
4,100円 |
10km以上15Km未満 |
6,500円 |
15km以上25Km未満 |
11,300円 |
25km以上35Km未満 |
16,100円 |
35km以上45Km未満 |
20,900円 |
45km以上 |
24,500円 |
これを片道の通勤距離の中間値で20日勤務した時の1Km当たりの金額は,次のよう
片道距離 |
限度額 |
1kmあたり |
6km |
4,100円 |
17円 |
12.5km |
6,500円 |
13円 |
20km |
11,300円 |
14円 |
30km |
16,100円 |
13円 |
40km |
20,900円 |
13円 |
60km |
24,500円 |
10円 |
これを見てお判りのように,マイカー通勤では,燃費の良い車のガソリン代程度で,車の償却費や保険料はでないことになります。
編集後記
今年の最終号です。1年間お読み頂き,有り難うございました。次は新年号。年賀状の代わりに発行します。年賀状の取りやめは,脱郵便局でスタートしましたが,元旦配達や送付の手間などで,まだ道半ばです。元旦号,写真で綴る1年間。これから今年の写真を選んでいきます。
来年もどうぞ宜しくお願いします。
編集発行 株式会社プランニングファイブ
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