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平成24年5月1日
計画停電
昨年は,3月14日から4月にかけて計画停電が実施されました。計画停電が本当に必要だったかは,定かではありませんが,その影響は,本当に体験した人で無いと分からないのかもしれません。一日に二度の停電は,最悪。不公平なグループ分け。結局夏場は大口企業にピーク時の電力需要の15%削減を義務付ける使用制限令の発動で計画停電を回避しましたが,また同じ状況が起こらないとも限りません。
計画停電は,首都圏の中心部では実施されなかったにもかかわらず鉄道が運休して大混乱となりました。これは,鉄道の運行動力は別系統だとしても,信号系統がまともに計画停電の影響を受ければ全区間で鉄道はストップしてしまいます。その他にも交通信号機が短い区間のブロック単位で止まってしまいました。これからどうなるか分かりませんが,これに対する対応は,昨年からとっておくべき問題です。計画停電などあっては困りますが,有った場合の対応の準備しておくべきでしょう。
福島原発は1970年代に作られたもので,日本の原発は,築30年を超える老朽炉,小型炉を温存してきました。現在は,第3世代型の原子炉が主流ですが,福島の原発は第2世代初期型で
世界を見ると,原子炉は第3プラス世代から第4世代原子炉へと注目が移っています。高い経済性と安全性,廃棄部最小化を追求する第4世代型,もちろんうたい文句で「安全性」と言われても信用できなくなっていますが,中国ではこの第4世代型の「トリウム溶融塩炉」の実用化に向けて名乗りを上げていると言われています(東洋経済2011/6/11,60頁)。
我が国では,原発を完全に選択肢としない方向に向かうのか分かりませんが,研究は続けておくべきでしょう。
5月の税務・総務予定
(税務)
*特別農業所得者の承認申請期限 15日
*23年分所得税延納分の納付期限
31日
*自動車税の納付 通常月末
*個人住民税特別徴収税額通知
まもなく
(総務他)
*クールビズ等節電対応計画
*労働保険の更新手続きは、 6月1日(金)から7月10日(火)まで
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役員の給与(報酬など)については,平成18年度(2006)の税制改正で,定時株主総会以外の改定は,増額する場合ばかりで無く減額する場合も厳しくなり損金不算入(課税される)とされることが多くなりました。特に減額改定は,それ以前は,経営悪化により早く手を打つために段階的な減額も多々みられましたが,平成18年以降これもままならなくなり,それ以後は,「経営の状況が著しく悪化」(「業績悪化改定事由」といいます。)したという抽象的な原因にのみ認められるとされたため,報酬の減額を躊躇することが少なくありませんでした。
@実際に業績の悪化が顕著にみられること(数字上でも)
A第三者である利害関係者(株主,債権者,取引先など)からの要求で減額せざるを得なくなったこと(経営=株主の中小企業では難しい)
B取引銀行との間で借入金返済条件を延長してもらうための協議において減額せざるを得なくなったこと(取り決めは?)
C経営状況の改善のため減額を計画策定に盛り込まれていること(計画書は?)
すなわち,資金繰りの悪化とか経営目標値の不達成などでは,認められませんので,結果として減額は極めて困難になりました。
例えば下図のように3月決算法人で,5月の総会時には報酬額を50万で据え置いて,11月になって12月から40万円に上記の業績悪化改定事由に該当しない報酬の減額を行った場合には,
役員報酬の減額は,従業員に対しては無理でも,役員として経営に対する責任に対して対応すべきことから早期に減額する場合が多く,実施せざるを得ないことが多いようです。税法はそれを阻害しています。
主な点は,
イ 売上の大半を占める主要な取引先が手形の不渡りを出したこと
ロ まだ数値的指標が悪化していないが数ヶ月後には売上の激減が予想される
役員報酬の減額をしなければ,客観的な状況から今後著しく悪化することが不可避と認められますので「業績悪化改定事由」とみとめる解説が出ました。
この客観的な事由として,主力商品に瑕疵があり多額の損害賠償金等の支出が予想されるとした例示がされています。
また「役員給与を減額するに当たり、会社経営上の数値的指標の著しい悪化が不可避と判断される客観的な状況としてどのような事情があったのか、経営改善策を講じなかった場合のこれらの指標を改善するために具体的にどのような計画を策定したのか、といったことを説明できるようにしておく必要があります。」とされています(同Q1−2)。
この特徴は,数値的指標,すなわち現実に売上の減少が顕著になっていない段階でも,客観的事由は必要とされますが,減額が認められる場合を指摘しています。経営者にとっては営業利益の赤字はなんとしても回避したいと思うものです。そのためには,赤字になってからでは遅く,その前に手を打たなければなりません。その意味では,一歩前進かも知れませんが,安易な立法が結局は経営者の足をひっぱているともいえます。
そこで思うのは,減価償却制度の改正です。これは平成19年に鳴り物入りで改正された償却可能限度額の廃止と定率法の(定額法)250%償却でした。当時の国会の審議録をみても,この250%償却についてはほとんど議論にならならなたようです。これが平成23年度の改正で200%になりました。場当たり的な改正の感は否めません。当時としては250%償却は,諸外国に比べても画期的なものでしたが,すぐに変更したため安易な改正のツケをこれから払わされました。
減価償却は,租税負担においては大きな影響を及ぼしますが,期間損益の計算で,妥当かどうかは別問題です。大企業では,国際会計基準による統一の問題があり,定額法へのシフトがみられます。会計と,課税は別途に考える必要があるかも知れません。
省略
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法人契約のがん保険
これまでの連載は,一時中断です。税務新情報でこのコーナーを埋めたいと思います。
法人契約のがん保険(終身保障タイプ)は、法人が契約者でかつ保険金受取人、役員や従業員を被保険者とする契約で、一定の要件をクリアすることで支払保険料の全額損金算入が認められていました。しかし一方で保険期間が長期にわたるものでは、若いうちにも高い保険料を負担するなど平準化した保険料を算出していることから、保険料は掛け捨てでも(満期保険金はありません),保険期間の前半において中途解約または失効した場合には、相当多額の解約返戻金が生じ,保険というより金融商品となっているのでは無いかと思われるものも見受けられていました。これを実態に即した課税をして次のように損金算入を制限する取扱いとなりました。
(例)25歳で加入した従業員のこの「がん保険」を年12万円払い込む場合
105歳-25歳(加入時)=80年(105歳は一定)
この期間の半分は,前払期間として毎年の支払保険料の半分を損金,半分を資産計上します。
そしてこの従業員が65歳を過ぎると,支払保険料の全額と資産計上した前払保険料240万円を取り崩していきます。
(借)支払保険料 18万円 (貸)現預金 12万円
A払込期間の定めがあるタイプ(払込が60歳までとか一時払いとか)
12万円×(55-25)/40(前払期間)=9万円が当期分の支払保険料となり,その半分が損金となります。
(借)前払保険料 7.5万円 (貸)現預金12万円
編集後記
GWは,どうでしたでしょうか。この通信が皆様のお手元に届く頃は連休明けになっているでしょうが,書いているときはまるで梅雨空。例年では関東地方の梅雨入りは6月になってからですので,これから良い季候になると思いますが,時々寒くなったりするかも知れませんので,気をつけてください。
編集発行 株式会社プランニングファイブ
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