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平成12年月1日
民事再生法
 平成11年の全国高額納税者番付が、5月16日に国税庁から発表されました。今年の特徴は、情報技術(IT)関連のベンチャー企業関係者の株取引によるネット株長者が上位に食い込んでいることです。
 その中で興味深いのは、光通信の社長が、自社の保有株の売却によって
700億円の譲渡益を得たにもかかわらず、その税金が7億円に過ぎなかった為に、長者番付百傑にも入っていなかったことです。これは、有価証券の売却に対する課税は“申告分離課税”と“源泉分離課税”のどちらかを選択することができ、株式公開によって創業者利益が発生する場合には、“源泉分離”が遙かに有利となるためです。例えば、この事例のように700億円の売却益に対し“申告分離”ですと、180億円の税金になりますが、“源泉分離”を選択しますと売却代金の1.05%の7億円の税金ですんでしまいます(旧措置法37の11、附則15)。但し新規上場株式の場合には通常上場後1年以内の株式の譲渡についてはこの“源泉分離”を選択することができませんが、光通信の場合はこの規定をクリアーしたようです。なおこれには後日談があって、光通信の社長が大きな利益を得た反面、その後の株価が急落したために、大損をした投資家があふれて、なんだか割り切れない感じを受けているそうです(Yomiuri Weekly2000.6.4)。
 また、来年3月からは、一律“申告分離課税”となるため、長期保有による手持ちの有価証券の株価が上昇している場合には、相当な益が見込まれますので、“源泉分離課税”の選択のできる来年3月までに売却する場合が多くなると予想されています。このような株式が大量に売却されれば、当然株価は下がってくることから、経済環境に与える影響も無視できなくなってきます。株式市場が低迷すれば、景気の先行きにも影響を与え、個人消費が伸びない原因ともなり、企業倒産もまだ続くのではないかと懸念されています。

6月の税務・総務予定
(税務)
*所得税の予定納税額の通知 15日
*普通徴収の個人住民税の納付(第1期分) 通常月末
(総務)
*給与計算での住民税額の変更
*賞与の準備・支給
 
 このような中で、今年の4月より再建型企業倒産処理の手続を定めた「民事再生法」がスタートしました。今後皆さんの取引先の中に民事再生法の適用を受ける企業が出ないとも限りませんので、今月はこの法律とその対応方法についてお話をしていきます。
 この民事再生法は、和議法に代わるものとして、中小企業にも再建し易い法的な枠組みとなっています。従来は、中小企業等が再建を図る場合には和議手続による場合が多かったのですが、和議による場合には、破産原因が発生(支払不能・債務超過)していることが必要とされるため手続の開始時期がすでに遅きに失してしまうこと、担保権を持っている人は和議手続と無関係に担保権を実行することができるため、事業継続に必要な財産がなくなり再建ができないなどの問題がありました。 今回の民事再生法は、これらの欠点を解消し、債務者(経営者)が、経営権や財産管理処分権を失うことなく、債権者の概ね2分の1の同意によって債務者の再建を図る手続が定められていますので、中小企業の経営者にとって使いやすい制度となっています。
 民事再生法の施行後、この適用を申請する企業が急増しているようです。 短期間に再建計画の認められるこの民事再生法は、また別の面を見せ始め、その“効用”としてM&Aに利用される場合もでてきています。会社全体の再建を目指す会社更正法と違い、民事再生法は、有望な「事業」の再生を目指すのも目的の一つですので、事業部門を売却して別の事業の存続と従業員の雇用を確保し、不採算部門を清算することによってM&Aを行うものです。
 また、半年程度かかると見られる再生計画決定までの運転資金を融資するビジネスも出てきているようです。
 反面、銀行にとっては、突然倒産する企業が増えることが予想され、民事再生法の導入をきっかけに融資体制が見直され、貸し渋りが増えることが予想されています(日経2000.5.21朝刊)。
今回は、取引先が民事再生法による再生手続の申し立てがあったときの話ですので、大分遠回りしてしまいました。
 取引先に再生手続開始の申し立てがなされ、保全命令が出されたとします。
満期前の手形は、決済されませんし、売掛債権も凍結されてしまいます。
 問題は、相手先から従来通り継続的に納品して欲しいと言われた場合にどうするかです。当然、現金引き換えでなければ納品できませんということもできますが、売上の大半を占める取引先の場合には、少しでも商売を継続して自分の企業の生き延びも図らなければなりませんので、難しいところです。通常、継続的供給契約の場合には、共益債権として保護される場合がありますので、当社の売掛金が、共益債権として裁判所の許可か、それに代わる監督委員の承認の確認をとっているかを確認して取引を行ってください。
 また当然のことですが、このような場合に裁判所から送られてくる再生債権の届出用紙には必ず貴社の債権を記載して届け出てください。そうしないと売掛金債権が失権してしまうことがあります。
 その再生会社に売掛金と買掛金が有った場合に相殺できるかどうかが問題になります。売掛金の請求期限が来ていない場合には、買掛金だけ支払い、売掛金はもらえない場合も出てきます。相殺できる場合でも、相手方に相殺の意思表示をしておく必要がありますし、基本契約にも利益喪失条項を記載しておくべきでしょう。非常にデリケートな問題も多く発生すると思われますので、弁護士に相談して対応してください。
 次に税務上の問題です。売掛債権を有する取引先が民事再生法の再生手続開始をした場合には、法的にはその債権が無くなったわけではありませんので、通常、債券額の50%相当額を貸倒引当金の個別評価によって繰り入れる(費用化する)ことができます。その後、再生計画認定決定により、カットされた売掛金(再生債権)は、法律上の貸倒となりますので、貸倒損失として計上します。もちろん、前期までに繰り入れた貸倒引当金は戻し入れ(収益とし)ます。(『ビジネスマンのための民事再生法』日経BP他)
 今、このような厳しい経済環境の下で時に、これからの政治、経済の舵取りを決める衆議院議員を選出する選挙が予定されています。政党政治の下では、選挙の最も大きな要素の一つに、与党に対する信任投票としての性有が有るとされています。


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 誌上PC教室 3回
 Windows95や98には、文字を削除した場合などにクリップボードに保存されて、大きなデータとなり、これが負担となってスピードが落ちることがあります。このクッリプボード内のデータを簡単にクリアーするには、「ごみ箱」アイコンを右クリックして“貼り付け”を選択するだけでクリアーされます。Windows98では、クリアーするデータがないときは“貼り付け”は表示されません。
  Outlookで予定表などの個人管理をされているかたは、次のURLにバックアップソフトが有りますので、まだの方は、使ってみてください。http://officeupdate.microsoft.com/japan/downloadcatalog/dldOutlook.asp
 
 以下省略

 編集後記
 今月は、第3回なかゆき会ゴルフコンペ、7月は、バス研修会を企画しております。また、納期の特例の皆様は、7月10日に上半期の源泉納付がありますので、宜しくお願いいたします。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ
 
 

    

Last Updated: 5 /JUNE/2000