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     税理士中江博行事務所  NO.121

 

 

平成11年10月1日

Nuclear Fission

 
 9月30日に突然、茨城県東海村の民間のウラン燃料加工施設から深刻な放射能漏れ事故が発生したと報じられました。この事故は、日本初の臨界事故で、周辺住民に対して避難勧告が出され、その深刻さから、海外のメディアもトップニュースで扱われました。
 現時点では、詳細は不明ですが、核分裂が燃料加工工程で連続しておき(fussion chain reaction)、大量の放射能が放出されたとのことです。
 同様な事故は、1945年以降で60回目、1978年以降では5回目だそうです。
 東海村,大洗町,那珂町及びひたちなか市に日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団,日本原子力発電などの原子力事業所を有する茨城県では、従来より茨城県環境白書で、その安全対策や監視態勢の強化を行ってきたようですが、9年3月の動燃東海事業所「アスファルト固化処理施設」における火災爆発事故による37名の被ばく事故以上の重大な事故が発生してしまいました。
 核分裂によって、ウラン1gあたり石油20万リットルに匹敵するエネルギーの利用は、現代の高度な物質社会に多大の恩恵をもたらしましたが、一つ間違えば豊かな文明社会を崩壊させる現実を目の当たりにすることになってしまいました。現場周辺10キロ以内の住民約31万3000人に被ばくの恐れがあるとして、家から出ないよう呼び掛け、日常生活に大きな影響を与えました。事故当時、作業員は、線量等量にして最大8シーベルトを被ばくしたとされています。人は、宇宙から年間0.35シーベルトの放射線を浴びていますが、それに比べても遙かに大きな放射線を一度に浴び、周辺住民にも拡散しました。
 現代社会では、自然放射線ばかりでなく、胃のX線検診(1回に4シーベルト)やガン治療(局部に5,000シーベルト)などで放射線を浴びています。そして、否応なく共存して利用していくしかないのです。
 原子力先進国と自負していても、気のゆるみは、この様な大きな事故につながることを、是非、先端の技術者はいつも考えていて欲しいと思います。

10月の税務・総務予定
(税務)
*個人住民税の納付 通常月末

(総務)
*労災事故防止の安全教育
 
 
 今月は、最近よく質問を受ける税効果会計についてご説明します。興味のない方も多いと思いますが、簡単に見ておきますので、会社経営者の方は、目を通しておいてください。

Q.中小企業の社長さんからの質問です。税効果会計によらないといけませんか。
 
A.平成11年4月1日以降開始する事業年度から、公開会社の個別財務諸表及び連結財務諸表に、税効果会計を適用しなければならないことになりました。問題は、貴社のような中小企業のように公開会社以外の会社については、どうなるかという事です。
 原則論から言いますと、平成10年に「財務諸表等規則」及び「商法計算書類等規則」が改正されたことにより、大会社から小会社までのすべての会社に、この税効果会計は適用されることになっています。ただ現時点においては、公開会社以外の会社では、税効果会計による処理を強制されてはいません。
 しかし、親会社などの関連会社が、公開会社で税効果会計によっている場合や、金融機関などの債権者から要請される場合には、貴社も税効果会計によることになるのは言うまでもありません。

Q.それでは、税効果会計とはどのようなものでしょうか。
 
A. ちょっと難しくなりますが、税効果会計とは、企業会計上の収益又は費用と課税所得計算上の益金又は損金の認識時点の相違などにより、企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に相違がある場合において、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金(以下「法人税等」という。)を適切に期間配分することにより、法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする会計処理の方法をいいます。

Q.税効果会計を導入した場合に、税法上の所得金額にどのような影響がありますか。
 
A.税効果会計は、法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする会計処理の方法ですので、原則として、課税所得の金額に影響を与えません。
 ここでは、もう少し詳しく説明します。
 会計上、法人税等を処理する方式としては、納税額方式(Tax Payable  Method)と税効果会計(Tax Effect  Accounting)があります。
 わが国では今まで、原則として納税額方式によるものとし、連結決算上でのみ税効果会計の適用を認めていましたが、国際的調和の観点から、全面的な税効果会計が採用されることになりました。
 納税額方式では、会計上の法人税等は納付税金費用のみからなり、繰延税金資産・負債は認識されません。これは、納税額方式では税引前利益が株主の利益であり、税金は費用というよりむしろ利益の配分であると考えているからです。
 一方税効果会計とは、会計上の法人税等を他の費用と同様に費用と考え、支払の有無に関係なく発生主義で認識する方法で、会計上の損益認識時点と課税計算上の損益認識時点との間に相違がある場合に、その期間帰属のズレを調整するものです。税効果会計を適用しないと同額の税引前利益を上げても税金費用の額が異なる場合が生じ、期間比較あるいは会社間比較が適切に行われなくなります。
 納税額方式
   会社利益        税務加算額 

100

20
    法人税等(実行税率50%)


 

   60
 
納税額方式では、申告調整の影響額(20)により、会計上の利益(100)
と法人税等(60)の対応ができません。
 税効果会計
 税効果会計では支払う税金を会計上の利益に対応する部分とそれ以外の部分に分けて考えます。
   会社利益    税務加算額 

100

20
   法人税等    繰延税金資産


 

  50
 


 


 

10
 
 これが税効果会計の基本的な考え方です。


          Corner 

 
 2000年問題 Y2K その2
 
 
 パソコンの2000年問題では、ハードウエアーとソフトについてそれぞれ見ておく必要がありますが、今回はハードを取り上げます。
 
 特に古い機種のパソコンでは、メーカー情報から確認をとって貰う方法が一番良いのですが、その確認ができない場合には、次の方法をお薦めします。
 Windows95以降、“起動デスク”が用意されています。用意されていない場合には、必ずとっておいて下さい。
 “起動デスク”の作成の方法は、「コントロールパネル」の「アプリケーションの追加と削除」により、使用していないフロッピーディスクを使って、簡単に作ることができます。
 この“起動デスク”をFDドライブに入れ、パソコンの電源を入れます。起動しましたら、MS-DOSのDATEコマンドとTIMEコマンドを使い、1999年12月31日23時58分に合わせ、一度電源を切ります。3分ほど待って、“起動デスク”で再度起動してみて下さい。
 正しく2000年の1月1日になっていたらOKです。その後は、忘れずに、時計を正しく合わせておいて下さい。
 

 編集後記
 10月になったというのに一向に涼しくなりません。一方世間では、東海村の臨界事故や、訳の分からない無差別殺人など、背筋の寒くなるような事故、事件が起きています。”天高く馬肥ゆる秋”というような、すっきりとした秋晴れを早く望みたいものですね。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ
 

    

Last Updated: 4/OCT/1999