P5 NEWS         SHONAN TAX OFFICE  NO.242   
 




 
 
平成21年11月1日
 
ユニバーサル・サービス

 朝晩は、急激に気温が下がってきました。今年も後2ヶ月を切った途端に予定が増えたような気がします。

 鳩山内閣の発足から1ヶ月が経過し、過去になかった目新しが新鮮に感じられますが、逆行するものも現れてきました。

 先月末に発表された日本郵政の役員人事もその一つ。その決定のプロセスの不透明さも然り乍ら閣議決定を見ていると民営化路線から大転換という感は否めません。政府関係者は、民営化の堅持を謳っていますが、分割の見直し、株式の売却凍結、官僚出身者による官僚統治、そして極めつけが郵便局を地域の行政拠点化ですから、国有化に逆戻りといっても良いでしょう。  郵便事業についてはユニバーサル・サービスを強く謳っています。通信事業もかってはそうでしたが、一般の企業にも当てはまらないわけではありません。

 現在の郵政事業の世界の流れは、Eメールや携帯電話の復旧によって確実に引受郵便数が減少していく中で、郵便局(拠点)の減少(日本の郵便局数は日本の面積の25倍ある米国の郵便局数と同じです)ないしはドイツポストのように外部委託へのシフト(宅急便業界では常識です)、職員数の減少などが進んでいます。行政拠点化などと言ったら、まさに逆行。このままいけば,郵便料金の高値安定はもちろん、値上げするしか無くなります。ニュージーランドポストのユニバーサルサービスに関連した郵便局の閉鎖に対する訴訟で裁判所は、利益のでない郵便局をあけておき,その業務を続けるという責任は無いとしました(吹春「郵便事業の国際比較」29頁)

 確かに過去の民営化企業の多くは、巨大企業のまま「クリーム・スキミング(良いとこ取り)」の問題が指摘されています。長期政権で日本特有の現象なのかも知れませんが、官製事業における国民の信頼の低下に民営化による責任の所在の明確化など、向かうべき方向ははっきりしています。

 

11月の税務・総務予定
(税務)
所得税の予定納税額の減額申請   16日まで
*所得税の予定納税額の納付(第2期分) 30日
まで
*個人事業税の納付(第2期分)     通常月末
(総務他)
*労働保険料の延納
 (第2期分割納付分)2日まで

 
 

 無規律な規制緩和は、サブプライム問題で代表されるように許されないでしょうが、当事者のせめぎ合いの中で、規制緩和は今後とも必要ですし、やらざるを得ません。

 労働環境の規制の強化が叫ばれていますが、それで本当の解決になればいいのですが。就業・解雇規制の厳しい欧州では労働環境が硬直化し一度失業すると再就職は難しく失業期間の長期化を招く傾向があると言われています。ユーロ圏の失業率は10%を超えています。雇用におけるある程度の自由は、やむを得ないところです。

 

 さて、雇用の悪化は給与水準にも現れています。国税庁の平成20年度の

「民間給与実態統計調査結果」では、

 

給与所得者数は、5,500 万人
民間の給与支給総額は、200兆円
源泉徴収税額は、9 兆円
1年間まるまる勤務した人だけをみますと、
給与所得者数は、4,500 万人
平均給与は、430 万円

 平均給与は前年比で2%程度悪化し、10年程前のピーク時からは10%近く低下しました。

 また、男女格差が大きく、男性の平均給与500万円に対し、女性は300万円にしかなりません。

   年間給与額の分布では、4割の人が300万円以下で、4分の1の方が年間

200万円以下の給与で働いています。所得ではありませんので、それだけで生活しているとは言えませんが、年間を通して働ける職場の減少と給与の減少は顕著で、多くの人が低い給与で生活を強いられているのが現状です(詳細は、http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2008/pdf/001.pdf

 

 既報(8月号)のように、昨年度までは,政府と与党の二つの税調で税制改正について審議を行ってきましたが,今年からは政治主導の新しい税調に一元化され、10月8日に新しい税制調査会の第1回会合がスタートしました。

 新税調は,各府省からの税制改正要望事項の提出期限を10月30日と定め,また,税調会長に対して次の7項目を諮問をしました。

@ マニフェストに示す税制改正項目の詳細を検討すること。

A 租税特別措置を見直すための具体的方策を策定し、納税環境整備を検討すること。

B 所得税の控除など個人所得課税のあり方について検討すること。

C 環境負荷に応じた課税として,酒税・たばこ税は健康に対する負荷を踏まえた課税のための必要な事項について検討すること。

D 国・地方の税財源配分を含めて地方税制のあり方について検討すること。

E 法人課税や国際課税等の分野に対応できる税制のあり方を検討すること。

F 税制抜本改革実現に向けての具体的ビジョンについて検討すること。

 これらは、従来から言われていたことでそれほど目新しいものではありませんが、酒税・たばこ税の増税基調は,はっきりしてきました。

 

 税制調査会では、10月までに5回の会議を開催し、12月中旬頃までに平成22年度の税制改正方針を取りまとめる予定となっています。

 今まではヒヤリング段階ですので、議事関係では、それ程興味を引く内容はありません。そこで10月29日の会合

後の記者会見録の一部を紹介します。

○記者
 税調の中で、税理士会の方から高額所得者の給与所得控除の上限額をという要望があり、これには峰崎副大臣が、それは是非やっていくべきだというようなお話をされていたような気がするんですけれども、これはやはりやっていくべきだというようなお考えなんですか。

○峰崎財務副大臣
 我々としては、政策集INDEXにも書いていますように、青天井でずっと続いていくということについて、果たしてそれがいいのかと。やはりある程度の上限を設けた方がいいのか、その場合には大体幾らにするのかというところがやや迷っているというところはあります。
 さきほど3,000 万円とか2,000 万円という数字が出ていましたが、中小企業の方々というのは、2,000 万円ぐらいというのがいい線かなと。そうすると2,000万円というのはちょうど確定申告をしなければいけない金額ですから、少し普通のサラリーマンからすれば高いのは当たり前なんですけれども、とりあえずその辺りはどうなのかという、そんな意見がありましたので、参考にはしたいと思っています。

先にも書きましたが、郵政事業の大幅な民営化の見直しがスタートしました。公平な市場競争の必要性から、といっては話は大きくなりますが、早い話は、郵送物についいて事務所でも見直そうと思っています。第一弾として、このニュースは、海外便以外、郵便ポストから宅配便によるメール便に変えて参ります。記念切手が,楽しみにしていただいている方には申し訳ありませんが、記念切手が無くなり次第変更させていただきます。重量をそれほど気にすることが無くなりますので、便利になりそうです。

 

省略

 
SHONAN TAX OFFICE
P5コーナー
(株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の資産運用、相続対策業務、パソコンの購入及び指導、貴社のホームページの作成・ドメインの取得、計算書類の公告のお手伝いをしております。
 
税の歴史−地租改正3
 

 先月号までの“地租改正”で、田畑の測量とその土地の時価の算定作業が行われたとお話しいたしました。

 前回は、測量の話で、今回は地租改正の主眼である評価をどうしたかのお話をいたします。すなわち、評価こそが地租改正の目的でした。

 田畑の自由売買が許され、実際に売買されていた所では、当初は“売買時価主義”によって売買の都度地価を改訂する建前をとっていました。しかし実行してみたら困難で、売買の有無で負担が変わるというのも課税の公平とは言えません。そこで“収益価格主義”へと転換しました。

 17則からなる「地価改正施行規則」では、地価の査定方法は、その土地の収益を調査し、それを一定の利率で還元して時価を算定する方法をとりました(第1則)。現在のいわゆる“収益還元方式”と同様です。

 具体的には、収益の調査は,土地の査定、肥沃の度合いによる地位等級の確定、を行いました。その方法には二つあり、一つは、いくつかの村をまとめて組合村を作りその中で平均的な土地を役人が等級を評定し、それを基準に所有者が評議して決める方法。もう一つは、最初は所有者が等級を調べ、決定後に役人が調べるという方法です。後者は、まるで申告納税制度と同じです。しかし、評価の算定は、かなりばらばらであったことは想像に難くありません。

 具体的に計算をしてみます。田1反歩の収穫が、米1.6石で、石あたり3円とします。そこから肥料代などが15%、地租が3%、地方税はその3分の1ですから差引手取額は、2.45円。これに直近数年の平均金利(6%とします)で還元すると、40円が地価になり、その3%の1.2円が地租になります(土方『江戸時代の江戸の税制と明治六年地租改正法公布』130頁)

 

 省略

 


編集後記
 新型インフルエンザに罹った人の話を良く聞くようになりました。冬場の時期はもっと流行るのかも知れません。もう来月は師走。街にイルミネーションが,目に付くようになってきました。
 そろそろ、忘年会の予定がチラホラ・・・
      
 編集発行 株式会社プランニングファイブ