P5 NEWS SHONAN TAX OFFICE NO.240
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平成21年9月1日
20周年記念号?
今回で240号と言いますと、この事務所通信も丁度20年になったと言うこと。長く続いたものです。でも特集号を書こうなんて残念ながら、これっぽっちも思っていません。とにかく早く書き上げたい。
さて、今月は、衆議院議員の選挙が先月30日に行われ、大方の予想通り民主党が圧勝しました。小選挙区制では、片方により多く振り子が振られる傾向にあるようです。気が早いが、来年の次回参議院選での振り子の戻り方が気になるところです。
「1.結局、政党で選ぶことになり、人/経験で選ぶ要素は低い−閣僚経験も意味をなさない。長い経験は、何をするかしないか先が見えてしまう分だけ逆にマイナス要素にもなりかねない。
2.党首の要素も低い(日経新聞から・・比例で「党首が誰か」が決め手になったか。ならない・・61%)
でも選挙前に、一方は交替し、片やしがみついた。逆だったら、結果は、こうなっていたでしょうか?
3.長いこと、仕事として政治家をやっているといくら優秀でも、一般国民の気持ち・考えがつかみ切れない。
「甘さがあった」と語る。でも判かっていないはずはない。トップを決める選挙が、その後のメンバーの当落を大きく左右する。
民主党政権が、スタートします。どの程度の『CHANGE』になるかどうか判りませんが、少なくてもギアを入れ換えるぐらいのChangeにはなって欲しいもの。マンネリを避ける“for a cha-nge”では寂しい!!
また、新政権も大きな問題も抱えています。一つには、何時も出てくる内部に抱える問題。もう一つは、連立の危うさ。
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9月の税務・総務予定
(税務)
*個人消費税の振替納税 28日(金)
(総務他)
*防災訓練
*社会保険標準報酬月額の訂通知書による変更
9月給与支給分から
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税制が、どのように変わるのかは興味深いところです。基本的なところでは、そう相違しないのではないかと思っていますが、細かいところでは、政権が持続すれば、かなり変わってくるかも知れません。
の2008年末に発表された内容から、今年の初めに表にまとめたものをあげておきます。
2009年度の自民党と民主党との税制改正の方向の相違
抜本改革 |
自民党 |
民主党 |
法人税
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課税ベースの拡大
法人実効税率の引き下げ |
法人税率の見直し
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所得税
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最高税率の引き上げなど税率構造の見直し
給与所得控除の上限調整等
給付付き税額控除(税額控除額が所得税額を上回る場合)
中低所得者の負担の軽減 |
最高税率の引き上げに対しては再分配機能の回復策としては、実効性に乏しい
所得控除に変えて給付付き税額控除の導入
特定支出控除の見直し |
金融所得課税
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金融所得課税の一体化
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総合課税が望ましい。
損益通算の拡大 |
消費税
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消費税税率の見直し
複数税率の検討 |
複数税率化には反対
給付付き消費税額控除 |
相続税
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「遺産取得税方式」を志向したが「法定相続分課税方式」を維持
課税ベース、税率構造の見直し |
「遺産税方式」への転換
贈与税のあり方を見直す
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自動車関係諸税
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暫定税率を含む税率の見直し
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自動車取得税の廃止
自動車重量税・自動車税の一本化
ガソリン等燃料課税は、地球温暖化対策税として一本化 |
地方税
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地方消費税の拡充
地方法人課税の見直し |
地方税の非課税措置の見直し
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21年度改正 |
与 党 |
民主党 |
道路特定財源 |
現行の税率水準を原則維持 |
暫定税率の廃止 |
証券税制 |
3年間延長 |
一体課税まで,現行優遇税制の延長 |
住宅ローン減税
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最大控除可能額の大幅引き上げ
自己資金での省エネ・バリアフリー改修の税額控除
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平均的なローン残高は1.6千万円であることから最大控除可能額の拡大に否定的
自己資金による住宅等の購入に負担軽減を設ける |
中小企業軽減税率 |
22%から18%に2年間引き下げ |
22%から11%に引き下げ |
特殊支配役員給与 |
適用状況を引き続き注視し存続 |
廃止 |
(T&Amaster291号4頁、2009年を参考にしました。)
この中で、民主党の案は、「・・相続人が資産等を得た時点で課税するのではなく、遺産そのものに課税することが適切である」として、遺産税方式を提案しています(平成20年12月24日 民主党税制調査会「民主党税制抜本改革アクションプログラム)。これは、通常の現在の流れとなっている遺産取得税方式(自民党案)とは180度相違しています。私も遺産取得税方式が良いと思っています。
わが国の相続税は、日露戦争時の明治38年に制定され、当時は民主党案のような遺産税方式をとっていました。その後、昭和25年に、わが国の税制についてシャウプ勧告として数々の提言が行なわれました。当時、米国でも遺産税方式をとっていましたので、勧告では
「日本の現行の相続及び贈与税法は,米国のそれによく似ている。しかしながら、この法律に関する米国の経験は、必ずしも満足なものではなかった。・・よって,我々は,米国においてかように不成績に終わるに至った道程をこれ以上日本が進むべきでないことを勧告する。・・相続課税の主たる目的の一つは、根本において、不当な富の集中蓄積を阻止し、合わせて国庫に寄与せしめるにある。このためのもっとも良い租税形態の一つとして、『取得税』がある」(第一次、8章A)として戦後の相続税(承継取得税)として早急に立法化されました。その後、「遺産の分割方法によって税額が変わり、また、納税者が相続人の受け取る取り分をごまかして申告することが多いので満足すべきものではない」(『シャウプの証言』66頁)
として1958年に改正され、現行の法定相続分取得課税方式へと変わった経緯があります。遺産税方式の方が、税務執行が容易ではありますが、取得に関係ないとうことになると個々の担税力に応じる課税という面では劣り、遺産分割の方法によって税額の変動は生じないため富の分割促進は図れません。
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税の歴史−地租改正
年貢という税は、平安時代から江戸時代まで、ずっと農民に税金が課されて いたという話をしました。
1867年、大政奉還により江戸幕府が倒れ、その年の暮れに王政復古の大号令を発して成立した明治政府(1868年に“明治”と改元されました)は、今と同じで最初から財政難という難題を抱えることになります。
当初は、租税収入は、旧幕府時代の現物による租税徴収方法を踏襲することにしていました。廃藩置県(明治4年)として全国の藩を廃止するまでは、石高で言いますと全国3,300万石のうち、旧幕府・奥州諸藩の900万石から転封された徳川の40万石を差し引いた。830万石の税収しか有りませんでした(土方『江戸時代の江戸の税制と明治六年地租改正法公布』120頁)。これでは、徳川幕府当初の石高とあまり違いません。
新政府の中央集権化が進み、増税をおこなうにつれ直轄領での一揆が多くなってきました。税収の確保と民心の安定のために、新しい税制の仕組み模索することになりました。そこで、明治政府は、明治6年(1873年)に、「地租改正」とよばれる大きな租税改革を行うことになり、この大事業の主管者は,大蔵省事務総裁・参議・大隈重信卿で、彼は「地租改正の儀は皇国数百年来の一洗いたし候儀にて実に一大事件・・」であるとしています。
地租改正法は、勅紹としての「上諭」、土地の値段の3%を地租として徴収するとした「地租改正法(太政官布告)」、豊作、凶作によって地租の増減は行わないことと定めた「地租改正条例」や、「地租改正施行規則」、「地方官心得」からなっていました(同土方122頁、佐藤『租税』194頁)。
なお、土地の値段の3%というのは、従来の年貢と比べて決して安いわけではありません。従来の年貢が収穫高の40%(四公六民)ですから、土地の値段は当時、年収穫高の15倍していましたから、この3%という数字は、年収穫高の45%となる勘定になります(板倉監修『税金でさぐる日本史』26頁)。
編集後記
8月は大分のんびりしてしまいました。反省!季節は、平年より日照の少ない夏から秋へと足早に向かっていますが、これから「新型インフルエンザ」の流行のピークがやってくとのこと。ダウンするわけにもいきませんので、気をつけて頑張っていかなければなりません。皆さんもお気をつけ下さい。
編集発行 株式会社プランニングファイブ
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