P5  NEWS       SHONAN TAX OFFICE NO.226
 



 
 
平成20年7月1日
 
マイレージ
 
 いま、梅雨のまっただ中。でもこちらでは、余り雨が降らないような感じ。
 関東地方の今年の梅雨入りは、6月2日頃とされ、例年よりも早く梅雨に入った割には、お日様も時折顔を出す曇り空が続いています。紫に咲き誇るあじさいには、雨が似合うのでしょうが、何となくグッタリした感じがします。

 

 ところで、ガソリン代は、瞬く間に180円を突破しました。こんな事なら,暫定税率を元に戻して値上げしない方が、先見の明があると評価されたかも知れません。

 

 日本のエネルギーの約50%が、石油によってまかなわれ、世界で2番目の石油消費国ですので原油が高騰すれば、国民生活に大きな影響を及ぼします。石油の国内年間売上高は20兆円。そして7種類の石油諸税が5兆円。その他に消費税が0.8兆円です。消費税は、石油関連税が量に対する税と違い、売価に対する税ですので、売値が上昇すれば、消費税は増加します。ここ数ヶ月で50%以上売値が上がったことになりましたので、単純に計算すると0.4兆円ぐらい何もしないで増収になったことになり、どうも納得できません。
 
 さて今月の最初のテーマのマイレージの話から始めたいと思います。
 航空会社が、搭乗距離に応じてサービスポイントを付加する,いわゆるマイレージサービスは、顧客の囲い込みとして利用されています。もちろん航空券の購入に限らず,量販店や,クレジットカードを利用してもポイントが貯まるこのシステムが、思わぬところから注目を集めることになりました。

 

 事の起こりは、公務員が深夜帰宅の際にタクシー運転手から金品などを受け取った問題が表面化したのを受けて、公務で得たマイレージを、個人的な利用を封じる一括管理の検討を始めたそうです(読売新聞08.6.18)。

 

 これは公務員に限ったことではありません。会社の出張の際にためたマイレージで家族旅行に行ったとか、会社で使う品物の購入でポイントを貯め、そのポイントで個人的な品を購入したという話はよく聞きます。

 これは、厳密には会社から利益の供与を受けるわけですので所得税の課税が発生します。しかし、これによる申告があったと聞いたことがありません。利用している人には良い制度ですが、職務の内容によって利用できる人とできない人との間で不公平になってしまいます。反対意見も聞かれそうですが、企業も含めて今後、納得が得られるように対応しなければならない問題です。

 














 

7月の税務・総務予定
(税務)
*納期特例適用者の源泉所得税の納付      10日
*所得税予定納税額の減額申請          15日
*所得税予定納税額 第1期分の納付   31日
*固定資産税及び都市計画税の2期分の納付  通常月末
(総務他)
*社会保険月額算定基礎届

 
 
 
 もう一つ、相続税の改正の流れについてお話しをします。国会がどのようになるかで,違った方向に行くかも知れませんが、今はこのように改正されるだろうという方向と何が問題かを中心に話を進めます。

 

 ところで平成18年分で、お亡くなりになった方は百万人、そのうち課税対象となった被相続人の数は4.5万人、相続人の数は3人弱、課税価格10兆円、そして相続税の税額は、1.2兆億円。以前は、1.5兆円ぐらいでしたので、少なくなっているようです。但し税収50兆円としても2%、所得税や法人税の税収と較べても1割もいきません(2008年度版国税庁レポート)。
 

 相続税として亡くなられた方の財産に課税する目的は、富の集中の是正、再分配や未実現利益に対する課税の補完にあるとされています。もちろん、カナダ、オーストリア、ニュージーランドやスイスのように相続税(財産税)の無い国もあります。相続税のある国でも、税率や課税の仕方はバラバラです。

 

 わが国の相続税の課税方式は、亡くなられた方の遺産の総額を基に、法定相続人が法定相続分で取得したとした場合に、超過累進税率により相続税の総額を計算します。その意味では、アメリカ(2010年に連邦遺産税は廃止されることになっています。大統領が替わるとどうなるか)やイギリスのような遺産課税方式と言えるのですが、総額を出してのちに取得した割合に応じてそれぞれに課税するという遺産取得課税方式をとっています。すなわち、わが国の相続税は、遺産取得課税に遺産課税を加味していると言うことです。この方式は、良いところもありますが、悪いところもあります。前にもここで書きましたが、1億の財産を取得する相続人の支払う相続税は、100億円の財産がある被相続人から相続した場合には半分近く相続税がかかりますし、1億円の財産しかない場合にすべて相続しても、数百万円ぐらいにしかなりません。またある人の取得した財産が増加すれば、何も増加しない他の人の相続税も増加してしまいます。

 

 これを,シンプルに遺産取得課税に変えようとしています。富の再分配という目的に合致しています。但し全体として申告者の増加と増税になるのではないでしょうか。

 

 この方式による相続税では、財産を取得した人が申告・納税をすればいいことになりますが、解決しなければならない次のような実務的な問題が山積みとなっています。

 

@ 税率や基礎控除をどうするか。 

 

 最高税率50%(現行に同じ)以下にするかどうかがポイント。以前は、70%の時もあったが,高率は時代に逆行すのではないか。税額控除の可能性もある。基礎控除・税額控除は、配偶者と子供などで差が設けられると思われる。ドイツの基礎控除:配偶者5千万円、子供3千万円

 

A 生命保険金や死亡退職金などの非課税の計算をどうするか。

 

 現行は、500万円×法定相続人の数で計算される。法定相続人が4人なら、1人の人が生命保険金を取得しても2千万までは課税されない。これはどうなるか? 

 

B 配偶者控除や未成年者控除をどのようにするのか。

 

C 未分割の場合の申告はどうするのか。−未分割により申告された場合のその後のフォローはどうするのか。

 

 最大の問題。相続人間で争いになっているであろうからなおさら難しい。

 

D 相続人以外の人が遺言で取得したらどうするのか。

 

E 養子がいる場合はどのように計算するのか。

 

F 申告先は、今までのように被相続人の住所地で良いのか。

 

 こうしないと課税行政上混乱するのではないかと思われる。

 

G 取得した財産以外に被相続人の全財産の明細の添付を求めるのか。

 

 一部の財産しか相続していない相続人に総財産の添付は無理ではないか。

 

H 今ある連帯納付義務をどのようにすべきであろうか。

 

 連帯納付義務については,問題の多いところでもあり、廃止すべきではないか。

 
 

http://www.smrj.go.jp/keiei/dbps_data/_material_/chushou/b_keiei/keieikokusai/pdf/jigyokeisho2_2006.pdf

 ☆ 税研「相続・贈与税改革における活力と公平」(2002)

  などを参考にしました。
 
 省略
 
P5コーナー
(株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の資産運用、相続対策業務、パソコンの購入及び指導、貴社のホームページの作成・ドメインの取得、計算書類の公告のお手伝いをしております。
 
Q&Aコーナー
 
 源泉所得税を中心としています(http://www.nta.go.jp/)

 

校閲の報酬】
Q.講演を依頼した者に講演料(20万円)を支払いましたが、その講演内容の要旨を印刷物とするため、当方で作成した要約文の校閲を依頼しその報酬を別途支払います。この校閲の報酬は、源泉徴収の対象となりますか。
 

A.講演料は、100万円以下の部分については、10%の源泉徴収をして支払うことになっている。この場合の校閲の報酬は、一種の監修料に該当し、講演料と同様に所得税法第204条第1項第1号に掲げる原稿の報酬として10%の源泉徴収を要する。

 

ホステスの衣裳代負担による経済的利益

Q.わが社(バー経営)は、ホステスが自分で購入した衣裳につきその代金を負担することとしています。この衣裳は事業所以外でも使用できるものであり、また、その事業所に常備してはいません。
 

A.ホステス等の業務に関する報酬・料金として源泉徴収を要する。

 通常その事業所のみでしか使用できないデザイン、色調のもの又はその事業所以外で使用できるものであってもその事業所に常備しその事業所のみで使用するものは、制服に準ずる事務服、作業服等(所基通9-8)に準じて強いて課税しないが、本例の場合は、これに該当しなことからホステス等の業務に関する報酬・料金として通常10%源泉徴収を要する。なお、通常のスナックのホステスさんは、給与所得となる。

 

退職金を分割支給した場合の源泉徴収税額】
Q.本年3月に勤続30年で退任した取締役について、株主総会において5,000万円の退職金を支給することが決議されましたが、資金繰りの都合から7月に3,000万円、12月に2,000万円と2回に分割して支給することとしました。この場合の源泉徴収税額はどのように計算しますか。
 

A.まず、退職金総額5,000万円について源泉徴収すべき税額を計算し、その税額を各回の支給金額であん分して計算する。

@ 勤続30年に対する退職所得控除額……800万円+70万円×(30年−20年)=1,500万円
A 退職金所得金額の計算……(5,000万円−1,500万円)×1/2=1,750万円
B 源泉徴収すべき税額……1,750万円×33%−153.6万円=423.9万円(A)
C7月に徴収する税額…A×3/5=254.34万円
D12月に徴収する税額…A×2/5=169.56万円
 

 省略

 


編集後記 最近の地震の多さや温暖化による影響でしょうか、どうも自然が怒っているようです。高温多湿で毎日が滅入りますが、8月の夏休みまでもう一頑張りしないと。          編集発行 株式会社プランニングファイブ