P5  NEWS       SHONAN TAX OFFICE NO.224
 



 
 
平成20年5月1日
 
再可決
 
 新年度になって慌ただしい一ケ月が終わり、GW(ゴールデン・ウイーク)のスタート。気持ちの良いそよ風にに誘われて5月・皐月がやってきました。今が良い季節ですが、すぐに梅雨がやって来るのでしょうね。
 

 ところで、先月号で少しお話しした平成20年度の税制改正法が4月30日に公布・施行されました。

 従来、国民の経済活動に大きな影響を与える税制は、法案が提出されたら総論の審議だけで、何も修正もなく当たり前のように、そのまま法として施行され、通常、数日後の4月1日から課税が行われてきました。今年は大分様変わりしました。
 来年度の税制改正の法案提出は、早まることになりそうです。今年と同じようなことをすれば国民の審判は厳しいものになるでしょうから、法案提出段階が大きなハードルになりそうです。
 

 さて前回も、お話し致しましたが、国会では道路特定財源の暫定税率分2.7兆円(国1.7兆円、地方1兆円)が大きな争点になりました。

 この暫定税率は租税特別措置法(「措置法・ソチホウ」と言っています。)に規定されています。この措置法は、通常の各種税法以外に政策的な配慮から、増税するためとか減税するために設けられた法律で、多くの条文に何時何時までという期限が定められています。その措置法に規定がおかれていたのが、いわゆるガソリン税で、揮発油税と地方道路税です(89条)。もちろん自動車暫定税率にはガソリン税以外の自動車取得税や自動車重量税もありますが・
 

 4月はこのガソリン税によるガソリン価額の値下げ、値上げが国民生活を直撃しました。

 これは、国税収入50兆円のうちの数パーセントの話です。
 

分かりやすく言いますと、今まで

10,000円の小遣いを頂いていたものを30年程前から、500円(暫定分は税収の5%ぐらいです。実際は地方分も入っていますので本当はもっと少なくなります)を勉強用の教材を買うためにということで上乗せして頂いていました。今度,世間が煩いので一気に10年延長してもらうとしましたが、教材に使うはずの分を少し
チョロまかしてパチンコに使っているのがバレてしまい、この延長にクレームがついたという話です。

 

 結局は、何も変わることが無く、10年再延長されて幕引きとなりました。税が安くなればいいという話ではありませんが、これは一体何だったのでしょうか。10年と言う大幅な暫定再延長も国民の意識と乖離していました。中には、環境のためだと理論のすり替えを平然と言う有様です。ところで、ここ数年で税収が増えています。法人税は5兆円近く税収が増えました。ということは、景気変動の方がむしろ影響が大きいのです。

 

 












 

5月の税務・総務予定
(税務)
*特別農業所得者の承認申請期限         15日
*19年分所得税延納分の納付期限          6月2日
*自動車税の通知   通常月末
*個人住民税特別徴収税額通知         まもなく
(総務他)
*労働保険年度更新    4/1〜5/20日
 
 
 税収を増やすために、時代時代で色々な諸税が現れます。江戸時代には(古すぎましたが・)、石高に応じた年貢から各種の運(うん)上(じよう)金(きん)や冥(みよう)加(が)金(きん)(営業税・免許税)や玄関の広さに応じた棟(むな)別(べつ)銭(せん)など各種の税が掛けられました。
 明治になると、年貢から地租に、そして酒税が税収の柱となる時期を経て、多くの税が出てきました。主に戦争などにより税収の確保の必要から諸税が作られました。それらの税は、その後も殆ど存続して、国、地方税併せて48種の税があるそうです。
 これらの税が、相互に入り組んで複雑にしています。ガソリン税、たばこ税や酒税などに、また消費税がかかり、税に税がかかっています。一度、税を整理して、税の種類を少なくした方が良いのかも知れません。こちらもそんなに沢山勉強できませんし・・
 
 20年度の税制改正である「所得税法等の一部を改正する法律(改正法)」は、衆議院の再可決という形で幕を閉じました。再可決ですので、年初に国会に提出された法律(条文)そのままで、成立したということです。ですから施行期日は、原則として平成20年4月1日から施行するとなっているままです(改正法附則1条)。あれ、4月の末に国会を通ったのに、おかしいと思われると思いますが、3月の末に「国民生活等の混乱を回避するための**法を一部改正するための法律(国民生活混乱法)」を施行させ、改正法が4月1日以後になる場合に備えて期限の延長が一部図られました。しかし大部分は、国民生活混乱法で、改正法の附則の119条(罰則に関する経過措置)の次に1条を設けて119条の2として、「改正後のそれぞれの法律の規定の適用に関し必要な事項(・・)その他この法律の円滑な施行に関し必要な経過措置は、政令で定める」として、適用は政令に委任(丸投げ)しました。
 

 政令とは、内閣が制定する命令で、国会の審議によいって制定された法律の委任に基づいて制定されます。最近は、国会の審議を経ない内閣だけで作るこれらの政令などが多くなっています。これらは税法に限られません。18年制定の会社法も3分の1近く政令に委任されていたぐらいです。

 

 ところで、法律というのは基本的には遡及しないという原則(不遡及の原則)があります。但し税法では、何が何でも遡及しないというものではなく、納税者の利益になるものは遡及しても良いのではないかと。逆に不利益となるものは遡及できないと考えられています(不利益不遡及の原則)。それは、納税者は、その時々に適用される税を考慮した取引を行いますので、後で遡って課税がされることになれば納税者の信頼を損ねることになるからです。このため、公布が4月30日ですので、4月のその前については空白になってしまいました。

 

 中々本題に入らない内に頁が少なくなってしまいましたが、改正でどのようになったかです。

 

1.交際費課税について

 改正法で、平成22年3月31日まで延長されていました。ということは、今年の4月1日〜29日開始事業年度については、不利益不遡及の原則を考えれば、3月決算法人は、今年の4月1日が開始ですので、この事業年度の適用はなく、1年間全額損金算入が認められることになってしまいます。でも、これは認めないことになりました。数年後に訴訟が起きるかも知れません。
 

2.使途秘匿金課税について

 使途秘匿課税とは、相手先を秘匿した支出については追加税率による重い税金が課税されるというものですが、こについては改正政令(4条)で、4月1日〜29日までに支出した使途秘匿金にはこの追加税率の加算はないことになります。あくまでも支出ですから、支出日は、きわめて重要です。
 

3.欠損金の繰戻還付について

 これは、前年に沢山税金を払った納税者が今年赤字になってしまった時に、前年の税金を還付してもらう制度です。これは原則として、現在は適用が止まって使えませんが、公布が遅れたために、平成20年4月1日以後公布日前に終了した事業年度については、欠損金の繰戻し還付制度の適用があることになりましたが、4月30日公布がミソですので4月末決算法人には、適用ありません。4月20日決算のように4月の中途で決算を迎える一部の法人にしか適用はないはずです(改正政令5条)。5月1日公布では、こうはいかなかったところです。
 
 
連絡】
 今年の路線価の公表は、例年より1か月早い、7月1日になります。不動産の贈与をお考えの方には、早く手続を済ませることができます。

 

省略
 
P5コーナー
(株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の資産運用、相続対策業務、パソコンの購入及び指導、貴社のホームページの作成・ドメインの取得、計算書類の公告のお手伝いをしております。
 
Q&Aコーナー
 
 源泉所得税を中心としています。主に国税庁の質疑応答事例集から簡略して書いております(http://www.nta.go.jp/)

 

退職者に支給する転進助成金】

 

Q.当社は、定年前に退職する社員の 退職後の再就職を支援するため退職助 成金制度を導入しています。社員が退 職後の職業に役立つ資格、技能を習得 するために受講や試験に要した費用に ついて、30万円を限度として退職助成 金を支給することにしました。課税上 はどのようになりますか。
 

A.この退職助成金は、給与所得又は雑所得に該当することとなります。

 退職前(雇用関係継続中)に支給が確定するものは、雇用関係に基づいて受ける給付ですから、給与所得に該当します。
 退職後(雇用関係終了後)に支給が確定するものは、退職に基因して支払われるものではなく、退職者であっても本制度の対象となる講座や試験に該当しなければ助成は受けられない(退職の就職に役立つことを目的として給付を受けるものです。)ことから、給与所得、退職所得及び一時所得のいずれにも該当しないので、雑所得に該当することとなります。
 

 

【障害者のマイカー通勤手当】

 

Q.わが社では、足の不自由な障害者
で、通常の交通機関の通勤はできない
従業員が、2km未満の距離を自動車によ り通勤しています。
この従業員に通勤手当を支給しようと 思っています。この場合には非課税に はならないのでしょうか。
 

A.通勤手当の非課税限度額は、交通機関を利用する人は、通勤距離が2km未満であっても合理的な運賃の額とされています。これに対して、マイカー通勤や自転車通勤などの交通用具を使用する人の場合には、通勤距離が2km未満の場合は非課税限度額が規定されておりませんので、通勤手当を支給した場合はその全額が課税対象とされています。Qのように足が不自由という障害があるゆえに自動車通勤を余儀なくされる等の特殊事情がある場合には、交通機関利用者と同様に取り扱い、交通機関を利用したとした場合の合理的な運賃の額を非課税限度額(自動車通勤による実費の範囲内に限ります。)として取り扱われます。

 
省略

編集後記

   値上げラッシュの5月のスタート。皆様のGWはどのようにお過ごしになられたで

しょうか。こちらは、ゆっくりする間もなく連休明けを迎えそうです。
     

                                        編集発行 株式会社プランニングファイブ