P5 NEWS      SHONAN TAX OFFICE NO.213
 



 
平成19年6月1日
事前確定届出給与
 
 クーラーのスイッチをたまには入れたくなる季節になりました。まもなく関東も梅雨に入ります。今年の平年値は6月8日。もうすぐ、じめじめした日が続きます。
 
 先日、第一生命のサラリーマン川柳が、新聞で報道されました。妙に納得せられるものも多く、そのいくつかを紹介します。もちろん読む人の年齢や、生活の違いで思いに違いがあると思いますので、あくまで、こちらで気に入ったものを選びました。また、申し訳ございませんが、作者の雅号は省略させていただきます(http://event.dai-ichi-life.co.jp/senryu/をご覧ください)。(数字は、順位)

 

  (6)忘れぬようメモした紙をまた探す
  (11)「無理するな」本心だったら休暇くれ
  (13)帰りたい我が家ではなくあの頃に
  (25)病院もあったらいいなポイント制
  (42)行き先を告げず出掛けるネコと妻

 

 ちなみに一位は、「脳年齢 年金すでに もらえます」でしたが、上記は、特に感心した5つを紹介しました。
 以前のものですが、
 *たたき台たたきにたたかれ影もない*残業も君の場合はロスタイム
 何故か納得してしまいます。











 

6月の税務・総務予定
(税務)
*所得税予定納税の納税通知            15日まで
*個人住民税の納付(第1期分)         条例で定める日

(総務他)
*給与計算 住民税額の変更
*労働保険年度更新   11日

 
 
 さて、今月の表題の「事前確定届出給与」についてです。何のことだと思われる方もいると思いますので、簡単に説明します。
 従来から役員に対する賞与は、原則損金不算入といって、役員に100万円の賞与を払えば、税金の計算では損金(「費用」と言わせてもらいます)になりませんので、税金を含めて
140-150万円払うのと同じだと説明させていただいておりました。そしてもちろんその役員の所得税などの個人の税金は賞与を含めたところで課税されます。これは、役員が、法人の機関として業務遂行を行い、その功労に対する臨時の報酬ですので、利益の中から分与されるものだからで、法人がどのような経理をしようと費用とはされません。
  
 このような考え方のある一方で、役員賞与は、そもそも法人の費用だとする意見もありました(企業会計基準委員会)。また、昨年施行された会社法では、取締役の賞与を「職務執行の対価」といて位置づけました。そんな経緯もあり、昨年平成18年の税制改正では、役員報酬とか役員賞与とかいう区別を止めて「役員給与」としてひとくくりにした税制としました。
 平成18年の改正で、従来の役員賞与のような支払をする役員給与についても、一定の場合には、費用とすることとされ、平成19年にも一部手直しされています。
 従業員に支払うボーナスは、いくら払おうが、原則としてすべて費用です。その賞与は、通常上半期・下半期などの業績で定められる事が多かったのですが、役員の場合にはそれは認められません。第一の要件は、当初から何時、幾ら払うか決められていることがもっとも最重な要件となっています。
 毎月一定な報酬の他に当初から決められた賞与の支払であるならば、年間の給与を報酬と賞与に分けただけだから、正に報酬の対価そのものだと考えられます。でも中には、後から役員賞与を決めたとしても、当初から決まっていたのだと言いくるめる者も以内とは限りません。そこで、不公平にならず、実効あらしめるためのいくつかのルールを作りました。
 まず第一に前もってその金額などを税務署に届け出てもらおうというものです。これを、事前に届け出る給与(賞与)ですから、“事前確定届出給与”と言っています。これならば後から、今期の業績が良さそうだから役員賞与を増やそうかと言うことが出来なくなります。マー納得できる考えです。それでは、何時までに届け出ればいいのかと。
 今まで(平成19年の3月を含む事業年度まで)は、つぎの@とAのうちいずれか早い日とされました(旧法人税法施行令69条A)。
@ その賞与の支給を受ける役員の職務開始日
A 事業年度開始日から3月を経過する日
 この政令、内閣が制定したとしても一応法律ですが、よくこんな法律を平気で作ったなという感じです。
 役員の職務執行開始日とは何時なのでしょうか。取締役などの役員は、株主総会の決議で選任されます(会社法329条@)。そうならば、株主総会が終わったら、その足で、各役員の報酬・賞与を所轄の税務署に届け出るのか。2年任期だったら2年分決めるのか。その場合に2年目の報酬額の決議(会社法361条)はまだではないのか。色々悩むところです。
 そこでひねり出したのは、「役員・・は、株主総会の決議によって選任する(同329条)」で、選任すると就任は違う。数日の時間の誤差は許されると。総会で選任されても就任は、事前確定給与届出書を書き上げるまで待つようにと言っているようなものです。
 実務では、議事録で「選任され、役員はその就任を承諾した」として、選任と就任は同時進行させています。それだからこそ、役員に選任されれば議事録の作成者になり、登記簿謄本の日付、これは就任日を指すのが通説ですが、総会日になっているのです。事前確定届出書に記載された就任日と登記簿謄本の日付が相違するのは問題です。一つ無理を通すと次から次へと齟齬をきすことになってしまいます。
 そこでさすがに、これはマズイと思ったのでしょう。平成19年4月からは次のように改訂されました。
 次のうち、いずれか早い日までに届け出ることとされます。
@ 役員給与の定めに関する決議をする株主総会等の日から1か月を経過する日
A 職務執行開始日の属する会計期間開始の日から4か月経過日
 趣旨に合致していますし、これで十分だと思います。
 なお次いでと言っては何ですが、新設法人の場合にも、設立日から2か月以内に届出れば良いことになりました。
 また、今回の改正では、この役員賞与については、一定の場合には、当初と違う改訂も認められることになり、「臨時改訂事由」及び「業績悪化改訂事由」による改訂は認められます。「臨時改訂事由」には、職務内容の重大な変更、例えば平取締役から専務になるなど役員の職制上の地位の変更があげられています。しかし何故役員賞与を費用としても構わないとしたのかの趣旨を考えれば、直ちに職制上の地位の変更で、役員賞与を費用として認められると考えるのは早計で、むしろ認められるべきでない場合も当然あると考えるべきです。要は目的です。
省略
SHONAN TAX OFFICE
(http://www.shonantax.com/)
P5コーナー
(株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の資産運用、相続対策業務、パソコンの購入及び指導、貴社のホームページの作成・ドメインの取得、計算書類の公告のお手伝いをしております。
源泉所得税の誤った認識
今月も、東京国税局税務相談室の「誤りやすい事例集」からです。なお、原文とは少し変えております。またここに掲載した(正しくは)は、一般的な回答です。
 
【アルバイトの源泉徴収】
1(誤り)あらかじめ雇用期間を2か月以内のアルバイトの給与に適用する源泉徴収税額表は、月額表又は日額表の乙欄を適用した。
(正しくは)労働した日又は時間によって算定されるものは、日額表の丙欄を適用します。

 

【昼食等の支給】
2(誤り)従業員に昼食を支給する場合に食事の価額の半額以上を本人負担とし、しかも、会社負担が月額3,500円以下であれば、課税されないことになっています(所基通36-38の2)。そこで会社が月額3,500円を超える部分が課税される。
(正しくは)非課税限度額を定めた規定ではないので、役員又は使用人の負担が50%を超えている場合においても、使用者負担額が3,500円を超える時は使用者負担額の全額が給与として課税されます。

 

【定年退職者に対する海外慰安旅行】
3(誤り)10年以上勤務の定年退職者には、規定で本人の申し出により海外慰安旅行の費用を会社で負担しています。定年退職を機会として行っているので退職所得として課税される。
(正しくは)永年勤続者表彰制度と同様の内容に基づくものであり、社会通念上相当と認められるものは課税されません。

 

【中国人留学生のアルバイト代】
4(誤り)日本語学校や大学に通う中国人留学生を短期にアルバイトとして雇ったが、通常の給与と同様に源泉徴収をした。
(正しくは)学校教育法1条に規定する教育機関に在学する者が、教育又は訓練等のために受け取る給付については「租税条約に関する届出書」を税務署長に提出することで源泉徴収は不要となります。

 

*無料のホームページの作成をしています。
省略
 

 編集後記 

 学校では麻疹(ハシカ)で休校になっているところも出ていますが、麻疹を卒業した年配には風邪が流行っているようです。流行に敏感なだけにすぐかかってしまいました。最初は喉の痛みと声が出ない。その後咳に悩まされます。冬の時期でもないのに風邪なんて。これから梅雨です。食べ物にもお気をつけください。
 

 編集発行 株式会社プランニングファイブ