< P5通信2007年2月号

    


 P5 NEWS      SHONAN TAX OFFICE NO.209
 



 
平成19年2月1日
教育改革
 
 つい先日がお正月だったと思ったら、もう2月。暖冬の影響か昼間はコートはいらないほどです。さて、所得税の確定申告用紙も送られてきて、事務所もこれから確申モードに入ります。
 昨年から度々取り上げられている“いじめ”や子供の学力低下という緊急の問題に対処するため、昨年12月に改正教育基本法が成立・施行されました。
 
 しかし残念ながら、子供の親にも問題がないとは言えないようです。
 昨年の6月に小学校2年生の担任教師が自殺したという報道がありました。経験不足にも原因はあるのでしょうが、教育現場の体制が十分でないことも起因しています。また、保護者からのクレームも執拗におきているようです。
 小学校では、保護者と教師の遣り取りをする連絡帳があり、その中の保護者からの連絡には、次のようなものが・・・
「期待したような宿題が出ていない」「ノートを集めたまま戻ってこない」「下校時間が守られていない」など。
 
 これに回答をすると「簡単すぎる」と指導をする保護者も。しまいには、「保護者を見下しているのではないか」
「結婚や子育てをしていないので経験が乏しいのではないか」など(週刊東洋経済、2007/1/27)。
 まさに陰湿というか“いじめ”にも似ています。そしてそれを子供が見ているのかも知れません。
 
 また、学校の給食費を未納する家庭が増えていると言う報道がありました。しかも払える状態にある家庭が「義務教育だから、当然給食費も学校の負担にすべきだ」というようなわがままと言うか、自分中心のルールを振りかざしています。
 
 そういう親を育てたのは、団塊の世代を生きてきた年代。仕事に明け暮れ家庭を顧みなかったツケが、今、その孫たちが負っているというのは皮肉ですね。
 

2月の税務・総務予定
(税務)
*固定資産税(都市計画税)の4期分の納付  通常月末
*税理士記念日     23日
*贈与税の申告・納付      2月1日〜3月15日
*所得税の申告・納付        2月16日〜3月15日
(総務他)
*平成19年度経営計画の策定
*4月新卒入社研修
*人事評価
 
 

 昨年の12月は、税務上の取り扱いについて、色々な情報が、国税庁から通達、質疑応答事例等として出されました。所得税基本通達の改正、介護保険制度の改正に伴う医療費控除の取り扱いなど広範囲に及んで、目を通すのが大変です。

 
 

 

【平成19年度税制改正】

 

 12月号で、既に取り上げましたが、今年度の改正の全貌が明らかになりました。改正までの流れは、次のようになっています。

○昨年12月1日 政府税制調査会答申(答申) −答申を作成した座長の本間会長は、その後、議員宿舎や女性問題等で辞任しましたが、かなり斬新なものでした。
○同年同月14日自由民主党の平成19年度税制改正大綱 (党大綱)が出され、これを受けて
○19日に、財務省が平成19年度税制改正の大綱 (省大綱)を出しました。
○そして今年19年1月19日に政府は、19年度税制改正を閣議決定し、法案として国会に上程。3月末にめでたく法律となり、原則として4月から施行すると言うことになっています。
 何のための答申かよく判りませんが、力関係から、結局党大綱が最終的に閣議決定まで影響します。一時政府が強くなり、変化の兆しも見受けられましたが、結局は、以前のまま。
 
 改正の方向性・趣旨が述べられている答申と党大綱と比較をしてみます。
 答申では、経済の活性化を今後とも強調して、資金の流れを官から民へとシフトさせ、自然増収がある場合にも徹底した歳出削減を行うべきと最初に強く述べています。
 経済活性化に向けた税制については、国際的な競争力の強化として、法人実効税率引下げや研究開発税制による企業基盤の充実を提起しました。このように、経済活力を強調する点が従来の答申とは違う方向付けとなっています。
 党税調(大綱)では、国民の公益に対する共助の精神をさらに引き出し,住宅関係等も含め国民生活に配慮する税制措置を講じるとし、広く国民に税の負担を求め、次のように述べています。
 「経済の活性化を図る一方で,・・わが国の財政は,・・極めて厳しい危機的な状況にあるという現実を直視する必要がある。このため,・・歳出削減を徹底すべきで・・それでも応じきれない財政需要については,税制改革により対応していかなければならない」と、長ったらしく述べてやっと本題へ・・・「来年秋以降(筆者注 2007年参議院選後),早期に,本格的かつ具体的な議論を行い,平成19年度を目途に,・・社会保障給付や少子化対策に要する・・費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から,消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく,取り組んでいく」と。
 本当は、もっと長ったらしく書いてありますが、要点は数行。
 余計なことを書いているうちに大事な改正の内容が、書けなくなってしまいそうです。
 
 今年度の改正は、アレっと思うような改正も少しはありますが、それほど大きなものはなく、結果として減価償却制度の改正による4千億円の減税で小さく収まりました。
 
減価償却制度の改正
 償却可能限度額及び残存価額の廃止
 4月1日以後取得する減価償却資産については、従来の所得価額5%までの償却可能限度額を1円(備忘価額)までとし、償却額を算出するときに使う残存価額を廃止します。
 そして定率法の償却率は、残存価額がありませんので計算できませんから定額法の償却率の2.5倍としています。他の国は、2倍ぐらいがせいぜいでしたが、大きな率にしました。これは、耐用年数が長くなっても、従来の定率法より償却額が少なくならないようにしたものだと思われます。
 これにより、今後定率法によった場合には、耐用年数の短いほど初年度の償却額は大きくなってしまい、期間損益計算に大きな影響を与えます。個人所得の計算で、定率法を利用した場合には、必ず定めた償却方法で償却しなければならず、この影響はかなり大き
いのではと考えられます。







 
耐用年数 定額法 定率法 新定率法
  2 0.500 0.684 1.250?
  5 0.200 0.369 0.500
  10 0.100 0.206 0.250
  20 0.050 0.109 0.125
  30 0.034 0.074 0.085
  50 0.020 0.045 0.050
 100 0.010 0.023 0.025
 また、定率法により計算した減価償却費が一定の金額を下回ることとなったときに、償却方法を定率法から定額法に切り替えて減価償却費を計算します。計算してみますと、耐用年数の7割を経過した時点で一定額で償却することになり、必ず耐用年数経過時に1円だけ残ります。
 なお、平成19年3月31日以前に取得をした減価償却資産については、償却可能限度額まで償却した事業年度等の翌事業年度以後5年間で1円まで均等償却をします。中小企業の場合には、影響は少ないと思いますが、要注意!
 
省略
P5コーナー
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所得税確定申告特集−2
 確定申告特集第2段    −誤りやすい事例
 
1(誤り)居住用建物を取り壊して、業務用建物に建て替えた場合に居住用建物の取り壊し費用は、業務用として利用するため必要経費に算入した。
(正しくは)非業務用資産の資産損失及び取り壊し費用は、自己の財産の処分として必要経費に算入することは出来ません。
 
2(誤り)取引先から支払調書の発行を受けた。この支払調書は、確定申告書に添付しなければならない。
(正しくは)支払調書は、源泉徴収票とは異なり、添付義務はありません。
 
3(誤り)所得補償保険の保険料を、事業所得の必要経費に算入した。
(正しくは)事業主が自己を被保険者として支払う所得補償保険の保険料は必要経費にはなりません。そのかわり、保険金を受け取ったときは非課税です(所基通9-22)。
 
4(誤り)支払った出産費用の医療費控除計算において、「出産手当金」や「傷病手当金」を支払った医療費から控除する。
(正しくは)これらは、補てん金等に該当しませんので、控除する必要はありません。ただし、「出産育児一時金」や「高額医療費」は、補てん金等に該当します。
 
5(誤り)がん宣告により支給された保険金は、医療費控除に係る補てん金として医療費から差し引く。
(正しくは)これは、医療費の補てんを目的とする保険金には該当しませんので、医療費から差し引く必要はありません。
 
6(誤り)取得価額10万円以上を20万円未満の資産を一括償却資産として3年にわたって償却している。未償却額を残して廃業をしたが、取得価額の3分の1のみ必要経費に算入する。
(正しくは)廃業した年分の未償却額全額を必要経費に算入します。ただし一部除却や滅失の場合には全額必要経費にすることは出来ません。また相続によりその事業を承継した人がいる場合には、被相続人の全額必要経費算入でも事業承継者に引き継いでも構いません(所基通49-40の3)。
 

省略

 

 編集後記  
 これから3月までは個人の所得税、消費税や贈与税の確定申告です。昨年は、お年寄りに対する課税強化のために年配者の申告が増えたそうです。出かけるのもままならない方に申告が必要なのは問題です。事務所では別途お手伝いをさせて頂きます。 

                                         編集発行 株式会社プランニングファイブ