P5 NEWS      SHONAN TAX OFFICE  NO.175
 



 
 
平成16年4月1日
 
国の税収
 
 3月26日に、平成16年度税制改正法案の「所得税法等の一部を改正する法律」と「地方税法」が、参議院本会議で可決・成立して4月1日より施行されました。改正の内容や問題については、既に前月号以前にお知らせしましたが、税制改正は毎年のことですが、審議とは名ばかり、官僚のレポートがそのまま通ってしまいます。今回は特にひどく税制調査会でも議論もされない項目も法案として提出され、成立してしまいました。閣議決定などといってもセレモニーですので、チェックは働かないのでしょう。チェックは、国民が今年の参議院選挙で意思表示をしかりするしかないと言うことなのでしょうか。
 
 改正は、土地税制、老人を中心とした増税と、従来の適用延長が中心となっています。減税は、特定な方や法人に限定した趣味の世界での改正です。土地の譲渡益に対する税率は軽減されましたが、長期譲渡所得の100万円の特別控除が廃止されました。これは大きな改正です。土地をセットバックしても税額が発生します。個人の方が事業で赤字が出たため、駐車場用地など土地を売ったとしても通算は出来なくなりましたので、土地の譲渡益には通常の税金が発生します。
 
 かなり前からここで紹介して参りましたが、4月から、消費税の総額表示がスタートしました。この意味するところを考えれば、経営者といわれるような方ならば、もっと早くから対応するのではないかと思っていましたが、結果は惨憺たるものです。
 小売業者が、総額表示による値上がり感を少なくしようと下請業者にコスト削減の圧力をかけるいじめもあったようです。消費税は消費者に転化を予定した税金とはいっても、所詮は売値の一部です。全段階課税とし、直接納税する方法しか解決策はありません。
 

4月の税務・総務予定
(税務)
*所得税振替納税引落日           16日
*個人消費税振替納税引落日   26日
(総務他)
*新入社員研修
*給与の改訂

 
 経済産業省の調査によれば、回答した下請事業者272社のうち、27.2%(74社)に何らかの下請けいじめがあったと報告されていました。
 中には、納入伝票の内税化に伴うシステム変更などの費用負担の一方的な要請とか、値札の表示変更に値札印刷機の購入などの負担の要請や、店舗内の値札の付替えのために従業員の派遣要請などがあったようです。
 小売店の値札を眺めてみますと、一番多いのが従来の表示価額に1.05倍したもので、端数が出ていますので、ピンときません。川柳で、「割り勘をややこしくする消費税」というのがありましたが、今度の総額表示でビシッと計算できる人はすごい。
 
 大学で税法の講義をしていますが、最初に国の税収の話をします。「税収で一番多いのは何?」
 学生「んーん、消費税?」
「・・残念。所得税・・」
 今までは、出来るだけ簡略的に国の収入(歳入)は、85兆円。50兆円が税金、それ以外は借入金(国債)。税金の内、15兆円が所得税、消費税と法人税が肩を並べて10兆円づつ、相続税が、2兆円ぐらいなんて説明します。
 でも、それって何年前の話って思われる方も多いと思いますが、そういわずに概算のイメージをつかむためのものですので、判りやすくしています。
 
 例えば消費税が10兆円ですので税率4%(あと1%は地方です)ということは1%は、2.5兆円になるでしょう。防衛費の支出が5兆円ですので、消費税2%分だと言った方が判りやすい。ちなみに医療、年金などの国の社会保障関係では、20兆円弱支出します。15年の予算で消費税収は9兆4,890億円だから、1%は、2兆3,722億円と説明しますとお互いにストレスがたまります。
 今月は、16年度の予算が出ましたので、15年度の予算を見ながらお話ししようと思います。
 
部分省略・・・
 
15年度予算 国の収入(国税庁HP)
 
 これを見ますと、
15年度予算税収は、41兆7,860億円、
16年度は、41兆7,470億円ですので殆ど変わりませんが、4千億円以上が地方への税の財源を移しているのを考えますと、増収(税)傾向にあります。いずれにしても平成2年に決算ベースによる税収が60兆円を超えた頃から考えますと、落ち込みの大きさが良くわかります。
 また、国の借金(国債、公債)は、480兆円を超え、10年間で倍増しています。この借金は、税収の12年分になり、気の遠くなるような話です。
 
 税収の中で一番多い所得税のうち、申告所得税について平成14年度の結果を国税庁が公表しています。(http://www.nta.go.jp/category/toukei/tokei/h14/hyouhon.htm
 これを見ますと、納税者数は700万人弱で、平成4年頃は850万人を超えていることからすると少なくなっています。
 なお、この調査では、所得税の申告で申告納税額がある者に限定されていますので実際にはもっと多くの申告があります。
 申告所得者の所得金額は40兆円弱で、納税額は4兆5千億円になります。この納税者の平均所得金額は550万円です。皆さんの申告は、平均より多かったですか?少なかったですか?
 また所得控除の総額は11兆円で、税額控除の総額は650億円、青色事業専従者の平均給与額は220万円とのこと。ピンときませんが、所得が550万円で、扶養控除などの所得控除が150万円が平均とのことです。あなたの事業専従者の給与、もっと増やしたい??
 所得税の内で給与などから差し引かれる源泉所得税は、
 給与所得 9.7兆円
 退職所得 0.4兆円
 利子所得 1.2兆円
 配当所得 1.0兆円
 給与から差し引かれる源泉所得税は、ダントツで、法人税の税収9.6兆円よりも多い金額です。
 会社などの法人については、また機会があったらお話ししたいと思います。
 
省略
 SHONAN TAX OFFICE
     税理士 中江 博行
     税理士 大野千寿子
     スタッフ一同
 
P5コーナー
(株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の資産運用、
相続対策業務を行っております。

 
確定申告がおわって
 
 3月の確定申告もなんとか終わり、申告書控えやお預かりした資料はすでにお返しいたしました。
 今回は、消費税法の改正に伴い新たに課税売上げ1千万円を超えますと平成17年度の申告から課税事業者になったり、簡易課税が使えずに原則課税になったりするため、返却書類に所得税の納税額と概算の今年納める住民税をお知らせすると共に、事業者ごとに判る範囲で消費税の課税がどのようになるかを記載致しました。
 その中で検討が必要なため“相談して頂きたい”とお知らせした方もいらっしゃいます。申告時しかお会いできない方は特に前もってご相談ください。
 
* 上様領収書
 原則課税となる方が受け取る領収書で、“上様領収書”は特に注意が必要です。原則として領収書には、「会社名」を記入してもらってください。
 例外として認められるのは、次の三つのケースですが、原則は、「会社名」です。
@ 対価(税込)が3万円未満であるも の
A 相手方が飲食店業、小売業等一定 の事業者である場合
 スナック等もOKですが、この場合には、上様領収書と共に誰と、何時、どこでが判るように帳簿に記載してください。
B 「やむを得ない理由」がある場合 例えば「市場調査のため会社名を伏せている」ような場合です。
 
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1、今月のパソコン教室は、

省略


 編集後記  
 新年度がスタートしました。今年度は消費税法の大きな改正が動き出します。身近なところでは消費税の総額表示でしょうか。課税売上高が1千万円超の事業者が課税事業者となるという改正も大きなものですね。その他、介護保険の料率も変更になっています(折半額で4.545%から4.655%へ変更)ので、担当者の方はご注意ください。
 何はともあれ、気分も新たに頑張りましょう。
    編集発行 株式会社プランニングファイブ