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平成13年9月1日

初任給

 

 長かった夏も、朝晩は9月になるとめっきり過ごしやすくなりました。一時騒がれていた水不足の話題も、8月22日に関東地方に接近した台風11号以降、最近では余り聞かれません。

 首都圏の水瓶である矢木沢ダム(群馬県利根郡水上町)の貯水率は一時30%まで落ち込んでいましたが、現在は45%まで回復しています。このダム、満水時で東京都の人たちが1ヶ月半使うことができます。なお、首都圏に供給する全てのダムの貯水率は、現在では80%弱に回復しています。

 ちなみに、藤沢、茅ヶ崎などの神奈川県の中央地域を給水区域とする神奈川県水道局の給水源である宮ケ瀬湖、津久井湖などの水源の貯水率は現在90%となっています。(http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kigyokeiei/index.htm)

 そうはいっても、水も貴重な資源ですので大切に使いたいものです。

 今月は、来年の新入社員採用を考えている企業のために初任給の話をいたします。この不況で新入社員など雇う余裕など無いとお考えの方も少なくないと思いますが、経営者は世の中の動きに絶えず目を配っておかなければなりませんので、取り上げてみました。 厚生労働省は、「賃金構造基本統計調査」による新規学卒者の初任給の統計資料を公表しています。

 ちなみに、10人から100人ぐらいの従業員を抱える中小企業の大卒者男子の初任給は193,000円です(平成12年)。また同じく女子は178,000円となっています。これを見ますと、今までは曲がりなりにも少しずつアップしてきましたが、ここ数年中小法人ほど前年割れ傾向が見られることです。特に平成7年以降は、前年比1〜2%減少しています。厳しい時代は給与にも反映しています。

 


9月の税務・総務予定
(税務)
*個人消費税中間申告の振替納税 26日
(総務他)
*防災訓練
*秋の健康診断の実施
 

 なお、日経連の調査では、平成13年3月卒業の新規学卒者の初任給を凍結した企業は、年々増加し、約6割の企業に昇っているそうです。

 

【企業経営に注意しておきたい 最近の法務と税務】

★商法改正

 最近の商法改正のスピードは驚くばかりで、来月10月1日から改正される商法は、実務にも大きな影響を与えます。

○重要な改正の一つは、金庫株の解禁です。“金庫株”というと、中小法人には関係ないと思われがちですが、そうでもありません。

 これは、会社の自己株式の話です。従来、自己株式の取得は原則禁止されていました(旧商法210条)。自己株式を会社が所有すると言うことは、株主から集めた資本を、返すようなものですから結果として資本を減少させます。今までは、自己株式の取得は特定の場合に限定され、また、早期に処分することになっていましたが、改正法では、蓄積利益等(配当可能利益)の範囲内で、任意(目的は問われない)に自己株式を買い受けることが認められました。そして、その自己株式を早期に処分しなくて良いことになりました。金庫の中にしまっておけるという意味から“金庫株”といわれています。中小企業の場合でも、株主が死亡したために相続人から、あるいは株主である従業員が退職するときに会社の株式を買い取って欲しいということもよくあることです。このような時に今までは、従来の株主や従業員などの売却先を探さなければならず苦労したはずですが、選択肢としてひとまず会社が買っておくという方法が採れるのではないでしょうか。

 具体的にどのようになるかは、これから明らかになると思いますが、次のようになると思われます。

 資本金3,000万円、剰余金1,000万円の会社が自己株式を300万円で買ったとしますと・・

 

    資本の部

  資本金    3,000万円

  剰余金    1,000万円

  自己株式控除 △300万円

 

 となります。(処分時に課税される場合があります)

○もう一つの改正は、額面株式の廃止です。中小企業の場合には、株券を発行していないところが多いと思いますが、額面額5万円の株式を200株発行して資本金を1,000万円としていたのではないでしょうか?この場合には基本的にはそのままで結構です。また株券を発行していている場合でも、その額面株式はそのままでも構いません。

 問題は、これから会社を設立する場合にいくらにするかは迷うところかも知れません。資本金1,000万円で1株発行することもできますが、賛成しかねます。何故?中小企業の場合に後継者に会社を譲ろうとする場合に会社の経営権・議決権を表象する株を後継者などに贈与することがあります。このことを考えると発行価額を余り大きくしない方が良いのではないでしょうか。今までどおりかもっと単純にしたらどうでしょうか。

 

★株式売却課税の改正

 今年6月に行われた改正で、「長期所有上場株式等の100万円の特別控除制度」が創設されました。

 これにより、所有期間が1年を超える上場株式や店頭登録株式を証券業者を通じて売却し、申告分離課税の適用を選択した場合に、この長期所有株式の譲渡所得金額について100万円の特別控除が行なわれます。ただし、平成13年10月1日から15年3月31日までの譲渡に限定されています。すなわち、申告分離課税を選択した長期所有上場株式の譲渡益が100万円までであれば税金はかからないということです( 措置法37条の10 )。そんなに儲かる訳ないと言われればそれまでですが、手元の株券を開いてみてください。もしかして??

 そんな訳で、株式等を売却した場合に、これからは申告分離課税にするか源泉分離課税にするかは、所有期間等をよく考えて決めて下さい。

 申告分離では、譲渡益に対して26%の税率が適用されますが、源泉分離ですと、売却収入金額の1.05%が源泉徴収されて課税が終了します。

 例えば、所有期間1年超の上場株式を300万円で売却したとします。買った価額は200万円でした。

 今までですと

 申告分離課税選択の時の税金

 (300万円−200万円)×26%=26万円

 源泉分離課税選択の時の税金

 300万円×1.05%=3.15万円

 となりますから当然、源泉分離課税を選択したでしょうが、今度は申告分離課税で100万円控除できますので、税金はかからないこととなります。

 念のため!!


   Corner
 

助成金・補助金

    (株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の

     資産運用業務を行っております。

 

 日本経済が不況という長いトンネルに入り、失業率が5%の最悪を記録する今日、中小企業の経営環境は厳しさを増すばかりです。これら中小企業に対する国の支援施策として各種の補助金制度がありますので、是非利用したいものです。

 今回はその中で、厚生労働省の補助金のいくつかを紹介します。全てに共通する絶対条件は、雇用保険の適用事業所であることです。

1.特定求職者雇用開発助成金

 高年齢者、障害者等の就職が特に困難な者を公共職業安定所の紹介により、雇い入れた場合。

2.継続雇用制度奨励金

 定年の延長、あるいは定年後の継続雇用を希望する者を定年退職後再雇用した場合など。

3.高齢者雇用環境整備奨励金

 高年齢者の作業を容易にするために施設・設備を改善した場合など。

4.パートタイム助成金

 パートタイマーの福利厚生制度(健康診断、講習、保険料の負担など)を行ったとき。

5.育児・介護費用助成金

 従業員が利用する育児・介護サービスの費用を補助した場合など。

 などなど。これら助成金の給付額、申請時期、申請場所などはそれぞれ異なります。詳しいことについてはお尋ね下さい。

 

以下省略


 編集後記
 9月に入り、朝晩はようやく涼しくなってきました。さしもの小泉人気も少し落ち?着いてきたようですが、景気の回復のために、構造改革がどこまでできるか。そして日本がどこまで変わるか。国民の期待はまだまだ続きそうです。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ