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平成13年7月1日

日本版401k

 

 先月(6月)22日に日本版401kといわれている「確定拠出年金法」が成立し、本年10月から施行されることとなりました。

 この「確定拠出年金」とは、今までのような、将来受け取る年金額が確定している「確定給付年金」とは異なり、加入者自らが運用を指図する年金です。もし運用がうまくいけば将来多額の年金を受け取ることができますが、逆に運用に失敗すればその責任を負うというものです。

 この日本版401kは、企業が従業員のために掛け金を支払う「企業型」と、自営業者やこの制度を導入しない企業の従業員が自ら掛け金を支払う「個人型」の2種類に分類されています。

 また、この年金に加入できるのは、国民年金保険料を支払っている60歳未満のサラリーマンや自営業者などで、専業主婦、公務員は対象になりません。

 そしてこの年金は、企業型が「資産管理機関」となる信託会社、生命保険会社や損害保険会社などに、個人型は国民年金基金連合会に預けられますが、この運用は指定を受けた「運営管理機関」が、預貯金、公社債、投資信託、株式、信託、保険商品など三つ以上の商品を提示したうえで加入者の指示に従って運用されます。この運営管理機関と資産管理機関などの役割を、たとえば一つの金融機関が担う(バンドルドサービス)場合もあります。

 この年金については以前から反対意見もありました。それは企業年金のリスクを運用者である企業から労働者に転嫁するものだという意見です。確かに企業の財務体質が近年悪化し、退職給付の積立不足額が莫大な金額になって企業経営の大きな足かせになっていることも確かです。企業側としてはそんなことは言いませんし、社員の意識改革だと言っていますが・・・

 しかしメリットも有ります。

 例えば、この年金は転職時に自分の口座の持ち運びができますので、従来の企業年金が勤続年数が一定以上でないと支給されず、転職をするサラリーマンの場合には不利になっていましたが、これが改善されます。最近では、終身雇用が崩れてきていますので外国のように有利な職場への転職ができ易くなるかも知れません。

 また税制上のメリットもあります。例えば、企業は拠出を損金算入できるとか、個人の拠出は所得控除の対象となるとか、受取時も税制優遇が受けられます。税制改正は、通常3月に行われていますが、これらは、6月に成立したこの「確定拠出年金法」の附則で税制が改正されています。このほかにも4月以降に税制改正が行われたものに、上場株式の少額譲渡益の非課税制度(6月20日)、金庫株解禁に伴う改正(6月22日)などがあります。今年の税制改正は注意しておく必要があります。

 話が脇にそれましたが、いずれにしても、厚生年金などの公的年金が支給対象年齢が引き上げられたり、将来の不透明性を考えると、日本版401kが十分な税制上の対応がとられれば面白いかも知れません。ただし、確実な年金と言うより将来に備えた貯蓄の性格を有していますので、現在のような経済情勢では十分な運用利回りは期待できませんし、この年金の管理コストもばかにならないので、受取額が掛け金以下になることも考慮しておかなければならないでしょう。

 


7月の税務・総務予定
(税務)
*源泉所得税(納期の特例含む)の納付  10日
*所得税予定納税額の減額承認申請    16日
* 同 納付              31日
*固定資産税の納付          通常月末

(総務他)
*社会保険算定基礎届け作成準備
*職場の安全見直し
 

 

 

税務トピック

☆今年の路線価の公表は8月3日

 平成13年分路線価及び評価倍率が8月3日に全国の国税局・税務署で公表されることが明らかになりました。路線価は、相続税や贈与税の課税における土地等の評価額の基となるものです。平成13年の公示地価がバブル崩壊により全国平均3大都市圏平均とも10年連続の下落となり、前年比で住宅地の全国平均は4.2%、商業地は7.5%のダウンとなっていますので、今年の路線価も、同程度下落するものと思われます。

 なお、全国の路線価等が設置される東京国税局管内の税務署は、麹町、神田、日本橋、京橋、芝、品川、新宿、東京上野、世田谷、渋谷、豊島、板橋、練馬東、江戸川北、八王子、立川、武蔵野、横浜中、神奈川、川崎北、藤沢、千葉東、松戸、成田、甲府の25の税務署です。

 

☆役員賞与は損金不算入

 役員賞与は、原則として損金不算入といって、法人税の計算では課税所得となりますが、使用人兼務役員といって役員(取締役、監査役など)ですが部長、課長、その他法人の使用人としての仕事をしている方で、かつ、常時使用人としての仕事をしている役員の使用人部分の賞与については損金に算入されます。

 ところが使用人として仕事をしているのに使用人兼務役員とはならず賞与の全部が損金不算入となる場合があります。

 例えば、長引く不況でリストラによる人員削減等で、経営者の一族が従業員と一緒になって働くケースが増えていますが、税務上、一定の持株割合に該当する同族会社の役員は、「使用人兼務役員」とされません。

 この持株割合とは、

 @ 同族会社であって

 A 親子、兄弟などの同族関係者からなる株主グループの持株割合を合算したとき50%以上である場合(そのグループだけでは50%にならないときは次の順位のグループを加えて50%になればその中に入っているいることなど)。

 B その役員の属する株主グル−プの持株割合が10%を超えていること。

 C その役員及びその役員の配偶者の持株割合が5%を超えていること。

 です。ちょっと分かり難いかも知れませんが、大半の株を持っている代表者の配偶者はたとえ役員でなくても使用人兼務役員になれないと思ってください。また一緒に働いているお子さんに5%以上の株を贈与をしているなどでその従業員であるお子さんが株を持っている場合にも使用人兼務役員となれない場合が多いと言うことです。


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 社会保険の算定基礎届

 

算定基礎届とは?

 健康保険・厚生年金保険の被保険者の保険料算定の基礎となる標準報酬を実態に即したものにするために、その年の8月1日に在籍する全ての被保険者を対象として、毎年一回行う届出です。

届出はいつ?

 8月1日〜10日の間の指定された日。標準報酬月額とは?

* 5,6,7月の3ヶ月間に支払った報酬(支払基礎日数が20日未満の報酬は除く)の平均が標準報酬月額となります。

* 報酬には、通勤手当、食事、社宅等の現物給与も含まれます(食事、社宅は都道府県ごとに定められている標準価額により金銭に換算します)。

* 決定した標準報酬月額は、原則としてその年の10月〜翌年9月まで用いられます。

* 複数の事務所から報酬を得ている場合は、それら全ての報酬を合算した額で標準報酬月額を算定します。

算定基礎届が不要な人

* その年の7月1日以降に被保険者資格を取得した人

* 随時改定により8月から標準報酬が改定される人、あるいは9月又は10月から改定される予定のある人

随時改定

 昇給・降給などにより固定的賃金に変動があり、変動後3ヶ月間の報酬の平均額と、従前の標準報酬月額とが2等級以上の差が出たときに「月額変更届」を提出して改定します。但し、皆勤手当の変動、残業・休日出勤手当が増加・減少した場合は固定的賃金の変動にはなりません。

 

1、今月のパソコン教室は、

 省 略


 編集後記
 梅雨明けを思わせるようなお天気が続いています。これでは、夏が来る前に夏バテしてしまいそうですね。今月は、なかゆき会の旅行があります。ご参加いただける皆様には、宜しくお願いいたします。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ