P5 通 信
NO.99
平成9年12月1日

年の瀬

 先月号で“冬の渇水”として雨の量が今年は極端に少ないと書いたら,11月の後半から雨の日が続いています。気候という自然科学は,人が推し量ることができない現象をもたらすのは当たり前でしょうが,それにしても平均すればちゃんと辻褄を合わせてくれます。
 自然は気まぐれなものですが,気まぐれが良い方向に行けば恵みを与えてくれますが,悪い方向に行けば牙をむき出します。
 しかし人は,環境を悪化させ悪い方に向かわせようとしています。オゾン層の破壊や,地球の温暖化など地球の環境破壊は人が自分たちの手で行ってきたことです。この為,年々川の水が少なくなったり,12月になると言うのにまだ暖かい日が続くなど,自然を破壊した結果は否応なく我々は払わなければなりません。
 自然環境は,21世紀の次の世代に影響を及ぼす重大なことですが,最近の経済情勢も我々の生活に直接影響を及ぼすばかりでなく,環境破壊と同じように10年後,20年後まで影響を及ぼします。
 今までしてきたツケが,今年になって,金融機関などの経営破綻という形となって現れてきました。また,先月11月には,山一証券を中心とした最大規模の倒産が発表されました。「山一」ぐらいになりますと,bankruptも「自主廃業」と訳すようですが,中小企業の場合には「夜逃げ」となります。片や「自主廃業」と言って税金をつぎ込まなければならないのに,中小企業の場合は,危ないサラ金に追い回されて結局家族も住む場所さえも失ってしまいます。

12月の税務予定
給与所得者の年末調整等の関係申
告書(保険料控除申告書など
本年最後の給与の支払日まで
固定資産税(第3期分)
通常1月5日
 税金をつぎ込むと言えば,旧国鉄債務28兆円のツケを税金で払うことになりました。乗降客のない駅を質の低い政治家のごり押しで作った結果と言えないこともありませんが,結果は納税者が払った税金でまかなわれることになります。国鉄債務の場合には,郵便貯金の黒字活用や簡易保険の剰余金活用からも補填するとのことです。郵便貯金や簡易保険の利益も結局,郵便局に貯金や保険を利用した国民や本来利益となり税金対象となるべきところのものを使ったことになるのに過ぎません。
 ここへきて郵政省の民営化も改革も結局は泡と消え形ばかりの物となるそうです。

 先日の日経新聞(H9.11.28)のコラムに官庁から一部上場の企業の役員になった,いわゆる天下りと言われる人の官と民の違いについて書かれた記事がありました。そこでの記事から
「民には必ずライバル企業がいることだ。『これはウチの専管だ』とか,逆に『ウチの仕事じゃない』と年がら年中言っている官との違いである。」
「次に官にはコスト意識がないと言われる。私も認識していたが民の実際は徹底したもので,自社ビルでも各事業部は経費を支払わなくてはならない(民では当然のことらしい),**の役員は外出する時,部屋の電気を自分でこまめに消す等々を見ると,私の認識は未だ観念的なものだった。」
 「さて,私の生活上の変化はつきあいのゴルフが増えたこと(ホームコースの**にはなかなか行けません)。朝の時間が変わったこと。七時に家を出て八時に出社しているから昼前には空腹を覚えるという“ぜいたく”を味わっている。」
 これを読んで一番興味深かったのは,通常当たり前なことが,違っているという認識を持つ人がいると言うことです。役員でも,ちゃんと電気を消しますし,昼食時の空腹が贅沢と感じることは勿論ありません。それが当たり前のことです。当たり前のことが当たり前ではない社会。そしてそれにしがみつく社会があることこそが驚きです。素直にその違いを感じる人も官の出身者にもいることに僅かな救いを見いだすしかないのかも知れません。残念ながら悲しい話です。

 今年最後の事務所通信なのに辛口の内容になってしまいましたが,ついでに辛口の税金お話を・・・
 税金を滞納しますと,納税をしなければならない期日(納期限)から納付するまでの期間が2ヶ月以内ですと
年7.3%,それ以上は14.6%の延滞税という利息のようなものが課税されます。今この税務上の高金利?を下げて欲しいという声が出ています。
 単純に計算してみましょう。例えば,1,006,200円の法人税を50日間納付が遅れたとしますと,2ヶ月以内ですから年7.3%の延滞税がかかります。
 計算は,延滞税の基となる税額は,1万円未満の端数を切り捨てますので,1,000,000円に年7.3%の場合の日歩の
2/10,000を掛けて計算します。
 そこで,この場合の延滞税は,
1,000,000×50日×2/10,000=10,000円となります。これを半年あるいは1年間税金を払わなかったとしますと,延滞税はそれぞれ6万円,14万円となってしまいます。
 この様な高金利で資産運用できる方法はまずありませんので,他から工面して何とか税金を払ってしまおうとする会社も多くなっています。それはそれで払えれば良いのでしょうが,払えない場合は悲惨です。
 延滞税は,期限内に納付した方との均衡の上から設けられ,一種の罰則的な面もあるとされています。このため延滞税は,会社が,お金を借りた場合の利息が所得の計算で控除されるのに,延滞税は控除されません。
 一方,逆に多く払いすぎて還付を受けたとしますと,今度は,還付加算金という利息がかえってきます。この場合の利率も年7.3%と高率になっています。  例えば,3月決算の法人税の予定納税11月末日(納期限です)に500万円納付したとします。翌年の3月決算では,業績が悪化して納税額がゼロとなってしまい,予定納税をした500万円の還付を受けることし,還付金が12月の大晦日にあったと仮定します。そうしますと6月1日から大晦日までの還付加算金という利息は21万円以上になります。このため銀行に預けるより良いので,この還付ねらいの方もいるようです。
 いずれにしましても,現状の経済情勢や金利動向を考えるとき還付加算金や延滞税の利率は7.3%より下げるべきだと思うのですが・・・・
 今年も有り難う御座いました。
明年もどうぞ宜しくお願い
いたします。

編集後記
平成9年も早いもので後1月となってしまいました。日産生命に始まり,
金融業界の破綻が続いた年でしたが,この辺で打ちきりにして新しい年を迎
えたいものです。本年も有り難う御座いました。
編集発行 株式会社プランニングファイブ

     Last Updated: 13/DEC./1997