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平成29年9月1日
 
民法の改正(債権)
 

 はっきりしない天気の多かった8月も終わり、これから良い季節に向かいます。しかし年末まで色々な行事が集中する時期でもありますので、気が抜けません。

 関東地方の向こう1か月の天気予報では、数日の周期で変わり、平年と同様に曇りや雨の日が多い見込みだそうで、例年と変わらない予想がされていました。また、向こう3ヶ月の平均気温は、高い確率50%となっています(tenki.jp)。秋晴れが待ち遠しい。

 

 最近、「シルバー民主主義」という言葉を聞きますが、これは、少子高齢化の進行で有権者に占める高齢者(シルバー)の割合が増し、高齢者層の政治への影響力が増大する現象で、選挙に当選したい政治家が、多数派の高齢者層に配慮した政策を優先的に打ち出すことで、少数派である若年・中年層の意見が政治に反映されにくくなり、世代間の不公平につながるとされているとされています。

 

 政治への影響力をみますと、直近3回の衆議院選挙の平均投票率は20代が39%なのに対し、60代は75%で、2025年には有権者の6割が50歳以上になるとのことです(2017/8/28 日経電子版)

 

 年金は少しでも多く、医療・介護や税の負担は少しでも小さくとする若者に比べて高齢者を優遇する「シルバー民主主義」政策が財政を悪化させ、目先の痛みを強いる財政再建は支持が得られないとする問題については、多方面からの検討が行われています。

 

 世代毎のアンケートで、「今後、増税をして社会保障を拡大する必要がある(社会保障拡大・増税あり)」と回答した方で20代では29%で、60代では40%だったそうです。

 

 結果として、

 @社会保障拡大・増税ありへの支持は年齢が高いほど大きい。

 A 社会保障拡大・増税なしへの支持の割合は20歳代で最も高い割合を示す。(ホント?)

 B 社会保障縮小・増税なしへの支持は年齢が低いほど大きい。

となり、 シルバー民主主義とは異なる様相を示しているそうです(財務省・財政制度等審議会・H29.4.20

 

 省略

 

 

9月の税務・総務予定
 

(税務)
*個人消費税の振替納税(中間が必要な方) (中間1回の方)    27日(水)
 

(総務他)
*防災訓練
*社会保険、標準報酬月額(定時決定)  の改定(10月の給与から控除する
  翌月控除が多い。)

 

 
 

 民法の一部を改正する法律案が、平成29年5月26日に第192回国会で可決成立し(平成29年4月14日衆議院において修正議決)、平成29年6月2日(法律第44号)に公布されました。この改正法の施行は、公布の日(平成29年6月2日)から起算して3年を超えない範囲となっていますので、適用は、かなり先になりますが、概略をご説明します。

 

 この改正は、平成21年から法制審議会で審議され、第189回国会に提出後、今国会成立まで長い道のりを経てやっと成立しました。

 

 改正は、「債権」のうち契約に関する規定と「総則」の改正も行われています。契約の改

正は、社会の変化に沿ったものとして、120年ぶりに、約200項目に及ぶ大改正

です。主な内容は、

 

1.消滅時効について、医師の診療に関する債権は三年、飲食店の飲食料に係る債権は一年などとされているが、短期消滅時効の特例をいずれも廃止して消滅時効の期間の統一化を図るなど、時効に関する規定の整備を行う。


2.法定利率について、現行の年5%から年3%に引き下げた上で、市中の金利動向に合わせて変動する制度を導入する。
 

3.事業用融資の債務の保証契約は、保証人になろうとする者が個人である場合には、主たる債務者が法人である場合のその理事、取締役等である場合などを除き、公証人が保証意思を確認しなければ効力を生じないものとするなど、保証債務に関する規定の整備を行う。
 

4.不特定多数の者を相手方とする定型的な取引に使用される定型約款に関し、定型約款によって契約の内容が補充されるための要件を整備するとともに、定型約款を準備した者が取引の相手方の同意を得ることなく定型約款の内容を一方的に変更するための要件等を整備する。
 

5.意思能力を有しなかった当事者がした法律行為は無効とすることや、賃貸借契約の終了時に賃借人は賃借物の原状回復義務を負うものの通常の使用収益によって生じた損耗等についてはその義務の範囲から除かれることなど、確立した判例法理等を明文化する。

 

 としたものです。

 

 次に国会の審議録を紹介します。

 

○菅家委員 ・・まずは時効についてでございますけれども、消滅時効については、知った時から五年という主観的起算点からの消滅時効の規定を新たに追加するとのことであります。
 

 現行法でも、1年、2年、3年、5年、それから原則的な時効期間である10年と、さまざまな時効期間の定めがありますが、短期消滅時効を廃止し、主観的起算点からの消滅時効の期間を5年とするとの規定を追加した、その理由についてお示しをいただきたいと存じます。
 

○小川政府参考人 御指摘ありましたように、現在の民法170条から174条まで、それから商法にも短期消滅時効の規定がございます。しかしこれらの規定は、その適用の有無の判断が困難であったり、社会経済情勢の変化に伴って合理的な説明が困難なものもございます。そこで、これらの短期消滅時効の特例を廃止した上で、基本的な時効期間については統一化を図り、シンプルなものとするということが合理的であると考えられたわけでございます。
 

 ただ、特例を単純に廃止するだけでは、例えば現在2年とされております生産者や卸売商人の売買代金債権の時効期間が今度は十年に大きく延長されることになるわけですが、これに対しては、関係諸団体からも、領収書の保存費用など弁済の証拠保全のための費用が増加するといった懸念が示されました。さらに、現在5年で時効が完成する商行為債権につきましても、商取引の実情として多数の取引債権に適用されておりまして、この規律を前提として安定した実務運用が行われているため、改正の影響を極力抑える必要があるとの指摘が、これも実務界から強く寄せられたところでございます。
 

 以上の問題状況を踏まえまして検討を進めまして、法制審議会では、現行法の10年という時効期間を維持した上で、権利を行使することができることを知ったときから5年の時効期間を追加し、そのいずれかが完成した場合には時効により債権が消滅するとの案が大方の賛同を得るに至ったところでございます。

第192回国会衆議院法務委員会 平成28年11月18日審議録

 
○元榮太一郎君 ・・今回の改正では、事業用融資の第三者保証について、原則として保証意思宣明公正証書の作成が必要とされることになりました。その例外として、公正証書作成が不要である場合が第465条の9で規定されていますが、この同条第一号では、「主たる債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者」と規定されています。この規定に言う「これらに準ずる者」とはどのような者を言うのか、お答えいただきたく思います それと同時に、民間企業では最近執行役員という役職もありまして、従業員であるにもかかわらず役員のような肩書も一般的に普及しているところですので、この執行役員が「これらに準ずる者」に含まれるのか否かも併せてお答えいただきたいと思います。
 

○政府参考人(小川秀樹君) 御指摘のありました準ずる者でございますが、これは名称のいかんを問わず、理事、取締役などと同様に、法律上法人の重要な業務執行を決定する機関又はその構成員と位置付けられている者を指すところでございます。例えば、宗教法人における責任役員ですとか、持分会社において業務執行社員が定められた場合における業務執行社員などがこれに該当いたします。
 

 他方で、執行役員の件でございますが、委員御指摘のいわゆる執行役員につきましては、法律上はあくまで従業員であるのが通常でありまして、法人の重要な業務執行の決定に関与する機関の地位にはないものと考えられます。したがいまして、このような執行役員は理事等に準ずる者には該当せず、例外的に公正証書の作成を必要としない者には含まれないことになるものと考えております。

参議院法務委員会平成29年4月 25日審議録

 

 省略

 

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個人情報保護法
 

 平成27年9月に可決成立し、公布された、いわゆる個人情報保護法の改正が、今年5月30日に全面施行されました。

 本通信の平成27年10月1日(312)号でも取り上げ、お話もさせて頂きましたが、資料を見直すまで完全に忘れてしまっていました。

 それまでの5千件のデータという基準がなくなり、一般のビジネスマンも、名刺交換や顧客情報の取り扱いにも影響します。特に確認・記録・保存(トレーサビリティ)が厳しくなっています。

 

 この改正趣旨として

「近年深刻化している個人情報漏えい事案への対応として、個人情報の第三者提供を受ける際に取得経緯等の確認及び記録の作成等を義務づけるとともに、不正な利益を図る目的により個人情報データベース等の提供をした際の罰則を整備することにしております。」

とされています参議院内閣委員会平成27年5月26日)。

 

◯改正前は、5000人分以下の個人情報を取り扱う事業者は法の対象外とされてきましたが、改正後は全ての事業者に個人情報保護法が適用されます。

◯この事業者には自治会や同窓会等の非営利組織も該当します。

 

 次にQ&Aを紹介します。

 

Q.個人情報とは?
 

A.生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるものを指します。氏名だけでなく、住所や電話番号、自治会や同窓会における役職等も、氏名と紐づけて管理している場合には個人情報になります。

 

Q.すでに配布した会員名簿はどのように取り扱えばよいか?
 
 

A.会の中で認識されている「利用目的」の範囲内で取り扱うのであれば、特段何か行う必要はありませんが、盗難・紛失等のないよう、適切

に管理するようにしましょう。

 

Q.会全体の名簿以外でも地域やブロック毎の連絡網を作成・配布する場合、どうすればよいか?

 

A.名簿を作成・配布する場合とルールは変わりません。「連絡網を作成し、記載されている者に配布する」という利用目的を定め、その利用目的や問合せ先を書面等で関係者に伝え、作成した連絡網は安全に管理するといったことが必要です。(以上、同「自治会・同窓会向け会員名簿を作るときの注意事項」から)

 

 省略

 


編集後記 「9月といえば」というアンケートでの一位は「お月見」だそうです。しかし実際は、「お月見」をされる方はどれほどいるでしょうか。帰宅途中に「今日のお月様は満月か」と思えば良い方で、現代社会では、そんな気持ちも忘れてしまっているようです。これから年末まで仕事に追われる方も少なくないと思いますが、一時、立ち止まり月を見上げて見るのもいいかも知れません。 

             編集発行 株式会社プランニングファイブ