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SHONAN TAX OFFICE NO.305  
 




 

 
平成27年3月1日
 
個人の確定申告
 

 今年は昨年と違い、茅ヶ崎では、あまり雪が降りませんでした。これから、益々春めいた日が続きます。そして、お花見のシーズン。

 現在、事務所では、個人の確定申告の真っ只中。早く資料を頂いた方の分から申告を進めています。

 個人の確定申告の期限は、納税も含め3月15日までです。今年は15日が日曜日で16日(月)が期限となっています。後2週間程で、デッドライン。一日遅れただけでペナルティーが課されますので、気が抜けません。

 ところで、米国の場合は、通常会計期間終了の日から4番目の月の15日が申告書の提出期限となっています。個人の連邦所得税の場合には、原則として4月15日です。日本よりも、かなり遅くなっています。日本でも期限を遅くしても良いかも知れませんが、仕事も後ろにずれ込んでしまう恐れもあります。しかし、もう少し遅い方が、中身をより精査することができるかも知れません。

 もちろん米国では日本と違い、殆どの人が確定申告しなければなりません。

 古い資料になりますが、米国の2007(平成19)年の連邦個人所得税の申告件数は1.35億件で、日本の人口より多くの人が申告しています。その内、電子申告は6割で、この中の7割以上が税務専門家による電子申告だそうです税大ジャーナル、2008.6

 ちなみに、日本の所得税の申告件数は、2千万人強で、5人に1人が申告しています。もちろんその内の半数以上が還付申告です国税庁レポート2014

 

      申告者数    (万件)
    所得税 消費税 贈与税
25年   2,143  113   49
24年   2,153  115   44
23年   2,185  121   43
22年   2,315  132   40
21年   2,367  139   29
 

 個人の所得税の申告件数は、5年連続で減少しています。年金受給者の申告不要制度(平成23年分より)が影響しているのかも知れません。

 消費税の個人事業者も減少傾向にあり、逆に贈与税の申告件数は平成22年から増加傾向にあります。この頃は相続税の課税ベ−スの見直しが叫ばれていたことも影響し、賢い納税者の防衛策なのかも知れません。

 
 

3月の税務・総務予定
(税務)
*所得税・贈与税の申告期限・納付期限    16日(月)
*個人の青色申告の承認申請期限   16日(1月15日以降新たに業務を開              始した場合には、その業務開始の日 から2か月以内)
*個人消費税の申告期限・納付期限           3月31日(金)
(総務他)
*新年度の昇級・給与査定
*ホワイトデー・本命チョコ対策

 
 

 先月号でお知らせしました平成27年度の税制改正は、「所得税法等の一部改正法案」などとして2月17日に閣議決定され、同日第189回国会に提出されました。

 2月26日に衆議院の財務金融委員会に付託され審議が始まっています。

 この法案は、昨年の衆議院選挙に伴う税制改正大綱の遅れにより、前年よりも2週間近い遅れとなってしまいました。ただし与党が安定対数を獲得したため年度末には成立する見込みですが・・。

 前回も、改正内容をお知らせしましたが、今回はその中で面白そうな(マニアックな)改正内容をお知らせします。

 

*出国時の譲渡所得課税特例の創設(所法60条の2)

 そうは無い話でしょうが、話の種に。

 所有する含み益のある株式を持ったまま国外に転居し課税を回避する措置に対処する規定です。

 これは、キャピタルゲイン非課税国を利用した租税回避を防ぐため、出国する際に未実現であっても株式の含み益に課税する制度で、今年度の税制改正で予定されているものです。

 通常、株式等のキャピタルゲイン(譲渡益)は、株式等を売却した者が居住している国で課税されますので、これを利用し巨額の含み益のある株式を保有したまま日本からキャピタルゲイン非課税国であるシンガポールや香港に出国し、その後に売却することで税負担を回避を図ろうとする一握りの富裕層のための対策です。

 有価証券をお持ちの方の全てに、これを適用するわけにはいきませんから、巨額の節税が考えられる有価証券等の合計額が1億円以上で国外転出日前10年以内の国内居住期間の合計が5年超の要件を満たす者を対象に(5項)、出国時に有する有価証券を譲渡等をしたものとみなして、それらの金額により譲渡所得を計算し課税する制度です。

 なお、一時的に日本に滞在する外資系企業等の外国人役員等は,外国の親会社の株式などを有していることが多いため,外国人が本国に帰国する際にもこの制度が適用されるかどうかですが、前述のように国外転出の日前10年以内に国内に住所又は居所を合計5年超有していた者に適用されますが,外国人が日本で働く際に取得するいわゆる就業ビザによる滞在期間については,ここでいう国内居住期間から除かれていますので,仕事の関係で日本に滞在する外国人の多くには,本制度が適用されることにはならないだろうとされています。

 本特例の適用を受けた人が,その国外転出の日から5年を経過する日までに帰国等をした時に、その有価証券をまだお持ちになっていたならば、通常は、この譲渡等はなかったものとみなされ、出国時に支払った税金を戻してもらえます。具体的には,帰国等の日から4月を経過する日までに,更正の請求をすることにより還付を受けることができます。

 また、この課税を受けた国外転出者が5年以内に亡くなって、課税された有価証券等が相続税の対象になっている場合にも同様に取扱われます。

 ただしこの特例適用者であっても、国外転出年分の確定申告書に、納税猶予を受けようとする旨の記載をし、納税猶予分の担保と納税管理人の届出をしたときは、国外転出から5年経過日(申請により10年まで延長可能)までは納税が猶予される規定がありますが、納税管理人の選任や担保の用意をする必要があるため、このような方は、税理士などの専門家にご相談ください。

 これは、平成27年7月1日以後に国外転出時から適用されますので、もうすぐです。

 

*贈与等により非居住者に株式等が移転した場合のみなし譲渡課税の特例(所法60条の3)

 これも本年7月1日以後の国外転出と同様の規定で、こちらは相続・贈与があったときに適用される特例です。

 国外転出とよく似ていますが、自分が外国で生活するのはチョットという方の節税策で、外国で生まれた外国籍の孫に贈与等をして相続税等を軽減しようとするものです。

 これに対処?しようとしたものなのかどうか分かりませんが、次に掲げる要件を満たす居住者が有する有価証券を贈与等により非居住者に移転した場合には,その居住者の譲渡所得等の金額は、その贈与等の時に,その時における当該有価証券等の価額で譲渡があったものとみなして譲渡所得の計算をします。

@その贈与等の時における有価証券等の価額の合計額が1億円以上である者

Aその贈与等の日前10年以内に,国内に住所又は居所を有していた期間として一定の期間の合計が5年超である者です(5項)。

 これも前述の出国時みなし譲渡特例と同様に、納税猶予の規定や5年経過する日までに帰国等した場合にはなかったものとされる規定が用意されています(6項)。

 

*外国に住む親族を扶養等しているときの親族関係書類等の添付義務(所法194条CD)

 年末調整で、外国にお住まいの親族を扶養控除等していることがあります。その時の扶養親族等の人数の多さに驚くこともありますが、確認できないことから記入されたまま処理を行わざるを得ません。これに対する対策が、平成28年度から措置されることになっています。

 この規定の創設により、居住者である親族に係る配偶者控除,扶養控除等の適用を受けようとする居住者は,「親族関係書類」「送金関係書類」の提出をしなければなりません。

 

 省略

 
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確定申告の間違いやすい事例2
 

 個人の所得税の確定申告が始まり、最後の追い込み時期となりました。すでに申告が済んだ皆様には、申告書控えやお預かりした書類の返却が始まっています。

 納付額が発生し振替納税となっていない方は、納付書もお送りしております。所得税等は、16日(月)が期限ですので、忘れずに納付してください。個別に納付の確認までとることはできませんので、宜しくお願いします。

今年は、不動産の譲渡で住民票以外で居住を証明する案件や、毎年少なく無いのですが、買ったときの価額の分からないものなどかあり、多くの時間を費やしました。

 あと、今年も医療費控除でマッサージ関係のものが気になります。これらは医療費控除の対象となるものが多いのですが、これが控除対象となるべきなのかはいつも疑問に思ってしまいます。逆に医療費控除の対象になりにくい介護関係の費用、特に機器のレンタル料や身の回り用品については対象にならないものを少なくなく、こちらの方が切実かなと思ってしまいます。

 

(誤り)入院をする際に必要な寝具や洗面具などの身の回り品の購入費用は、医療費控除の対象になると思っている。
 

(正しい)医療費控除の対象とはなりません。医薬品以外の物品の購入費用で医療費控除の対象となるものは、医師等による診療等を受けるため直接必要なものであることが必要で、通常、寝具や洗面具などは、入院のためには必要なものですが、医師等による診療等を受けるため直接必要なものには当たらないので、その購入費用は、医療費控除の対象とはなりません。

 

(誤り)入院中、患者自身のパジャマ等のクリーニング代は医療費控除の対象になると思っている。
 

(正しい)病院が用意したシーツや枕カバーのクリーニング代は、入院・入所の対価と認められ医療費控除の対象となりますが、患者自身のパジャマ等のクリーニング代は、入院・入所の対価として支払われるものではないので、医療費控除の対象とはならないことになっています。

 省略

 

編集後記 やっと3月になり、日に日に春めいてきました。この時期は花粉症のシーズンも始まり、冬場と違った意味でマスク姿が多くなります。確定申告が終わると新年度がスタート。気が抜けませんが、新年度の準備だけはしておきたいと思っています。
                  
編集発行 株式会社プランニングファイブ