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SHONAN TAX OFFICE NO.299 
 




 
 

平成26年9月1日

 

広島の土砂災害

 

 猛暑とゲリラ豪雨の8月が過ぎ、もう9月になりました。今年もあと4ヶ月。来年は、相続税の大幅な改正と消費税率10%が待っています。

 3年前(平成23年9月)の紀伊半島豪雨は、まだ記憶にに残り、今年も7月、8月の台風の接近によって熊野川の支流が氾濫しました。

 今年は、広島県の安佐南区と安佐北区など8月19日からの豪雨は、大規模な土砂災害を引き起こし,沢山の家が大きな石に飲み込まれ、多数の犠牲者を出してしまいました。

 今でも多くの人が避難所で不自由な生活を強いられています。

 “数十年に一度”ともいわれる大災害が、近年は毎年のようにあちこちで起こり、その度に大きな犠牲が払われています。その中でも、避難所生活を送る住民に「エコノミークラス症候群」の兆候とされる血栓が静脈中にできていたことが報道されていました。避難所で生活する人はなお1,000人を越えているそうで、窮屈な生活は長期化することも懸念されています。

 エコノミークラス症候群は、長時間座ったままなど同じ姿勢を保つことで足や腕がうっ血し、血栓ができる症状で、長時間圧迫され静脈に付着していた血栓が血管壁からはがれ、血管を詰まらせてしまいます。この血栓が、脳に移動して血管を閉塞させると脳塞栓、心臓の血管を閉塞させると急性心筋梗塞となり、とても危険です。被災地では、今起こっています。

 災害の大きさに関係なく、被災者にとっては、同様に大変な問題です。

 広島土砂災害義援金は、色々な組織・団体で募集が行われていますが、その中で、広島市では、「広島市8・20豪雨災害義援金」として、平成26年8月22日(金)〜 12月26日(金)の間、義援金を受け付けています。

 振込先は、広島銀行 広島市役所支店普通 3047757災害発生に係る義援金(サイガイハツセイニカカルギエンキン)ほか、です。詳細は、広島市のホームページをご覧下さい。

 

9月の税務・総務予定
 

(税務)
*個人消費税の振替納税(中間が必要な方)
 (中間1回の方・1回目) 29日(月)
 

(総務他)
*防災訓練
*社会保険、標準報酬月額(定時決定)の改定

 

 

来年、平成27年から相続税の大幅な改正が行われますが、国税庁は、このほど納税者への税制改正周知用のパンフレットを作成・配布して国民への周知に努めています。

 この改正は、平成25年度の税制改正で成立し、平成25年2月号(本誌280号)で取りあげたもので、今回はこのリメイク版です。

   これは、税と社会保障の一体改革の一環として、平成25年度税制改正により、平成27年1月1日以後の相続又は贈与について、

@相続税に係る基礎控除額の引下げ、

A贈与税の相続時精算課税に係る適用対象者の範囲拡大、

B事業承継税制に係る適用要件の緩和などが行われる、としたものです。

(1)相続税の基礎控除の引下げ(「5,000 万円+1,000 万円×法定相続人数」→「3,000 万円+600 万円×法定相続人数」)及び 相続税の税率構造の見直し(最高税率を 55%に引き上げる等)(相法15)が行われます。

 法定相続人が,配偶者と子供2人の時の相続税の「遺産に係る基礎控除額」は、

 3,000万円+(600万円×3人)

=4,800万円(今年までは、8,000万円)となります。

 相続税の総額の計算をしてみましょう。課税価格の合計額が2億円として、上記と同じ妻と子供2人の場合は、

 2億円−4,800万円(基礎控除額)= 1億5,200万円を法定相続人の法定相続分で無理矢理分割したものとして計算します。

妻:15,200万円×1/2(法定相続分) =7,600万円 相続税の速算表で税額を計算します。

7,600万円×30%−700万円=1,580万円

子供:15,200万円×1/4(法定相続分) =3,800万円 これも税額を計算します。

3,800万円×20%−200万円=560万円 

  妻1,580万円+子560万円+子560万円 =2,700万円が相続税の総額となり、相続で取得した分に応じて相続税を負担します。

 すなわち半分の1億円を相続で取得しますと

 2,700万円×1億円/2億円=1,350万円を相続税として納付することになります。但し配偶者であれば、一定の非課税枠がありますので、法定相続分か1億6,000万円までは,相続税の納付はありません。

 ちなみに平成26年までですと、相続税の総額は1,900万円でしたので、来年からは2,700万円となり、大幅に増税になります。 遺産が総額が増えれば、最高税率を超える人以外は影響は少なくなり、財産の少ない方ほど影響が大きくなります。

(2)小規模宅地等の特例の拡充

 もう一つの相続税に関する大きな改正で、この分は優遇されます。

 8割減額となる居住用宅地の適用対象面積の上限を 330 u(現行 240 u)に拡大、居住用宅地と事業用宅地(貸付事業除く)の完全併用 が可能になりました。

 路線価1u・30万円の特定居住用の適用となる土地を330uお持ちの場合の特例適用後のこの土地の評価額は、

 今年までは、  330u×30万円-240u×30万円×8割 =4,140万円

 来年からは、 330u×30万円-330u×30万円×8割 =1,980万円となります。

都会で100坪の土地にお暮らしになっている方は,少ないとは思いますが・・。

 

○大塚耕平君 ・・・例えば冒頭申し上げた特定居住用宅地の特例適用対象面積を、従来240uまでだったものを330uに引き上げるとか、あるいは今おっしゃったような見直しをなぜ今回しようというふうに思われたんですか。


○政府参考人(田中一穂君)・・・居住用の宅地の適用面積を240uから330uに広げた点と、それから居住用と事業用の併用が限定的であったものについて完全の併用を認めると、この二点につきましては、今回の相続税の基礎控除の引下げ等、改正がかなり大きな改正であって、都市部に土地をお持ちの方、例えば都市の営農の農業者の方あるいは店舗を持った上で横に住んでいるような方等々、都市の土地の高いところにお住みの方について一定の対応をしたということでございます。・・
 

○大塚耕平君 今回の見直しは、これは私も是としているんですよ。いいことだと思うんですが、・・・330uって百坪ですよ。田舎に行ったら別に、決してそんなに広いというわけでもないですよね。もうこの個人事業主とかいわゆる自営でいろんなことをしておられる方々、どんどんどんどん衰退していっているし、地域経済の疲弊の一因にもなっているんですけれどもなぜそういうことが起きているのかということについて、相続税の基礎控除が引き上げられることに伴わなくても今までやるべきだった。・・・この法律を東京で、霞が関で考えられたものを一律全国にこれ適用しているわけですけれども、地域差もあるわけですよ。
 大臣、これ、もう少し地域差あるいは特殊事情に応じた対応ができるように、個人事業を営んでおられる方々が事業を継続できるようなことも念頭に置いた弾力性を持たせる方向で来年度は臨まれるということについてはどうお考えですか。


○国務大臣(麻生太郎君) 地域差があるのは先ほど金子先生の、車、地方じゃ二台が当たり前で東京じゃ〇・五台だというお話もありましたのと、例に引くまでもなく地域に格差があるのははっきりしています。そういった意味で、この種のことは霞が関にいたらと、やっぱり東京を基本に考えたんじゃないかという御推測というのはあながち頭から否定するつもりもありませんが、少なくとも今地方において別にすべきではないかという御意見は拝聴に値すると思いますが、一番難しいのは線引きです。どこでどう線引くかって、・・・なかなか難しいところなんだと思います・・・いずれにしても、これを弾力的に運用するというのが地方におきまして非常に有効な、地域の活力を維持させる上も必要な配慮かと、私どももそう思います。
 

 (参議院財政金融委員会平成25年3月26日議事録)
 

 
 

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消費税転嫁
 

 経済産業省では、8月20日に吉野家グループが、今年4月の消費税率のアップに伴って適正な消費税の転嫁に違反があったとして,公表しました。

 どの様な問題かといいますと、

@吉野家グループは、複数の店舗所有者(賃貸人)から継続して店舗を賃借していた。

A 吉野家グループは、上記@の店舗所有者(賃貸人)の一部に対して、平成 26 年 4月分及び 5 月分の賃借料を消費税率引上げ分を上乗せして支払った後に、同年 6月分の賃借料から上記 4 月分及び 5 月分の消費税率引上げ分を減額し、さらに、同年 6 月分以後の賃借料も消費税率引上げ分を上乗せしない旨を通知した。

 これは、適正な消費税転嫁に違反する行為(減額及び買いたたき)であり、多数の店舗所有者(賃貸人)(約 100 者)に対して減額及び買いたたきがなされていたことが認められる、としています。

 何故このような違反行為を大規模に行ったのか,よく分かりませんが、お客様商売の吉野家全体にとって,大きなマイナスになってしまったことは,確かです。

 

この他に次のような減額事例が紹介されています

@ 建設業を営むA社は,建設資材の納入業者に対し,平成26年4月1日(改正)以後に供給を受けた建設資材について,納入業者との間で既に取り決めていた対価の一部を,合理的な理由なく事後的に減じて支払っていた。

A大規模小売事業者であるB社は,自社で消費者の注文を受けてから加工した上で引き渡す衣料品等について,消費税率引上げ前に注文を受けて改正以後に消費者に引き渡す場合には,消費税率引上げ後も小売価格(税込価格)が据え置かれるように値引き販売することとし,当該商品の納入業者に対して,小売価格の値引き額の半額相当額を負担させていた。

Bホテル業を営むC社は,自社の取引先に対し,毎月の消費税込請求金額に応じて1,000円未満又は100円未満などの端数を切り捨てた金額を支払い,さらに,一部の納入業者に対し,毎月の消費税込みの請求金額から3パーセントを差し引いた上で,端数を切り捨てた金額を支払っており,改正以後も同様の取扱いをすることとしていた。

 

 省略

 

編集後記

 今月は、来年から改正される相続税について書かせて頂きました。相続税の税収は、毎年1.5兆円程度ですが、これが1.8兆円ぐらいになる予定です。他の所得税(15兆円)などの税収に比べると確かに少ないのですが、負担する方が増えてくることだけは確かです。まだ暑い日が続きますので、身体に気を付けて食欲の秋を迎えてください。

          編集発行 株式会社プランニングファイブ