P5 通 信
NO.100
平成10年1月1日

100号記念

 100号“記念”という大げさなものではありませんが、毎月月初めに発行しておりますこの事務所通信も今回で100号になりました。創刊号?は、平成元年10月に,B5版片面に色々な情報を添付して発行いたしました。その頃は30件程しかお送りしておりませんでしたが、現在では、200件を超えようとしており、毎回お読みいただいている皆様には本当に感謝申し上げます。
 内容はと言えば、最初の頃の方が、もっと実務的であったような気がしますが、最近では訳の判らない内容が多いのではないかと反省しております。
 この事務所通信は、毎年1日発行ですので、月初めに事務所に来て、その時初めて何を書こうか考えて書き始めますが、午前中に書きあがらないと、その日の内に郵送することができません。最初の頃は、文量は今よりもっと少なかったのですが、2〜3日前から色々と考えていました。
 何を書こうか考えている内に大体半日は過ぎてしまい、月初めは毎回いらいらします。8年以上毎月同じ気持ちを味わってきました。それでも何とかできあがると、ほっとします。今回もそうですが、こんな有り様なのでなかなか内容があるものになりません。今年の年賀状にも書きましたが、今年は、もう少し前から構想?を練って書いていきたいと思っておりますが、まー無理でしょう。

 どうなるかは判りませんが、今年もどうぞ宜しくお願いいたします。

 今年はトラ年。仕事に遊びに勇猛果敢にチャレンジしたいものです。

1月の税務予定
源泉所得税の納付 12日
納期特例届出書提出者 20日支
払調書、償却資産申告書、
給与支払い報告書の提出 末日個
人住民税の納付 末日

税制改正
 昨年12月20日に大蔵省から平成10年度の税制改正の大綱が示されました。もちろん国会の審議を経て初めて法律として動き出すので、その前の段階のものですが少し見ておきたいと思います。

1.特別減税
 これについては新聞紙上で詳しく発表されましたのでご存じかと思いますが、通常妻と子供2名の家族の場合は、今年45,000円(本人18,000円+9,000円×3名(妻、子2名))の減税となります。もちろんその年に支払う所得税が、45,000円以下となれば、その範囲になりますが・・・
 減税の方法は、サラリーマンの場合には今年の2月に支払われる給与で源泉徴収される金額から引きます。例えば上記の人の2月の給与が40万円だとしますと、通常ですと、源泉所得税は14,790円で、これが2月の給与から差し引かれますので、特別減税によって引かれ、源泉所得税はないことになります。この人の場合に給与が一定だとしますと、3月、4月も引かれる源泉所得税はゼロとなり、5月分もまだ減税額が残っていますので、若干源泉所得税が少なくなります。多分5月になって手取りが減るのでこの人はガッカリするかも知れません。
 確定申告をされている事業所得者の場合には、7月に予定納税があればそこで引きますが、それ以外の方は11年の3月まで待ってもらうことになります。

2.法人税関係
*税率が下がります。一般の税率で3%下がりますが、赤字法人の方には関 係有りませんし、実際にこの税率が適用されるのは、通常、来年の5月 の納付(11年3月決算の会社から)以降でしかこの税率は適用されませ んので、すぐには影響しません。
*賞与引当金を廃止するとしています が、大綱のまま実施されたとします と平成14年までは、一部経過措置が 執られて若干の引き当てが認められ ますが、以後賞与を決算までに支払 わない限り通常は費用(損金)とな らないことになります。賞与の性質 からすると理論的な課税制度とは言 えませんが、今後ボーナスという給 与体系が見直されることになるかも 知れません。(例えば、決算賞与が 増えるとか、通常のボーナス時期を 決算期とするとか・・)
*減価償却では、建物の償却方法が定 額法となります。どのような影響が あるかと言いますと、取得当初の費 用化が少なくなると言うことです。 費用の適正配分と言う意味では定額 法が優れているかも知れませんが、 その分配当に回す金額が増えますの で、債権者保護という観点からは後 退します。
*また少額減価償却資産の取得価額が 20万円未満から10万円未満とすると しております。確かに諸外国では10 万円以下で資産として計上する国も あるようですが、わが国では償却資 産税とのからみもあり、むしろ20万 円基準を上げるような声も少なくな かったことからするとその影響は大 きいと思われます。
*交際費についての一定基準以下の費 用化の制限が今までの10%から20% となります。資本金1,000万円の法人 で年300万円の交際費を使いますと今 まで30万円は費用として認められな かったものが、今後は60万円が認め られないことになります。一定の交 際費について費用化の割合をこの大 綱のように下げることは必要だと考 えていますが、問題は何故課税する のか?だからどこに課税するのかに ついて法律がちゃんと作られていな いために問題となる場合が少なくな いことにあります。理論的な検討が なされるべきでしょう。

3. 土地税制
*まず地価税の凍結です。一度新しい 税目が増やされると取り止めること は困難だということを良く表した税 制の一つです。何故この税が作られ たか。理由はもうどうでも良くなっ てしまいました。遅まきながらの凍 結です(廃止ではありません)。
*個人の長期譲渡所得の税率が下がり ます(今年の譲渡分から適用される ようです)。
 1億円の益の出た譲渡所得税は、
 2,400万円が2,200万円になります。 税金が少なくなったと見るか余り 変わらないと見るかは意見が分かれ るところかも知れません・・・
*居住用財産を買い換えた場合の要件 が緩和され、譲渡損失が発生した場 合にも、譲渡の年以降3年間にその 損失額が控除できるとされています。
 法律が成立すればまたお知らせいたしますが、今回は一般的なところだけお知らせいたしました。

P 5 Corner
ご今年もどうぞ宜しく

最後の葉(O.HENRY'S AMERICAN SCENESから)
 ワシントン郊外の小さな町に、年老いた画家が移り住みました。この画家は名前をバーマンと言い、60歳を過ぎた今まで、画家としては決して成功していたわけではありませんが、いつかきっとすばらしい絵を描くと言っていました。
 その家の3階には、スーとジョシーという若いお嬢さんが住んでいました。一人はメイン州から、もう一人はカリフォルニア州から来た娘さんで、趣味が同じでしたので、一緒に暮らすようになりました。
 ある冬に肺炎が流行しジョシーも病で、ベッドの上で動くことも出来ず、窓から見える隣の家の壁を見ていました。
 ある朝、お医者さんはスーに「ジョシーが良くなるチャンスは僅かです。自分で良くならないと思いこんでいます。生きようとする意欲がありません。」
 病床に伏したジョシーは、窓の外の隣家の壁の前の一本の木の葉を見てそれを数えていました。葉は、冬の北風の中で、枝から一枚づつ舞い落ちていきました。
 ジョシーは、この枝に残った葉を数えながら、「最後の一枚の葉が落ちたとき私も死ぬ。」
 スーは、「そんなこと言ってはいけないわ。お医者さんもチャンスがあると言っていたのよ。何か食べなさい。」
 その夜は、強い風と雪まじりの北風が木の全ての葉を落とそうとするかのように一晩中吹いていました。
 スーは下の階のバーマンにこのことを話しました。
 一晩中吹き荒れ風の止むときはありませんでしたが、翌朝、窓の外の地上から20フィートあたりの枝に一枚の葉が残っていました。年輪を重ねた黄金色の枝に深緑の葉がしっかりと見えます。
 ジョシーは、「最後の一枚ね。昨日の夜の風で落ちてると思ったけど。でも明日までには落ちると思う。」その日が過ぎ夜の間中窓に雨が打ち付けていました。次の日の朝、葉はそのままそこにありました。ジョシーは、長い間それをベッドに横たわったまま眺めていました。それからスーを呼んで何か食べる物を持ってきてくれるように頼みました。その午後お医者さんがやってきて「ジョシーは大分良くなってきました。私は階下の画家のバーマンを診るが、彼は老齢で肺炎も悪化している。難しいかも知れない。」と告げました。
 次の日の午後、スーはジョシーに「バーマンさんが今日の午後病院で亡くなったわ。彼の靴や衣類は濡れて氷のように冷たかったそうで、バーマンさんがどこにいたのか不思議がっているわ。」。屋外の隣家の壁の前に彼の絵材が有りました。緑と黄色の絵の具。
 家の壁には、決して風にそよぐことのない葉が今も木の枝に一枚付いています。バーマンさんは、一生の内で一番すばらしい絵を最後に描きました。

編集後記
毎年のことですが、新年早々事務所の中は事務所通信やら年末調整やらで
大騒ぎです。それでもいつの間にか事務所通信も100号という事で、継続は
力なのか惰性なのか判りませんが、何とか続けています。もう一度初心に返
って見直していきたいと思っております。本年も宜しくお願いします。
編集発行 株式会社プランニングファイブ

     Last Updated: 7/JAN./1998