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平成10年9月1日
So help you God !
東日本を中心とした集中豪雨によって、数日間で年間降雨量の半分以上となり、河川が氾濫し、家が流され、濁流に車が飲み込まれて多くの犠牲者が出ました。記録的な異常気象はお隣の中国を始め多くの国に深い爪痕を残しています。
経済界でも、日本の金融不安やロシアの経済危機から世界規模で株安傾向が続き、株式・通貨の連鎖安はニューヨーク株式相場も直撃し、先月末から今日1日に掛けて大幅な下げ幅を記録しています。
景気低迷が続く日本の金融機関の破綻処理のため、国会では、金融再生法案の審議に入っています。長期信用銀行に対する公的資金の注入問題では、長銀経営陣の参考人招致が行われていますが、経営の不透明さが払拭されたとは言い難いようです。もちろん“参考人”の場合には、議院証言法の適用を受けませんので、宣誓などの手続きは無いそうです。逆に“証人”になると“宣誓書”を読み上げて、署名押印します。そこには、
「良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事も付け加えないことを誓う。」旨が記載されています。
米国でも、クリントン大統領やモニカ・ルインスキさんは連邦大陪審の証言で、次のような宣誓が行われていることでしょう。
“Do you swear to tell the truth, the whole truth, nothing but the truth?
So help you God !”“Yes,I do.”
大陪審で真実が述べられたかどうかは知りませんが、偽証に対する批判は日本以上のようです。ウソも方便という国民性の違いかも知れません。
しかし日本の“参考人”が宣誓をしないからと言って質問にウソをついても良いことにならないのはもちろんです。
9月の税務・総務予定 個人消費税中間振替日 25日 *防災訓練の実施 *年末までの資金繰り計画の作成 *秋の健康診断の実施 |
「税金はどうして払うの?」。この質問を若い大学生にしても、なかなか答えが返ってきません。
税金を何故納めるのかという問に対しては、一般には、国など(社会)を維持する経費が必要なこと。大きな政府や手厚い社会保障は多くの社会経費が必要になります。
また、富が一部の人に集中するのを防いで社会保障等に分配するためにも必要でしょう。これが町内会費と違うところです。金持ち優遇税制とか開発途上国を先進国が援助するのは当たり前だという考えもその延長線上にあるのかも知れません。所得や財産が大きくなると税率が高くなる所得税や、相続税はこの機能を良く果たしています。
それに減税や増税によって景気の変動をコントロールする機能を持っています。しかし日本では、米国のメロン減税、ケネディ減税やレーガン減税のような大規模な減税は望むべきも無く余り期待できないのが従来でした。
最近では、税収を消費税・売上税のような間接税にシフトとする傾向がヨーロッパを中心として広がってきています(TVA、付加価値税といいますが、ここでは消費税と言うことにします)。この税金は、所得税などのような直接税の富の集中を防ぐというような配分機能には優れておりません。むしろ税収の確保機能に優れた税金だと言うことが出来ます。
消費税は元々、フランスの発明?で、1920年に紹介され、その起源は1936年の生産税から出発し、1954年以後に現在の消費税の基本的な枠組みが決められております。また、近年では、フランスの国家税収の殆ど50%を占めています。フランスは、18世紀後半から19世紀に掛けて、フランス革命、七月革命、二月革命を通して王権制政治と共和制政治とが衝突したクーデターの歴史そのものでした。そう言う歴史を経た市民感情は、懐から直接納税するという所得税には反発が大きかったようです。その点、消費税は内税方式が普通でもあることから、税率の引き上げに対しても国民の反発が少なく、企業投資、労働コストや輸出競争力にも影響が少ないことから、20%を超える税率に対しても大きな税収の柱として消費税が導入されてきました。
現在、100ヶ国以上で消費税が導入されていることからしますと、アメリカのように、国家にいくら貢献しているか明確にすべきだと考える理想主義よりも税収の確保に重点をおき、負担が判らないような税制が一般的となりつつあるのかも知れません。
給与から差し引かれる所得税の源泉徴収制度も痛みが感じ難い税制で、フランスでも、社会保険等の負担は、国税・地方税の合計額にほぼ等しく、20%を超える負担となっているにもかかわらず、従業員負担分が給与から直接差し引かれていることから受け入れやすかったようです。
理想を捨てて、税収の確保のみを考えるならば、消費税は、より納税感のない内税とすべきなのでしょう。(Taxes in France等を参考にしました。)
平成10年度の法人税改正に伴って、税務職員向けに法律の解釈を示した
“通達”が公表されました。
改正につきましては、既にお知らせしておりますが、“通達”でどの様に言っているかを2、3若干紹介いたします。
*少額の減価償却資産が20万円未満から10万円未満に変更に伴い、取得価額が10万円から20万円未満の資産について一括して3年間で費用化(損金算入)する方法を選んだ場合に、その資産を2年目に譲渡したり廃棄した場合であっても、一度に損金算入する事は出来ないとしています。
例えば18万円のパソコンを10台買って、2年後に全部を100万円で売ることになってしまったとします。
通常でしたら、
100万円-(180-60万円)=△20万円
所得が20万円差し引かれることになるますが、
この通達では、
100万円を収入として、逆に差し引かれるのは、1年分の60万円しか有りませんので、この期は40万円所得が増えることになります。(翌期は損金が多くなりますが...)
確かに資産を個々に管理しないことになっていますから、この様な取扱は判らないではありませんが、その資産が明確に確認される物まで、この様な取扱をする事には疑問を持っています。もちろんこの様なことがそれほど起こるとも思われませんが、3年以内の廃棄や売却は不利になる場合があります(法人税基本通達7-1-13)
*建物の耐用年数が短縮され、費用化が早まることになりましたが、以前に中古の建物を購入して、その時の耐用年数を基に簡便法によって耐用年数を算定していたと思います。通達では、短縮された耐用年数を基に取得したときの経過年数から再計算することが出来るとされました。例えば耐用年数が60年であった建物が50年に短縮されたとします。中古購入時点の簡便法による耐用年数を55年としたものは、新品の耐用年数の50年とするのではなく、50年を基に計算し直して良いと言うことです。忘れないように!!
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個人の税務情報
個人の税務情報の公開を求めることが出来ます。
個人の税務情報は、国の行政機関のコンピューターに蓄積されています。自分の情報が正しく処理されているかをチェックするために「個人情報保護法(昭和63年)」という法律があります。 基本的には申告されている税務署に開示請求をすることによって自分の情報を調べることが出来ます。手数料は、1個人情報ファイルあたり260円です(同令15条)。法律が適正に運用されているかの確認のためにも、興味が有れば、開示請求してみて下さい。
個人ファイルには、次のようなものがあります。
*消費税ファイル
*課税事績情報ファイル
*決算書等損益情報ファイル
*消費税届出履歴ファイル
*源泉徴収義務者ファイル
*相続税及び贈与税の納税猶予対象者 ファイル
*債権管理あて名ファイル
*未到来債権管理ファイル
*贈与税申告情報ファイル
編集後記 異常気象や、金融不安に加えて、ミサイルまで飛んできて、日本は、そ して世界はどうなってしまうのでしょうか。歴史が繰り返されないことを 願いたいですね。食欲の秋も近づきました。先月からの追加減税でちょっ ぴり増えた手取り分で美味しい物でも食べて景気回復に協力しましょう。 編集発行 株式会社プランニングファイブ |
Last Updated: 8/SEP/1998