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平成10年4月1日
ビッグバン
日本版のビッグバンと言われる『金融大改革』が、本日1日より始動します。これから21世にかけて順次金融改革が行われることになっています。
10年以上も前に、英国で証券制度の大改革を行ったのを習って、日本でも、金融機関の業務範囲の拡大や各種手数料の自由化などの規制緩和を進めて日本の金融業界も国際的に通用する土台を築くと共に、日本の金融市場の活況を取り戻すために改革を推進するそうです。
今年は、外為法の改正によって資本取引が自由化されたり損害保険の料率が自由化されることになっています。
これによって中小企業の事業主がどういう影響を受けるのか、はっきりとしませんが、外為法の改正(平成9年法律59号、5月23日公布、本年4月1日施行)を順に見てみましょう。
(1)海外の銀行に自由に預金口座を開設することができるようになります。
企業が外国に口座を開いて、その口座から小切手を使って支払ったり、通信販売で購入した外国製品の代金を支払うことができるようになります。(一定金額以上のものについては、事後に報告が必要となっています。)
中小企業でどれだけ外国に口座を持つようになるのか判りませんが、輸出入業務を行っている企業では、決済に便利ですので、すぐにでもおきるかも知れません。そうなると、取引時の記帳や損益の確認の問題、残高の問題や記帳漏れの確認など経理担当者は今以上の注意を要求されるかも知れません。
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(2)外貨による取引が自由に行えるようになります。
輸出業務を考えてみましょう。メーカーは、商社に製品を卸し、商社が輸出して外貨を得たとします。商社は今までは受け取った外貨を円に換えてメーカーに払っていましたが、改正後は、商社はその外貨をそのままメーカーの支払代金に充てることができますので、為替手数料の節約を図ることができます。
皆さんが海外旅行に行って持ち帰ったドルもそのまま使うことができます。またドルショップも自由に開設することができるようになり、一杯5ドルのカウンターバーや、医療費控除の確定申告報酬が50ドルポッキリという税理士事務所がでてくるかも知れません。
目新しさを売り物にする飲食店や小売店では、決してないとは言えないと思われます。皆さんのところの机の中にも、ドルやバーツが眠っていませんか。
でもそうなったら、売上や費用をどうやって計上するのか空恐ろしい気がします。
(3)両替業務が自由に行えることになります。
今まで、銀行に行って、ドルやトラベラーズチェックに交換して貰っていたものが、街の至る所にできる両替商越後屋みたいなものや、デパートやコンビニに両替コーナーができるようになるかも知れません。
*月*日 為替手数料 253ドル
米ドル残 12,532ドル
だったとしたら、これどうやって記帳したらいいでしょうか???
(4)その他−危惧と準備
経済が専門でないので素人考えですが、(税理士は一応専門は税法という「法律」と言うことになっています。中江事務所は、コンピューターが専門だと思われている方がいらっしゃるかも知れませんが、それは間違いです。念のため!)資本の海外に流出する割合が、今よりもっと多くならないのだろうかと思ってしまいます。これに対しては、今まででも規制緩和によって内外取引が自由化されていたので、今までの延長線上にある今回の改正によって資本流出が加速されるとは考え難いとも言われています。しかし、不良債権を抱える日本の金融機関の信頼性や、今までのような大きな内外金利差が有れば資本流出は続くのではないかと思われて成りません。
色々な通貨が流通することになれば、市場は混乱してしまいます。そうなると遅からず、EUのような共通通貨に移行せざるを得なくならないでしょうか。今のウチにコレクション用の円紙幣など集めておこうなんて考えないように・・・
準備:ウケを狙って、ドル用のメニューを作っておく。ドル建てのレシートの用意はないので、ドル用の領収書をつくる。最初から“$”を書いておく。消費税は面倒なので税込みにする。両替用の10セントと5セントは分かり易くしておく。マー好きなだけ色々なことを考えてみて下さい。
(御園生稿、ジュリスト1119号61頁を参考にしました。戯言部分は筆者)
特集!!税制改正法成立
3月31日に「法人税等の一部を改正する法律」及び「「租税特別措置法等の一部を改正する法律」等が国会を通過・成立しました(官報、特号外5)。
これにより、前号まで掲載しました平成10年度税制改正が正式に動き出します。
この改正では、「平成10年4月1日開始時業年度」から適用されますので、3月期法人の場合には、本日4月1日からすぐに影響が出ることになります。
交際費の定額控除内の支出の20%(昨日まで10%でした)が損金に算入されません。例えば資本金1千万円の法人が年間の交際費として400万円支出していたとしますと、今までは400万円の1割の40万円については損金に計上されませんでしたが、今日からは80万円が損金とはならないことになります。結構大きいですよ。
また、20万円未満の少額減価償却資産は、一括して償却して費用にすることができましたが、これが“10万円未満”となり、取得価額が10万円〜20万円の資産については、3年間の均等償却をすることになります。例えば18万円のクーラーを購入したとしますと購入年度で費用になるのは18万円÷3年の6万円だけになります。もちろん、通常の減価償却資産として6年の耐用年数で計算しても良いのですが、もしそうした場合には、市町村の償却資産税の対象となってしまいますから、通常は均等償却することになるでしょう。
コンピューターソフトのような少額繰延資産については、今まで通り20万円未満については一括費用となり、今のところこの金額の改正は行われない模様です。
3月決算法人で、今年の3月末日までに20万円未満の少額減価償却資産を購入しても3月までの前期中に事業で実際に使っていなければ、今期の資産として3年間の均等償却をすることになります。
3月末日で期の途中ならその期の間は、以上の適用はありません。
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Last Updated: 3/APR/1998