P5 NEWS     

SHONAN TAX OFFICE NO.266   
 




 

 
平成23年12月1日
 
復興費用
 

 今年も後一月で終わろうとしています。あまりにも厳しい一年だったような気がします。3月11日の東日本大震災は,人的・物的にあまりにも大きな傷跡を残しました。計画停電や夏場の節電は,個人・企業とも影響は大きく,停滞した経済の背中を押したような1年になりました。

 復興に向けた歩みは,少しずつ前進しています。数次に亘る補正予算,震災関連法案や復興財源の確保などが行われてきました。

 一方で別の側面も現れて,大手ゼネコンの復興バブルに談合疑惑もささやかれています。

 また復興費用は,一体いくら必要なのかは,色々な意見が出てはっきりしません。政府は23兆円が必要だとして財源を確保するための増税を行いました。また,一方では40兆円以上必要だといい,或いは10兆円も必要ないという方もいます(東洋経済12・3号70頁)。もちろんこれは,殆ど物的な復旧だけで,今後長期化して発生する原発災害による費用は,まだ不確実な面が多いのも確かです。

 急激な対応が迫られたことから,色々な問題が今後も発生するのでしょうが,出来ることからやるしかないのでしょう。

 

 今年一年間の主なニュースです。

1月・・エジプトで反体制デモ発生
2月・・ニュージーランド・クライストチャーチ付近の地震により日本人留学生が被害に
3月・・東日本大震災と原発事故発生
4月・・英ウィリアム王子の結婚式
5月・・国際テロ組織アル・カーイダの最高指導者ビンラディン容疑者の死亡
6月・・FIFA女子ワールドカップでなでしこジャパンが優勝
7月・・中国高速鉄道の脱線事故
9月・・野田総理誕生
10月・・タイで最悪の水害発生
  政府・日銀の円高介入
11月・・ユーロ危機,イタリアにも
 
 

12月の税務・総務予定


(税務)
給与所得の年末調整    (原則)本年最後の給与の支払時
*固定資産税・都市計画税 (第3期分)の納付 通常月末(1月4日)


(総務他)
*年初の通信
(昨年から年賀状の代わりに・・)の発送
*年末ボーナスの支給
 

11月30日に,やっと東日本大震災の復興財源を賄う臨時増税を盛り込んだ復興財源法など平成23年度第3次補正予算関連5法が成立しました。また23年税制改正法案のうち一部が平成23年6月改正法としてすでに成立し,積み残し分である「経済社会構造の変化に対応した税制構築を図るための所得税法等改正法」等は,11月10日の民自公3党税調会長会談により,法人課税と,納税環境整備では更正の期間延長や範囲の拡大,理由附記等を実施することとなったほか殆どの部分が削られ,11月30日に成立しました(平成23年11月改正法・次のAの部分)

   平成23年度改正法案の流れは,

平成23年
  1月25日 23年度改正  国会提出
  6月10日 法案修正 2つ(@・A)に分かれる
  6月30日 @6月改正法成立
  10月28日 A内閣改正修正要求
  11月24日 A衆議院修正通過
  11月30日 A参議院通過
 

 その他の納税者権利憲章の制定や税務調査の事前通知の見直し等は,引き続き議論を行うこととされ,成立は不透明な情勢となっています。

 したがって,今回見送られた個人所得課税(給与所得控除・退職所得控除・扶養控除など),資産課税(相続税の遺産に係る基礎控除・死亡保険金に係る非課税限度の引下げ),消費課税(地球温暖化対策税)などについては,24年度改正へと仕切り直しとなりました。

 増税部分は,次の通常会で成立するでしょうから,実施時期がずれるぐらいで予定しておいた方が良いと思います。

 この改正については,国会で殆ど審議らしい審議はしていません。内容は復興財源法案に関するものが殆どで,直接関係した審議は少ないのですが,面白そうな所を紹介します。

 

○佐々木(憲)委員 ・ことし初めに出された法案では、納税者権利憲章を作成し、公表するとなっておりました。今度の政府修正法案で、これはどうなりましたか。


○五十嵐副大臣 御指摘のとおり、ことし一月に国会に提出した23年度税制改正法案の中の通則法改正案においては、納税者権利憲章の策定というのが盛り込まれておりました。
 この改正案については、本年6月の三党合意において、各党間で引き続き協議を行い成案を得るとされておりましたがその後の協議の中で、野党側の感触を踏まえて、与党より、この納税者権利憲章の策定という文言については見送るよう要請があったことから、政府としては、この要請を踏まえた修正案を提出したところでございます。
 

○佐々木(憲)委員 ・・野党側の感触と言いますけれども、野党というのはどの党ですか。
 

○安住国務大臣 どの党とは申し上げられませんが、成立がなかなか難しいという判断だというふうに党から連絡をいただいて、残念ですけれども、今回そういう形になったということなんです。
 

○佐々木(憲)委員 私が聞いている限りは、これは自民党だと聞いておりますけれども。要するに、自民党の言いなりになったということじゃないんですか。
 第一条では、「国税に関する国民の権利利益の保護を図りつつ」という法文になっておりましたが、政府修正案はどうなりましたか。
 

○五十嵐副大臣 御指摘のとおり、本年一月の改正案においては、第一条に「国税に関する国民の権利利益の保護を図りつつ」という文言を追加してあったところでございますが、先ほど申しましたように、6月の三党合意において、引き続き協議をするということになりました・・。
 

○佐々木(憲)委員 これも自民党が要請して削ってしまったんですよね。
 こう見てきますと、納税者の権利保護に資する条項というものはすべて削除されている。逆に、義務を強化する条項だけ残したということになるんじゃありませんか。納税者の権利を守る、こういう民主党の基本方針は一体どこに行ったのか。これでは、国民の権利保護というのはどうでもよい、こういうことになってしまうんじゃありませんか。大臣、どういう感想をお持ちですか。
 

○安住国務大臣 更正の請求期間の延長とか理由の付記とか、そういう点では、権利の具現化をする事項の早期実現ということに関しては図られる方向ではあるんですが、先生がおっしゃったように、原案どおりではないな、骨のところがだめじゃないかという御指摘だと思いますが、本当に、今11月ですけれども、出してから半年以上、粘って粘ってやってきたんですが、なかなかコンセンサスを得られなかったというのは事実でございます。
 ただ、あきらめたわけではなくて、今後とも、納税者の皆さんの側から立った視点での考え方というのをできるだけ法律に入れていけるよう、コンセンサスを得られる努力はしたいと思っております。

 

省略

  今年もありがとうございました。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

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税理士制度−21
 

 公認会計士制度との関係の続編です。

 我が国の資本市場の公平性や透明性の確保を通じて経済の一翼を担う公認会計士制度は,大正時代に「会計監査士法案」として国会に提出されましたが,成立するには至らず,昭和2年になって「経理士法案」として成立し,その後,より高い信頼を得るために昭和23年に「公認会計士法案」とし成立して今日に至っています。

 監査の実効性の確保から幾多の改正を経て,平成15年に,米国の「企業改革法」をはじめとする国際的な動向やバブル崩壊後の経営破綻をきっかけに大きな改正が行われ,その中で増員の問題が提起されました(羽藤『新版公認会計士法』5頁2009)。増員における議論です。

 

○増原委員・・公認会計士の量的拡大を目指しているというふうに聞いておりますが、国際的な比較も含めて、その拡大を図る考え方、あるいは定量的なものを含めましてお話しいただければと思います。
 

○伊藤副大臣 ・・我が国の公認会計士の数は約1万4千人でございまして、アメリカの約34万人と比較をしますとかなり少ないものがございます。
現在の経済社会を見ますと非常に複雑化し、多様化し、国際化しておりますので、公認会計士業務の質的そして量的な需要の増大に対応していくことが大変重要な課題だというふうに思っております。また、監査の質を高めていくためには、外部からの監査だけではなくて、企業の内部監査の充実も大変重要なものだというふうに思います。
このためには、公認会計士試験の受験者層の多様化と受験者数の増加を図って、そして一定の資質を有する公認会計士を経済社会に多数輩出していくことが必要であるというふうに考えております。
 

○増原委員 ・確かに、グローバリゼーションがありまして、そのニーズは徐々にふえてきていますが、企業側から見て、あるいは投資家から見て、ニーズが一体どの程度のものなのか。今、大量に、公認会計士制度、試験も含めて緩やかにしまして、もちろん質は確保する必要がありますけれども、どんどん出していくとしましても、果たしてそれに正当な対価を支払うかどうか。・・ですから、公認会計士の量的拡大だけでもって果たしていいのかどうか。(平成15年05月16日 衆議院財務金融委員会議事録)

この続きはまた。

 

省略

 

編集後記 平成23年の最終号になりました。年号と同じで,来年はこの事務所通信も24年目を迎えます。これからもどうぞ宜しくお願いします。なお次号・新年号は,昨年から年賀状を廃止したいという個人的な思いから年賀状代わりに発行させて頂いております。ガンバレ日本!!被災地に安心できる生活を!!   編集発行 株式会社プランニングファイブ