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令和4年9月1日
 
土地建物一括譲渡
 

 世界では、干ばつに洪水被害が増大しています。スペインや中国の揚子江(長江)の水不足、パキスタン・インダス川の洪水など。この相反する自然現象が同時に発生しています。足して2で割ると言う具合にはいかないのでしょうか。

 

 これらは、化石燃料の大量使用による地球温暖化の影響だといわれていますが、燃料を使う人類は、戦後(1950年)には、25億人だったのが、現在は80億人。今世紀中には120億人になるとも言われていますので、温暖化の影響はこれからも続き、被害はますます深刻になっていきそうです。

 

 その中で現在、気候変動の影響を最も受けている10カ国(10 of the countries most affected by climate change)についての記事がありました(22/7/4)。

 

 この記事では、目にするのは気候変動の影響を受けている日本や独の災害のニュースが多くを占めているが、高所得国は一般的に、気候変動の避けられない影響に対処するためのより多くのリソースを持っている一方、低所得国は対処することができないためより多く気候危機の影響を受けることになるとしています。

 そして最も影響を受ける次の10カ国 (アルファベット順) をあげています。

 

*アフガニスタンAfghanistan・・干 ばつと洪水の両方によって特に大き な打撃を受けている

 

*バングラディシュBangladesh・・9 割の人が危険地帯にに住んでいる

 

*チャドChad・・国内最大の湖であ るチャド湖の 90% が消失し、砂塵 のようになっている

 

*ハイチHaiti・・ハリケーンベルト に位置し大きな影響を受けている

 

*ケニアKenya・・東アフリカ最大の 経済大国だが大規模干ばつの影響を 受けている

 

*マラウイMalawi・・サイクロンに よる洪水で作物破壊を含め洪水と干 ばつの脅威を受けている

 

*ニジェールNiger・・飢餓、水不足、 暴力により危機に直面している

 

*パキスタンPakistan・・森林伐採や 氷河が溶解等による洪水と国民の多 くが危険な低地に居住している

 

*ソマリアSomalia・・ 40 年間で最 悪の干ばつの影響に直面

 

*スーダンSudan・・紛争による脆弱 性、干ばつによる農業牧畜への影響 による生活困窮が続いている

 

 

9月の税務・総務予定

(税務)
*個人消費税の振替納税(中間が必要な方)
 (中間1回の方)    28日(水)
(総務他)
*防災訓練

我が国Covid19月間感染者(死亡者)数
令和4年4月 131万人(1,472人)
令和4年5月 102万人(1,049人)
令和4年6月 50万人( 571人)
令和4年7月 360万人(1,304人)
令和4年8月 584万人(7,295人)

 
 

 実務では、建物付きの土地を購入し、事業に使うことがあります。この場合、購入した不動産の土地部分と建物部分の購入価額をどのように按分するか悩ましいところです。購入価額に消費税額が記載されていれば、土地の譲渡には消費税は課税されませんので、消費税額の部分は建物だけということになります。

 

例えば土地・建物の不動産価額が4,000万円で内消費税100万円と契約書に記載されていれば、消費税率は10%ですので、建物は1,000万円に消費税100万円で、1,100万円が建物。残りの2,900万円が土地の価額となります。通常は、売主、買主は契約によってその価額をお互いに認識しているので、問題はありませんが、一般的な土地・建物の売買価額と明らかに相違する場合や売主、買主の関係などで違和感があれば再度検討することにます。しかし、土地建物一括譲渡の契約書で消費税額が記載されているのは多くありません。この場合には、合理的に按分しなければなりません。

 

 この場合、土地の通常価額を出して残りを建物にする方法、建物の建設費用から減価を差し引いて建物価額にして残りを土地にする方法や固定資産税評価額で按分する方法など、どれも一長一短があります。

 

  今回は、土地建物の一括譲渡に係る消費税を巡り、争いになった事例の話です(東京地裁令和4年6月7日判決・T&Amaster 943号29頁 ・税務通信3717号6頁)。

 

 概略は、不動産貸付業を営む個人が、不動産会社に土地・建物を概算10億円(消費税相当額を含む)で譲渡しました。

 

 売主である個人は、下表のように建物価額は2億円(内消費税額8%は1,500万円)だとして、消費税の申告をしました。

 

 それに対して国は、この土地・建物の平成28年度の固定資産税評価額をベースに計算した固定資産税評価額比率(土地:建物=56:44)で按分すべきとし計算をして、消費税が間違っているとして処分を行いました。

 

 これに対して裁判所は不動産鑑定士に依頼して土地・建物の鑑定を行い、鑑定評価額比率で按分(土地:建物=77:23)して算定すべきと判断し、国が行った消費税等の処分の大部分を取り消しました。

 

    土地 建物(税込)
納税者
 
  8億円
  80%
  2億円
  20%
課税庁
 
 5.5億円
  56%
 4.5億円
  44%
裁判所
 7.5億円
  77%
 2.5億円
  23%
 

 東京地裁は、課税庁の主張する“固定資産税評価額比率での按分”について、

 

消費税の課税標準の額を計算するために、一括して譲渡された土地及び建物の対価の額を按分する方法として、当該資産の客観的な交換価値を上回らない価額と推認される固定資産税評価額による価額比を用いることは、一般的には、その合理性を肯定し得ないものではないが、当該資産の個別事情を考慮した適正な鑑定が行われ、その結果、固定資産税評価額と異なる評価がされ、価額比においても実質的な差異が生じた場合には、もはや固定資産税評価額による価額比を用いて按分する合理性を肯定する根拠は失われ、適正な鑑定に基づく評価額による価額比を用いて按分するのがより合理的となるというべきである」としました。

 

 簡単に言いますと、土地・建物比率を固定資産税評価額比率によることも一般的には目くじらを立てるほどのことはないが、チャント評価した鑑定評価との差がこんなに出たら、もはや固定資産税比は使えないよ、といっているように感じます。結果的には、建物価額は固定資産税評価額と余り変わらないという結論です。色々な意味が伝わってきます。

 

 この事案の場合には、土地の地価の下落時期と重なり、土地の平成28年の固定資産税評価額は、平成21年より半分近く下落していましたので、土地:建物の比率は、建物が相対的に大きくなっていたことも影響したようです。

 

 なお、相続税評価額で見たときには、通常は、土地は固定資産税の1.1倍程度で、建物は1.0倍として算出されます。このため、固定資産税評価額比率を、そのまま土地、建物に適用するというのも理論的とは言えません。

 

 もちろん通常の場合、木造の建物では、建物の固定資産税評価額は、土地と比べて少額ですので余り問題とはならないかも知れませんし、使う方も簡単でタイセイに影響はないという範疇でしょうが、建物価額が高額になればこのように問題となります。

 

 建物と土地の固定資産税評価額の算出では、土地は、相続税評価額と同様に街路ごとに路線価をつけてそれを基準に計算しています。この場合には、地価公示価格等を活用し、それらの7割りされ、相続税では、これが8割とされていますので、固定資産税評価額は相続税評価の土地に比べて少額になるようにされています。話は変わりますが、相続税の評価でも固定資産税の路線価図(地価マップ)は結構、参考に使っています。

 

 なお、建物(家屋)固定資産税評価額は、固定資産評価基準(総務省告示)では、木造家屋と非木造家屋との区分に応じ、対象となった家屋と同一のものを、評価の時点において新築するとした場合に必要となる建築費(再建築価格)を、屋根、外壁仕上等の部分別に合計し、再建築費を算出し、そこから時の経過によって生ずる損耗の状況による減額等をします。

 

省略

 

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物価上昇と役員報酬
 

 食料品等の生活必需品の値上げ傾向が続いています。このためベースアップ(ベア)を今夏に実施する企業について報道されていました(日経電子8/29

 

 一方、役員はといいますと、物価高騰等の影響で業績が悪化し、期中に役員給与(報酬)の減額改定に踏み切る企業もみられるそうです。

 

 役員給与の増減は、期中の役員給与は、法人税法上、原則として期中に変更しない時にしか費用として認められない「定期同額給与」の規定がありますので、減額改定といえども簡単に変更するわけにはいきません。

 

 ただし、全く改定してはいけないというのでは、世の中の動きと乖離してしまいますので、「業績悪化改定事由」による減額改定の場合は認められています(法令69@一ハ)。

 

 業績悪化改定事由になるのは、「経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいうのであるから,法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれない」とされています(基通9-2-13)。

 

 それでは「減額せざるを得ない事情」とは何かと言いますと、次のように考えられています。

 

 @ 業績の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与を減額せざるを得ない場合

 

 A 取引銀行と借入金返済を待って貰うなどの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合

 

 B 業績の悪化したため、取引先等の信用を維持するために経営状況の改善計画のため役員給与を減額をする場合

 

 当てはまりそうであてはまらない例示です。

 

 その中で、2年前の新型コロナ拡大当初は、利益など数値的な指標が著しく悪化したと判断したときは、取引先などから圧力を掛けられた場合でなくても認められるとした弾力的な運用が認められていました。法律の規定で「弾力的な運用」というのも変な話ですが、今回は難しいようです。

 

 役員の給与を下げてでもベースアップに回せというような風潮にはならないのでしょうか。 -減額できると言うことが大事なこと!!

 

省略

 

 

COVID-DATA リンク

 


編集後記 日本の新型コロナ感染者数は8月に過去最高で、前年8月の10倍です。また死亡者数も過去最高です。他の国に比べワクチン接種も高水準ですので、他の要因だろうと思います。落ち着いたらきちんと検証すべきでしょう。                    編集発行 株式会社プランニングファイブ