P5 NEWS     

SHONAN TAX OFFICE NO.277   
 




 

 
平成24年11月1日
 
SANDY
 

 先月(10月)までの台風の発生数は,23個(号)。11月,12月も発生しますが,例年並みという所でしょうか。一昨年・2010年は,最近で最も少なく14号まででした。今年の日本上陸件数は 2件です。

 

  台風発生件数 上陸件数
2012年    23   2
2011年    21   3
2010年    14   2
2009年    22   1
2008年    22   0
2007年    24   3
 

台風の大きさを示す上陸時の気圧で,最も低い気圧は,

 第2室戸台風(1961年) 925 hPa

 伊勢湾台風 (1959年) 929 hPa

 2000年になってからは,945 hPaが最も低くなっています(04年,07年)。

 先月末にアメリカ東海岸を襲った大型ハリケーンSANDY は,940mbar(hPa)でした。これは,日本の台風を気圧だけでみれば,過去5位になります。

 台風などの熱帯低気圧は,地域ごとに呼び方が異なります。日本を含む北西太平洋・アジアでは台風またはタイフーン(typhoon)と呼ばれています。アメリカなどの北中米ではハリケーン

(hurricane),その他の地域ではサイクロン(cyclone)と呼ばれています。そしてこの熱帯性低気圧をトロピカル・サイクロン (Tropical Cyclone)と呼んでいます。すなわち台風やハリケーンなどは,発生場所や強さの物差しは異なりますが,同じトロピカル・サイクロンです。このため一つ一つに名前が命名され,それが“SANDY”。

 日本でもそうですが,雨と風で米国でも大きな被害をもたらしました。

 気象庁では,毎月この1ヶ月の天気の状況を公表しています。11月1日に発表された「10月の天気」では,

「2012年(平成24年)10月の天候の特徴は以下のとおりです。

北日本で高温

 北日本では、上旬を中心に暖かい空気に覆われて気温が高い日が多く、上旬の平均気温は、10月上旬としては平年差が+1.8℃と統計を開始した1961年以降で高い方からの一位(1994年とタイ記録)となり、月平均気温もかなり高かった。

東・西日本で日照時間が多かった

 東・西日本では高気圧に覆われて晴れた日が多く、月間日照時間は、東・西日本太平洋側でかなり多かった。」

 

暑かったはずです。

 

 

11月の税務・総務予定
(税務)
*所得税の予定納税額の減額申請          15日まで
*所得税の予定納税額の納付(第2期分)     30日まで
*個人事業税の納付(第2期分)           通常月末
*税を考える週間 11日〜17日
(総務他)
*年末調整関係資料の配付
*冬期賞与の算定

 
 
 

 11月に国税庁のホームページにある質疑応答事例の内容が一部更新されました。その中から概略をご紹介します。

 
Q.本年中に,旧生命保険料と新生命保険料の支払があり,それぞれの生命保険料に係る控除額を計算したところ,旧生命保険料控除だけによる控除額が一番大きくなりましたので,新生命保険料は控除の対象とせず旧生命保険料だけを対象にしたいと考えています。
 生命保険会社から送付された生命保険料控除証明書には,新生命保険料の額と旧生命保険料の額が併せて記載されていますが問題ありませんか。
 

A.その年中に新と旧の生命保険料を支払っているときは,新制度,旧制度の適用のいずれかの選択は,有利な方で構いません。

 したがって,生命保険料控除証明書に新生命保険料と旧生命保険料の額の両方が記載されている場合であっても,旧生命保険料の部分だけを控除の対象としても特に問題はありません。

 

 このQ&Aでは,殆ど分からないだろうと思います。24年の1月1日から生命保険料控除が変わりました。今年新たに生命保険に加入したり従来の契約に新しい特約を付けた場合には,新しい計算方法を使うことができますので,年末調整時には気をつけてください。すなわち今まで所得から控除される生命保険控除額は10万円でしたが,12万円までになります。新制度では,控除区分が一般個人年金介護医療の3つに区分されます。具体的な計算方法を書きますと,それでこの通信終わってしまいますので,詳細はお聞きください。

 

Q.A社は,取引先であるB社に対して1千万円の貸付金を有しており,B社所有の土地に抵当権を設定しています。この度B社が倒産したため,貸付金の回収可能性を検討したところ,B社には抵当権の対象となっている土地以外には資産がないうえ,抵当権順位は第5順位となっており,B社所有の土地が処分されたとしてもその資産価値は期待できず,配当の見込みが全くありません。このためB社所有の土地の処分によっても,貸付金の全額を回収できないことは明らかです。
 そこで,A社は,B社所有の土地の処分を待たずに,当期においてこの貸付金について貸倒れとして処理しようと考えていますが税務上もこの処理は認められますか。
 

A.当該貸付金については,貸倒れとして損金の額に算入されます。

 会社が貸金等のを税務上の貸倒は,非常に難しく長い時間を掛けてやっと貸倒れとなります。もちろん会計上は,損失計上をしなければならないでしょうが,税務上では,債務者の資産状況,支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合に,初めて,その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができます(法基通9-6-2)。

 この場合,この債権について担保物があるときは,もっと大変で,その担保物を処分した後でないと貸倒れの計上はできません。

 ただし,担保物の適正な評価額からみて,その劣後抵当権が名目的なものであり,実質的に全く担保されていないことが明らかである場合には,担保物はないものと取り扱われます。

 また,担保物の処分による回収可能額がないとは言えないケースであっても,回収可能性のある金額が少額に過ぎず,その担保物の処分に多額の費用が掛かることが見込まれ,既に債務者の債務超過の状態が相当期間継続している場合に,債務者に対して書面により債務免除を行ったときには,その債務免除を行った事業年度において貸倒れとして損金の額に算入されます(法基通9-6-1(4))。

 

 これらは,いずれも法律上に規定されている訳ではありません。なお,「書面により債務免除」とは具体的には,内容証明郵便で債務免除通知を出します。変な話ですが,夜逃?げをして相手がいなくても出します。なお最近ではインターネットで内容証明を出すことができます。

 
Q.A社は,得意先B(個人事業者)に対する売掛債権の回収を図るため,Bと分割返済の契約を締結し,その際,Bの実兄Cを保証人としました。
 その後,この売掛債権は返済されることなく,Bが自己破産して全額が回収不能となりました。そこで保証人Cからの回収可能性を検討したところ,Cは生活保護と同程度の収入しかなく保証人Cからの回収も見込めないことが判明しました。
 このため,A社は,Cに対して保証債務の履行を求めることなく,当期においてこの売掛債権について貸倒れとして損金経理しようと考えていますが,税務上,この処理は認められますか。
 

A.当該売掛債権については,貸倒れとして損金の額に算入されます。

 保証人があるときには保証人の資力も問題になり,保証人からも回収できないときに貸倒処理ができます。

 

 この設例の面白いところは,「保証人Cは生活保護と同程度の収入しかない上,その資産からも回収することができないと見込まれる」としています。人の懐,どうやって分かったのかな。

 

省略

P5コーナー
(株)P5では,経営計画策定,保険・不動産等の資産運用,相続対策業務,パソコンの購入及び指導,貴社のホームページの作成・ドメインの取得,計算書類の公告のお手伝いをしております。
 
ゴルフ会員権の譲渡
 

 バブルの頃に高額で購入したゴルフ会員権も,高齢に成りプレーしなくなったり破綻前に安くても売却しようとされるのか,売却時の相談が多くなっています。ゴルフ会員権を売ったことにより生じた損失は,事業所得や給与所得など他の所得と損益通算することができ,還付となることがあります。なぜ株の譲渡は損益通算できないのに遊び?のゴルフ会員権が損益通算が許されるのかどうも納得できませんが,このソン(損)出しのために売却を考えておられる方も少なくないようです。かなりの数のゴルフ場が破綻し,良くてプレーだけはできるが預託金は帰ってこない例もあります。このようなゴルフ会員権の売却は,注意が必要です。

 ゴルフ会員権などの譲渡所得の計算は

売った値段

買った値段
 

ですが,この買った値段の計算が難しくなります。

 
(設例)更生手続前のゴルフ会員権は,次のとおりゴルフ会員権取引業者から取得したものです。
このゴルフ会員権を10万円で譲渡しようと思っています。譲渡損失はいくらになりますか。
  ゴルフ会員権の購入価額   250万円
  購入時に支払った名義書換料 100万円
 なお,このゴルフ会員権の新規募集時の入会金及び預託金は,次のとおりとなっています。
  入会金  500万円  預託金 2,000万円
 その後,経営破綻により会社更生法の適用を受け預託金が全部切り捨てられましたが,プレーは従前通りできます。(国税庁HPから)
 

A.取得価額に含まれる優先的施設利用権(プレー権です)を計算します。

 プレー権=250万円×500万円÷(500万円+2,000万円)=50万円

 取得費=50万円+100万円(名義書換料)= 150万円

 譲渡損失=10万円−150万円=-140万円です。

 これは,東京高裁平成24年6月24日判決(平成24年(行コ)第43号)をうけて,従来の課税庁の取扱いが変更されたことによるものです。以前は,破綻する前のプレー権と新プレー権は別物で新プレー権の譲渡所得の金額の計算上控除される取得費はないとされていました。この判決を受けたことから,ゴルフ会員権の売買業者による節税のための売却の勧誘が相当数あるようで,取得費に預託金部分も入れる為に「預託金の一部切り捨て」を実施するなど色々なことを考えるものです。マー,今のうちでしょうが。

 

省略

 


編集後記 今年の風邪は,咳がなかなか抜けません。夜になると出てくるので結構きついものです。皆さんもお気をつけください。今年もあと2ヶ月。あれもやろう,これもやらなければと思っていたら,もう,忘年会のシーズンです。今年は,「ウコンの力」頼みは止めないと・・
              
編集発行 株式会社プランニングファイブ