P5 NEWS     

SHONAN TAX OFFICE NO.273   
 

 
平成24年7月1日
 
税金川柳
 

 今年の梅雨も後半に入ってきましたが,梅雨前線の停滞により九州地方などの西日本を中心として大雨による洪水による被害が発生しています。関東地方でも,6月19日(火)に近畿地方に上陸した台風4号による列島縦断とその後に続いた台風5号によって雨と風が吹き荒れ被害をだしました。特に首都圏の交通機関は,翌日まで混乱しました。通常,本土に上陸する台風は,年間2〜3回程度ですが,6月に上陸する年は台風の上陸回数が多くなるようです。

 いずれにしましても,梅雨は今月20日ぐらいまで例年続くようですので大雨による被害はまだ続きそうです。

 毎年,税務研究会・税研情報センターでは,会計川柳と税金川柳を公募して優秀作品を公表しています。

 今年(第4回)の税金川柳の最優秀作品は,「税増えて 議員減らぬ 日本国」だったそうです(ZEIKEN plus2012Summer)。その他に,「使い方 取り方ほどに 考えず」「税金で何度掘ったか この道路」は,思わず納得。よく借金してばらまきました。

 昨年の税金川柳「節税に 悩んでいますと ミエをはり」でした。

 会計川柳は,今年はこれからですので,昨年(第3回)の最優秀作品は,「利益出ぬ こともエコだと 胸を張る」でした。その他に優秀賞として「銀行で 借り放題は トイレだけ」は,ぴったり。

 大阪府の泉佐野市は財政破綻を回避するために,今年の3月,企業から広告料をもらう代わりに市の名称を企業名や商品名に変更する自治体名の命名権(ネーミングライツ)売却に乗り出すと報道されましたが,今度は,

「犬税」の導入を検討しているそうです(6/28読売)。犬のふんの放置が市内の環境を悪化させているとして、その清掃等に充てる費用を賄う財源として浮上したこの「犬税」は,飼い主にマナーやモラルの向上を求めるだけではもう限界があるあるとして創設する予定。なお「犬税」はかつて戦後の一時期に地方税として全国約2,700の自治体で導入されていましたので珍しいものではありません。

 

7月の税務・総務予定
(税務)
*納期特例適用者の源泉所得税の納付         10日(火)
*所得税予定納税額の減額申請                 17日(火)
*所得税予定納税額 第1期分の納付          31日(火)
*固定資産税及び都市計画税の第2期分の納付     通常月末
(総務他)
*社会保険月額算定基礎届 10日
*労働保険の更新手続きは、  6月1日(金)から7月10日(火)まで
 
 

 さて,消費税の増税の話です。6月26日(火)に衆議院本会議で,「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」(税制抜本改革法案,第180回閣法72号)が修正議決され,参議院に送付されました。

 衆議院では,「社会保障と税の一体改革に関する特別委員会」において5月26日から20回以上,200時間に亘る審議が行われました。現在(7月1日現在),衆議院のホームページには6月22日までの議事録が掲載されています。そこまで纏めただけで既にワープロ2千頁に及んでいます。

 この法案,3党合意によって法案が修正され,先月号でお知らせした消費税以外の所得税や相続税などは軒並み法案から削除・先送りとなりました。なにしろこれらは平成27年からの施行が予定されていますので,翌年になってもあまり影響はないだろうと。どうせ間もなく選挙があるので選挙民に対するパフォーマンスにもなると思ったのでしょう。消費税増税反対の勢力も,誰でも増税に賛成する人はいないレベルで,ただ反対。自分の身かわいさだけか,過去にも同じようなことがありましたが,先が読めない人の多いこと。

  消費税の増税で,これから問題となるのは,確実な転嫁の実行と低所得者対策として「軽減税率」で行うのか「給付付き税額控除」で行うのかが問題となります。

 民間会社の調査で,「軽減税率」を賛成する人は65%,「給付付き税額控除」の導入希望者は40%程度で「軽減税率」の導入を求める声が上回っています。しかし,軽減税率では,軽減税率導入先輩のヨーロッパにおいてもその区分の困難さから実際の現場は混乱しているのが実情ですし,高額所得者にも等しく恩恵を受けることになります。むしろ高額所得者の方が軽減税率の恩恵をより多く受けることになります。

 一般には,軽減税率の適用は,贅沢品かどうかの区分や食料品が外食品がどうかによって区分されています。

 例えば,フランスでは,前者によって区分されているようで,マーガリンは標準税率(19.6%)でバターは軽減税率(5.5%)です。バターは,製造する酪農業者を保護するため。チョコレートでも箱に入れて梱包されていれば標準税率で,板チョコや袋詰めの物は軽減税率。カカオの含有量によっても分かれています。イギリスでは,後者の例で外食サービスで加熱していればテイクアウトであっても標準税率(17.5%)スーパーなどで売っている惣菜などは軽減税率(0%)です。ドイツは,店内で食べるハンバーガーは標準税率(19%),テイクアウトすれば軽減税率(7%)です。公園で食べれば安くなります。カナダも,ドーナツ5個以下ならば標準税率(5%),6個以上になると軽減税率(0%)。このため,何人か集まって注文して節税しているそうです。一事が万事線を引くと言うことは大変なことです。

 転嫁について,国会の審議の様子を・・

 

○山内委員 ・・消費税の転嫁について質問したいと思います。これまでの委員会で私、民主党の方で御提案されています転嫁Gメンについて何度か質問させていただきました。民主党としては消費税の転嫁問題の解決策を提案されているわけですけれども、自民党と公明党の両党は、この消費税の転嫁問題を解決するためにどのような手が必要だとお考えでしょうか。
 

○野田(毅)委員 政府案でも転嫁への配慮の規定があったんですが、今回、特にこの問題、我が党も重要視いたしておりまして、あえて独禁法あるいは下請法という固有の法律名をも掲げながら、特例的な立法が必要であるということを明記したわけです。
 言うなら、ある意味では転嫁カルテル的なものを認めるようなことをやらなきゃいかぬでしょう、あるいは買いたたき防止的なことも必要でしょう、優越的地位の濫用もよくないですねというだけでなくて、ここでは明記しておりませんけれども、いわゆるBツーBというんでしょうか、事業者間取引の中で税額を表記するようなやり方ある意味ではインボイスの変形という見方もあるわけですけれども、そういう意味でそういった具体的な転嫁がしやすい仕組みをどういうふうにビルトインしていくのかということも大事なことだと思います。そういったことを総合的に対応措置していきたい。・・

 

○竹内委員 お答えいたします。
 価格転嫁の問題は非常に重要な問題であるというふうに考えております。その意味では、今回の修正案にありますように、事業者の実態を十分に把握して、独占禁止法及び下請法の特例に係る必要な法制上の措置は不可欠であるということがまず第一点だと思います。
 その上で、我が党として検討しているのは、やはり、野田先生からもお話ありましたが、いわゆるインボイス、この方式ですね。インボイスと言うと何か外国用語なのでなじみがないかもわかりませんが、請求書に税額をきちんと書いていただければそういう転嫁というのはかなりやりやすくなることも事実でありますし、そういう請求書方式というのもございます。その辺、よくよく国民に周知徹底すれば、意外に事務負担が軽減されるのではないかという検討も党内ではいたしておりまして、この辺、トータルに、そのメリット、デメリットをよくよく考えて判断をしていきたいというふうに思っております。
特別委員会第20号平成24年6月22日議事録

 

 

 平成元年の消費税導入時も転嫁については,対策らしきものを実施したのは最初だけ。結局中小事業者にしわ寄せがくるでしょう。消費税という税制度の決定的な宿命。

世の中は,理論では動かないと言うことです。

 

 省略

 

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更正の請求の改正
 

税金の申告書を提出した後で,計算誤りがあったりすると増額になったり減額になったりします。

 納税者自らが税金が増えましたと申告するのを修正申告と言います。一般には税務調査によることが多いと思いますが,今年の申告をしていて前年分の申告税額が少なかったと気付いたときにも修正申告をします。

 ところが多く払いすぎていたことに気が付いて税額を減額する場合には,「更正の請求」といって減額をしてもらうことを求めることになっています。そしてこの方法によるしかありません。このように増額は簡単ですが,減額は回りくどい手続きを踏みます。これは,自動的に税額の減額が行われるようにすると実質的には申告期限を延長したのと同じ効果を生ずるためにこのような方法を採っていると考えられています。

 従来この更正の請求は当初の申告期限から1年以内と短い期間しか認められていませんでしたが,これが課税庁が増額することができる期間と一致させ原則5年に延長されました。そしてこれは,平成23年度改正の施行日である平成23年12月2日以降申告期限が到来する国税から適用になります。

 平成23年分の所得税の更正の請求期間は平成29年3月15日までの5年になります(還付申告の場合には若干異なります。)

 

  図省略

 平成23年10月末決算法人の法定申告期限は平成23年12月31日ですので,更正の請求期間

は5年になります。

 

税目・項目
 
  改正後   改正前
減額 増額 減額 増額
通常の更正の
請求(所得税)
   5年
 


1年
 
3年
 
 法人税    5年 5年
 贈与税    6年 6年
 

なお,施行日前の過年度分についても増額更正の期間と合わせて,「更正の請求書」に準じた「更正の申出書」を作成することとされました。

 

 省略

 


編集後記 外国資本により国内の水源地域の購入がたびたび報道されていますが,森林にも買収が及んでいるそうで,昨年の買収実績は前年の4倍に増加し,特に北海道に集中しているそうです(東洋経済7/7)。なのに世の中はノー天気。      編集発行 株式会社プランニングファイブ