P5 NEWS     

SHONAN TAX OFFICE NO.269   
 




 

 
平成24年3月1日
 
あれから1年
 

 まもなく,昨年の3月11日の東日本大震災から1年が経ちます。昨年は,震災に台風15号の被害も重なり,確定申告で雑損控除のある方や被災されてこちらに転居され震災関連の申告される方もいらっしゃいます。

 3月11日の大震災以降の震度5弱以上を観測した地震回数気象庁・“震度5以上を観測した地震”からは,

   3月 22回

   4月 10回

   5月  2回

 と減少し,その後も数回となっています。

 そして今年(平成24年)に入って

   1月  1回(福島県沖)

   2月  1回(宮城県北部)

となっていますが,未だに大きな揺れがはじまると,長く感じてびっくりしてしまいます。

 また今年は異常低温で各地で農作物に被害が出ています。2月2日から3日の異常低温では露地ビアとイチゴの被害が報告されています。また,積雪による被害が無かったところでも,融雪時の湿害も懸念されています。1ヶ月平均で見ますと気温の平年差は軒並みマイナスで,特に東北以北が平年よりかなり低くなっています。また日照時間は,西日本ほど平年より低くなっています。

 地球温暖化と異常低温は,何となくピンときません。確かにここ数年の冬は降雪量が少なくなるなど温暖化傾向にあるのかも知れませんが,今年の冬の寒さも確かです。 そしてこの異常低温は,日本だけではないようで,ユーラシア大陸の猛烈な寒波は,ヨーロッパ大陸にも及んでいます。でも,平均的にみれば温暖化になっていると言うことなんでしょうか。

 また,今年のスギ花粉の飛散状況は例年よりも10日程遅めになるそうです。

 桜の開花予想は,関東地方は若干遅くなりますが,東北地方は平年並みとなるそうです。神奈川県の開花予想日は3月30日,満開予想日は4月6日です(日本気象協会HP)。

 

3月の税務・総務予定
 

(税務)
*所得税・贈与税の申告期限・納付期限        15日(木)
 

*個人の青色申告の承認申請期限  15日 (1月15日以降新たに業務を開始した場合には、その業務開始の日から2か月以内)
*個人消費税の申告期限・納付期限       4月2日(月)
 

(総務他)
*新年度の昇級・給与査定
*ホワイトデー・本命チョコ対策

 

 

 今年の所得税の確定申告の特徴は,寄附金控除に所得控除と税額控除があり,これにふるさと納税(住民税)が絡み複雑になっていることです。各省庁で統一無く法令化されると課税が混乱し,逆効果になりかねません。

 昨年の寄附金で特に多いのが,日本赤十字社と共同募金会への東日本大震災への義援金だろうと思います。

 日本赤十字社の「東日本大震災義援金」口座に寄附した場合(右図)や,中央共同募金会への「東日本大震災義援金」として寄附をした場合,その寄附金には,寄附金控除(所得控除)が適用され,税額控除は適用できませんが,ふるさと納税として税額控除されます。これは,平成20年の改正で個人住民税における寄附金控除は,すべて税額控除方式に改められたためで,ふるさと納税制度も税額控除(基本控除と特例控除)となります。この場合が多いのではないでしょうか。

 また,中央共同募金会への寄附金でも「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」や認定NPO法人の一定の被災者支援活動資金として寄附をした場合は,寄附金控除(所得控除)と特定震災指定寄附金特別控除(税額控除)のいずれかを選択適用できます。通常は税額控除の方が得になるはずです。

 しかしこの被災者支援活動資金として寄附したものは,最終的に被災地の地方自治体へ回りませんので,ふるさと納税の適用はありません。もっと複雑にしてしまったのは,このうちでも都道府県や市町村において条例指定を受けている場合には,基本控除のみの税額控除の適用があることです。

 広く寄附金を集めるつもりならば,地方自治体において,申告書に書くのでは無く自動的に領収書等から自動的に計算する方がベターです。寄附金控除はもっとシンプルにすべきで,寄附をすれば殆ど税金から戻ってくるような仕組みは,政党寄附金のようなレベルならばともかくとして,寄附をしようとする個人の意思を台無しにしかねません。

 もう一つ問題となったのは,今年の所得税から,公的年金等の収入金額が400万円以下で,なおかつそれ以外の所得金額が20万円以下の方は,確定申告が不要となったことです(所121)。すなわち数カ所から受け取った公的年金の収入が,300万円で,給与収入が85万円の人は申告不要となります。結果として源泉徴収税額(公的年金から差し引かれた所得税)より実際に納付すべき税額が多かったとしても,公的年金等の申告不要の要件に該当するのであれば,確定申告をしなければ不足税額を納める必要はありません。もちろん医療費控除等があり,還付になるときは申告します。このため数十億円の税金が納められないことになったと言われていますが,金額はともかくとして妥当な施策だろうと思います。

 ただしこの場合でも,少しでも公的年金以外に所得がある人,別途所得控除がある人は,住民税の申告は必要になることや有利になることがあり,結果として住民税の申告を別途行わなければなりません。これでは,年金受給者の申告の負担を軽減するための施策としては十分とはいえません。減収にはなりますが,本来の趣旨と労力を考えれば住民税もなんとか申告不要とすべきでした。

 マイナンバー法案

 2月14日,個人や法人に番号を割り当て,税や社会保障分野で活用するための「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案(「マイナンバー法案」)」を閣議決定し,関連法案3本と共に同日中に国会へ提出されました(第180回,閣法32号ほか)。

 この法律の第1条(目的)には,「この法律は、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が、個人番号及び法人番号の有する特定の個人及び法人その他の団体を識別する機能を活用して、効率的な情報の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことができるようにするとともに、これらの者に対し申請、届出その他の手続を行う国民が、手続の簡素化による負担の軽減及び本人確認の簡易な手段を得られるようにするために必要な事項を定める」とされています。

 これは,過去にかなり議論された「納税者番号等」と同旨のもので,その時もこの「等」が問題になりました。納税者番号についてはそれほど批判はありませんでしたが,「等」付くことにより,個人情報の使われ方や保護の信頼性に疑問を持たれたものでした。この解決が先決です。

 これは,平成26年6月をめどに個人番号と法人番号を交付し,平成27年1月から税,社会保障,防災分野から順次利用開始する予定になっています。興味深い個人番号については,市町村長が法定受託事務として住民票コードと対応する新たな個人番号を定めて書面で本人に通知。市町村長は住民からの申請により顔写真付きのICカードを交付するようです。「マイナンバー」の利用範囲は、年金・介護の給付や保険料の支払い、税務署や地方公共団体へ提出する書類等への記載などをするときに利用するほか、制度導入後に利用範囲の拡充を図るとされています。電子申告もこれが使えそうです。

 省略

 
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(http://www.shonantax.jp/)

 

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税理士制度−23
 

 前回は税理士制度に関連して他の士業との関係をお話ししました。

 今回はアメリカにおける(連邦)税務申告に携わる専門家についてお話しします。従来は確定申告書の作成自体は資格が無くても可能でしたが,税法に遵守する納税申告書の提出や倫理的な行動を求めることから新たに,米国連邦税庁(IRSは,2011年5月に登録税務申告書作成者

Registered tax return preparersRTRPの制度を新設しました

Circular 230 Regulations

 この制度についてお話しする前に,税務申告書作成実務家には,業務を無制限に認められる者と業務が制限される者がいます。なお,申告書作成といっても,申告書の作成だけでは無く, IRSとの応答・連絡・不服申立も含む広い範囲に及びますので,我が国と同じです。さて,前者の無制限に業務ができる資格Practitionerとしては,@弁護士、公認会計士で、代理権限を証する書類をIRSに提出します(§10.3(a)(b)),次にA登録代理人Enrolled agentsがあります(c)。これには,IRS試験の合格者やIRS職員の試験免除者がなります。B登録保険数理人 (Enrolled actuariesがありますあまり聞きなれませんが,日本でも民間資格としてはあるそうで保険・年金の専門家でFP(ファイナンシャルプランナー)みたいな資格でしょうか。そんな話はどうでも良いのですが,その他に業務の制限を受ける代理人としては,近親者の代理人など広範囲に認められています§10.7)

 さて,タックスプロフェッショイナルとして新設されたRTRPまず試験に合格して税務申告書作成者識別番号Preparer Tax Identification NumberPTIN)を得ます。そして今年から毎年15時間以上の研修を受けることが義務づけられています。現在は暫定的なPTINが付与されています。この試験の受験料は116ドル(9千円ぐらいです)で,試験時間は2.5時間,個人の所得税Form 1040seriesの理解が試されます。試験にはその他にも,税法遵守テスト

a tax compliance checkや適正テストa suitability checkが行われます。面白い試験制度です。

  この続きはまた。

  省略

 


編集後記

 所得税の確定申告も3月15日が申告期限・納付期限なのでそろそろ終盤戦にかかってきました。電子申告のによる方で還付の人は既に振り込まれたと聞いております。書面による申告をご希望の方は,今しばらくお待ちください。なお,期限内に申告をされませんと,ペナルティーが発生します。できるだけ早めに資料をご呈示ください。23年度税制改正は混迷し,どの部分が通ったか,通らなかったか悩ましい改正でした。さて来月から新年度がスタートします。どうぞ宜しくお願いいたします。   

        編集発行 株式会社プランニングファイブ