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平成12年5月1日
新成年後見制度
 
 急速な高齢化社会を迎え、様々な支援を必要とする人が増えています。
 このため、社会制度としての対応が求められ、福祉の分野では、介護保険制度が導入されました。法律分野では権利擁護システムとして新しい成年後見制度に関する法律(4法)が今年4月1日から施行されています。この新成年後見制度は、痴呆性の高齢者や障害者の方々が自立して生活できるように、財産管理や身上監護をとおして支援していこうとするものです。
 従来は、判断能力が十分でない人を守るために禁治産や準禁治産の制度が定められていましたが、これらの制度は、用語から受ける印象が悪く社会的偏見を受けやすいとか、戸籍に記載されるため関係者に抵抗感があるとか、また、どうも制度の運用が硬直的すぎるなどの指摘がありました。
 このために、禁治産・準禁治産制度を改正して新しい理念に基づく制度として成年後見制度が発足したとのことです。
 この制度は、例えば、一人暮らしの高齢者が、契約を結ばなければならなくなって困った時などに利用できます。能力が衰える前に信頼の出来る誰かに、自分の能力が衰えた後、どの様な医療をうけるか、どの様な生活をするかをあらかじめ頼のんでおくものです。
 この新しい成年後見制度は、法定後見制度と任意後見制度の二本立てになっています。法定後見制度は、法律による後見制度であり、補助の制度、保佐の制度、後見の制度の三つの制度から構成されています。
 このうち、補助の制度は新しく設けられた制度であり、保佐の制度及び後見の制度は以前の準禁治産の制度及び禁治産の制度を改めたものです。法定後見制度は法律の規定に基づいて、本人の判断能力が不十分な状態になってから、家庭裁判所が補助人等を選任し、その補助人等に権限を付与します。
 

5月の税務・総務予定
(税務)
*特別土地保有税の申告・納付   月末
*自動車税の納付
*個人住民税の特別徴収税額の通知
(総務)
*労働保険の確定・概算保険料の申告・納付 22日
*冷暖房機器の点検整備
*衣替え準備
 
 これに対し、前述の前もって選任する任意後見制度は、その創設の要望が多く、契約による後見制度として新たに設けられました。
 この任意後見制度では、本人の判断能力がある間に判断能力が不十分になる状態に備えて契約によって任意後見人を選任し、その任意後見人に権限を付与します。この任意後見制度を利用するかどうかは、本人の選択に任されます。
 この任意後見制度は、超高齢化社会化が著しい中で、利用のやり方によっては効用の高いものと考えられています。
 まず、任意後見制度を利用しようとする場合には、本人が任意後見人に対し、精神障害(痴呆、知的障害、精神障害等)により判断能力が不十分な状態における自己の生活、監護療養、財産の管理に関する事務の全部または一部について代理権を与える公正証書による委任契約を締結しておかなければなりません。
 任意後見制度は、任意後見人の事務処理の適正を担保するため、家庭裁判所の選任・監督する任意後見監督人の直接の監督及び任意後見監督人を通じた家庭裁判所の間接的な監督によることになっています。
 任意後見人については、法定の資格など要求されていないので、本人の知人、親族はもとより、弁護士、司法書士、税理士や社会福祉士など福祉の専門家などの選任が考えられます。もちろん、信託銀行などの営利法人を選任することも可能です。
 そして、新しい成年後見制度は、以前の戸籍への記載に変え、新たに成年後見登記制度を設けて本人と取引する場合の安全を図っています。
 この制度は、創設されたばかりの制度ですから、どの様な問題点があるか、制度として正常に機能するかはこれからの問題ですが、私は次のように考えています。
*私たちは、自分たちの未来を自分で 決定し、家族を含め通常の生活(ノーマライゼーション)を営む権利を有すべきです。厚生省の推計によりますと、現在の痴呆性高齢者の人数が150万人台、20年後にこれが300万人に迫ると見込まれています。そのためにも、介護保険の制度も含め、この制度が有効に機能することを期待しています。
*また、家庭裁判所が後見監督人等を適切に監督されるための人的・質的な整備が必要でしょう。
*被後見人が負担することになっている後見人等の報酬・費用が適正であることは、もちろん必要です。
*後見人は、配偶者や親族がなるのが一番良いのでしょうが、財産等の管理事務も専門的になることから、
 ある程度の専門家が必要になるでしょうが、営利を追求する法人の場合には、家庭裁判所の監督は受けるとしても、選択肢のある場合には、営利を追求することはやむを得ないと思われますので、営利法人を選任することは適当だとは思われません。何故ならば、この制度の創立趣旨は、高齢化対策のためで、ビジネスチャ ンスのためではないからだと思うからです。また、任意後見人として個人の専門家を選任したとしますと、どちらが先に後見人を必要としないとも限りませんので、専門家法人なり専門家集団にならざるを得ないのではないでしょうか。
 
【税金教室】
 ちょっと難しい話ですが、今月は移転価格税制のお話です。
 良くメデイアで有名企業の税務申告漏れという報道がされます。どの様な法的な根拠で、報道機関が情報を手に入れ、公表されるのか判りませんが、よく目にします。このような過少申告報道では、租税法の解釈で課税庁との相違はあるが、争いを避けて自主的に税金を増額して申告をし直すもの(修正申告といいます)や法人の責任とはいえないものがしばしば見受けられます。
 その中の一つから...
 最近の報道で、日本コカコーラ社の税務調査で、1999年12月期までの7年間で約450億円の法人所得を少なく申告していたとして、修正申告したという記事がありました。
 どうしてこう云うことになったかと云いますと、同社が米国の親会社のザ・コカ・コーラ社に支払っていたロイヤルティー(商標や経営のノウハウなど知的財産の使用料です)が問題になりました。日本のコカコーラ社が親会社に支払う使用料が高ければ、日本の法人税は減少します。一方親会社の国の法人税は大きくなります。これは国と国との課税権の問題です。
 このため、親子会社間取引については、通常の価格で取引が行われなかった場合に、通常の価格に引き直して取引が行われたとして課税するというのが移転価格制度です。この制度の予測の困難性から、その価格が正しいかどうかを国税当局に前もって承認を受ける「事前確認」の措置が執られていますが、国と国との関係ですので、コカコーラ社のように、何年も係って適正な?価格が決定され移転価格課税が行われる場合が出てくるのです。これからもこれによる課税は少なくないでしょう。
 途中省略
                      


          Corner 

 
 誌上PC教室 2回
 
 インターネットでホームページを見たとき、変な記号などが出る文字化けした表示になっていることがありませんか?どうしてそうなるのかは判りませんが、このような場合には、「表示」メニューから「エンコード」を選んで、又その中の「日本語(自動選択)」を押してみてください。これで大体は直ります。もしこれでもうまくいかない場合は、「日本語(シフトJIS)」や「日本語(EUC)」を試してみてください。この方法は、メールなどで文字化けした場合でも使える場合があります。方法は、一度テキストファイルにして(メモ帳などで作ります)、それをInternet Explorerにドラッグ(引きずる)します。
 省略
1、今月のパソコン教室は、
 途中省略

 編集後記
 新緑が目に心地よい季節となりました。大型連休もまずまずのお天気で何よりです。さて介護保険が4月から導入されましたが、社会保険加入の該当者は、5月支給の給料から保険料の支払いが始まります。ご注意下さい。               編集発行 株式会社プランニングファイブ
 

    

Last Updated: 3 /MAY/2000