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     税理士中江博行事務所  NO.122
 

 
平成11年11月1日
介護保険制度
 
 今月は、ほとんど毎日新聞に記事が載っている介護保険制度について少しお話をいたします。書いている本人がよく分かっていない点はお許しください。
 介護保険制度とは、介護を必要とする人を社会全体で支え、利用者の希望を尊重した総合的なサービスが安心して受けられる仕組みを創ろうとするものだとされています。
 私どものお知り合いの方にも、寝たきりになっている家族がいらっしゃる人が少なくありません。介護をされる方の人的な負担や金銭的な負担により、介護をする人が身体をこわされたり金銭的にも苦しい生活を強いられるケースもよく目にします。これを社会全体でフォローしようとする制度で、必要に迫られて発足したものです。
 しかしその反面相当な負担を国民が追わなければならないことも確かです。
 今決められている具体的な内容は、運営主体(保険者)は、市町村などで、国や都道府県等は、財政面及び事務面から市町村を支援するとされています。 このため、今まで通りのお役所仕事では、支出は増大することは目に見えていますので、どのようなチェック体制がとられるのかは重要な問題です。
 介護保険に加入する人は、40歳以上の人で、65歳以上の人(第1号被保険者)と40歳から64歳までの医療保険に加入している人(第2号被保険者)です。
 そしてこれらの被保険者の方が、(1)入浴、排せつ、食事等の日常生活動作について介護を必要とする状態(要介護状態)にある、あるいは、
(2)虚弱な状態であって要介護状態とならないために適切なサービスを受けることが必要な状態(要介護状態となるおそれのある状態)である場合に、
保険給付の対象となります。
 また、40歳から64歳までの方については、脳卒中、初老期痴呆など老化に伴って生じた要介護状態に対し保険給付が行われます。
 保険料は所得に応じて決まるそうなので、保険給付を受ける必要のある人からの保険料収入は当然期待できないわけですから、40代、50代の人の保険の負担は大きくなることは明らかです。これではこの制度は長続きできないでしょう。

11月の税務・総務予定
(税務)
*所得税予定納税額の減額承認申請     15日
*個人事業税の納付  通常月末

(総務)
*年賀状の準備
*賞与額と年末資金計画の策定
*年末調整の準備
 
 10月、11月は、もっとも税務調査の多い時期です。私どもの事務所でも調査途中や予約?中のものが少なくありません。私たちが主に取り扱う法人税、所得税や相続税は申告納税方式といって、税金を納める人が申告してひとまず納税額が確定します。もちろん申告しなければ納税額はないというものではなく、概念的には納税額は個々に存在しますが、申告あるいは税務署が決定などする手続きを経て具体的に納税額が確定するのです。そしてこの納税額は国民すべての財産となります。
 確かに、税務調査を受けることは、決していい気持ちはしませんが、調査がなければ、申告納税制度が機能しないのも確かです。
 韓国の場合ですが、公表されている標準所得率の一定率以上で申告した場合や税理士(税務士といわれています)の作成した税務調整計算書を添付した場合は調査が省略されるようです。
(「諸外国の税理士制度」新日本法規から)日本にも同じような制度はありますが、調査の省略は認められるべきではないと思っていますし、現実にはほとんど使われていません。
 法人の調査について
 平成10年度末(平11.6.30)現在の法人数は 280社でそのうち黒字申告は3割です。赤字法人の欠損金額は32兆円に上っています。赤字国債よりは少ないですが、会社の多くは、相当な借金経営だということです。
 またそのうち実地調査が行われたのは、18万社で、総法人のうちの6%程度しか調査が行われておりません。黒字法人だけに調査が行われているとしますと2割の法人となり、5年に一度の調査となります。(赤字法人にも調査が行われています。−事務所の経験から・・・)
 実地調査のあった法人のうち当初の申告が違っていたもは13万件で、申告漏れ所得金額は2兆円だそうです。
これが意味するところは、両面あります。一面は、氷山の一角でもっとあるのではないかという考え方で、素直な人はそう考えるでしょうし、大まかなところでは合っているかも知れません。そしてもう一面は、昔からよくあることですが、実際は、租税として法律で決められたルール以上に払っている会社もあるということです。経費の漏れ、記帳のいい加減さ、入札の必要性などです。その会社がルーズであったり、必要悪で救くう必要はないという意見もあるでしょうが、ルールに沿っていないことも確かです。
 少し話がそれますが、許されるべきではない税金の漏にリベートがあります。仕事を得るために現場監督に支払うリベート、食材を納入してもらうために旅館などの料理長に支払うものなどです。リベートを受け取る金額は半端ではありません。これらは、通常、払うものが弱者です。この問題は、制度悪だとして支払う法人に課税して済ませてよい問題ではありません。
 
 次に相続の調査から
 相続税の申告では、どの部分が相続財産となるか悩むところが少なくありません。亡くなれた方が、生前、贈与するつもりで相続人名義で預金などをしていた場合には、それは相続人の財産となっているのか、あるいは本来の被相続人の相続財産なのか、そう簡単に教科書どうりには割り切れないところもあります。裁判でもよく争われています。裁判に出てくるのはほんの一部ですが・・、裁判上では、管理していた人は誰か、利息は誰が使っていたか、印鑑は誰のかなどで決めているようです。しかし、これで、直ちに贈与がなかったといえるかは疑問があるところです。通帳の管理は、お父さんや奥さん(多分お父さんの預金もお母さんが管理している場合も多いでしょうが・・)がまとめて保管して、出し入れを頼んでいる場合もないとはいえません。印鑑についても同じようなことがいえます。印鑑は通常姓だけで、名が入っていません。日本は印鑑好きの国民ですが、あの朱のコントラストが好きなのかもしれません。
 また話がずれてしまいましたが、相続の調査で、あるお医者さんのケースです。税務署は、その医師の生前の収入状況などから申告財産が過少であると判断し調査に着手したそうです。その結果、多額の現物割引債がでてきました。無記名債券であることから簡単には発見されないと考えたのでしょうが、税務署は自宅だけでなく病院の周辺にある金融機関へ徹底した調査を行ったそうです。しかし一般的には、相続人が最初から知らなかったか、いくらもない場合が多いようです。
 また、簡単に調査ででてくる預金は、不動産の賃貸などをしている場合に振り込まれる銀行預金です。いくらも入っていないと思いますが(失礼)忘れないでください。
 調査件数、申告もれ件数ともに一番多いのが「上場会社以外の会社役員」だそうで、1件当たりの申告もれ課税価額のトップは「医師等(弁護士、不動産鑑定士、建築などの専門サービス業を含む)」となっています。意味するところは何かは、複雑な問題です。


          Corner 

 
 2000年問題 Y2K その3
 
 パソコンの2000年問題は、いろいろな方面に反響を呼び、今年の年末から来年にかけて旅行の自粛、銀行業務停止などが伝えられています。
 そんな折り、マイクロソフト社からだと偽ってウイルスの入った2000年対応のソフトが送りつけられて来ているようです。くれぐれも気をつけてください。
 2000年問題とは関係ありませんが、先月、事務所のパソコンの一台に致命的なトラブルを起こしてしまいました。ことの起こりは、ソフトのインストール中に止まってしまい,Windows98が起動しなくなってしまったことです。通常は、起動ディスクからWindowsを上書きすればいいのですが、それもできずにハードデスクのデーターを全部消してしまいました。データは、Cドライブ以外に入れておいた方がいいですよ。
 このため、メールアドレスと予定表が消失してしまいました。
 
 10月の23日から25日まで、事務所・P5主催で、九州旅行に行って来ました。参加していただいた皆様はじめ三昭ツーリスト様には本当にありがとうございました。
 

 編集後記
 九州旅行は、ご参加いただいた皆様の日頃の行いが良かったと見えて、最高のお天気で、存分に楽しむことができました。
 今年も残すところ後2ヶ月。いつまでも暑いので実感が湧きませんが、年調用紙を順次お送りいたしますので、ご準備お願いいたします。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ
 

    

Last Updated: 4/NOV/1999