P5   
税理士中江博行事務所  NO.113
 



 

 
平成11年2月1日
社宅家賃
 
 日銀に対する税務調査の続編です。
 新聞報道によりますと、日銀の社員に対して永年勤続表彰名目の旅行券などが、実質的には従業員の所得だと認定され、2,500万円の源泉徴収漏れが発生、課税されたとのことです。
 但し、前月号でも採り上げましたが、300坪を超える支店長社宅の家賃については、周辺の相場に比べて割安にもかかわらず、結局は課税の対象とはならなかったようです。
 本来は役員に対する豪華な社宅についての適正家賃は、その周辺の実際家賃を参考にして決められることになっているのですが、一方で一般の社員も含めたすべての社宅家賃の合計額が、すべての通常家賃の合計額の50%以上であればかまわないと言う通達があり、それに該当するとされたようです。
 それでは一般の社宅の適正家賃は一体どの程度なのか試算してみましょう。もちろん個々の事情によって異なりますが、敷地面積30坪、建物床面積100uで、通常賃料は100,000円程度の郊外型の一般的な住宅を例とします。
 この住宅が会社所有の社宅の場合、これを役員に貸与する場合には43,000円が適正家賃となります。またこの例の場合のように小規模住宅(床面積132u以下)に該当するとして計算すると、家賃は12,000円でよいことになります。さらにこれを一般の従業員に貸与するのであれば、その50%の6,000円の賃貸料で良いとされています。
 またこの住宅を他から借りて社宅としている場合において、これを役員に対して貸与するときは、実際賃料の50%相当額の50,000円が適正家賃となりますが、従業員であればやはり6,000円の家賃を徴収すればよいことになっています。
 この様に適正な社宅家賃は、通常賃貸する場合の家賃に比べて異常な安さです。


2月の税務・総務予定
(税務)
*贈与税の確定申告 2月1日〜
*所得税の確定申告 2月16日〜
*固定資産税の第4期分の納付 通常月末(3月1日)
*税理士記念日     23日
(総務)
*新入社員入社スケジュールの作成
 

 この様に社宅のある会社に勤める人とそうでない人とでは、住居費に雲泥の差が生じます。また社宅のない会社に勤める人が賃貸住宅を借りて、会社から住宅手当として支給を受けると課税されるのに、社宅を提供された場合には、僅かな社宅使用料でも課税されないので不公平感が生じ、結果として、税務行政、納税意識に悪影響を及ぼすことになっています。
『日銀では、「(国税当局から)問題があるとの指摘は受けていない」としている。ただ、「支店長社宅が豪華すぎる」といった批判があり、日銀は古くなった支店長社宅などについて、順次売却していく考えだ。』などが報道されると(日経99.1.29朝刊)、実務にたずさわっている者としては、日銀なら認められるのに、なぜ私のところはそれが認められないのかと言った不満の声が聞かれ、やりにくくなるのも確かです。
 一般に納税意欲は不公平感で減少されてしまいますからやっかいです。
 
 
 
税制改正予想(つづき)
 
*住宅取得資金の贈与の特例
 ご両親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合のうち、一定の要件を満たす場合には、贈与税額が軽減されるという制度があります。今度の改正予想では、その贈与額が1,000万円から1,500万円までに引きあげられる予定になっています。通常1,500万円の贈与を受けますと530万円の贈与税となりますが、この特例を受けますと150万円程になります。確かに1,500万円となりますと贈与額としても高額となりますが、財産家の相続対策には有効かもしれません。その特例では、他に取得住宅の床面積の上限要件の廃止や中古住宅の築年数の緩和が図られる見込みです。今年の1月1日以後から適用になります。
 
*土地や住宅用家屋の登記のときにかかる登録免許税の軽減措置が延長されます。ただし、土地登記の際の登録免許税は、現行
土地の固定資産税評価額×40%×税率で計算されておりましたが、この40%部分が、今年の4月1日以後は、3分の1になり、若干軽減されます。この程度で、不動産取り引きに影響が出るかどうか判りませんが、不動産取得税の適用延長や要件の軽減などが図られるようですから、注意しておいてください。特に新築家屋を宅地建物取引業者が取得したものとみなされる時期が、現行の「家屋新築の日から6ヶ月を経過した日」から「1年を経過した日」に緩和される予定になっています。でも通常はそれ以前に売却されるでしょうから、これも影響は少ないかもしれません。
 
*国税を滞納したり、相続税を年賦で支払う場合にかかる延滞税や利子税の負担軽減が図られる予定になっています。これは年率が公定歩合に4%を加算した割合になります。いま公定歩合が0.5%だとすると年4.5%とになり、今まで年7.3%でしたから、かなり減額されます。これは来年から適用になりますので、残念ながら、今すぐには影響は出ません。
 
*相続税に関する改正ですが、居住用や事業用の土地のうち一定の面積までの評価額が減額される制度があります。これは、被相続人が亡くなった後で相続人の生活が脅かされないように、一定の土地について評価額を下げ、そのような資産について、相続税額の負担が多くならないようにする趣旨です。今までは、そのような土地のうち200uまでが減額の対象になっていたのですが、事業用の部分について、この200が330に拡充される予定になっています。今までは、通常この適用は居住用から受けていた場合が多いと思われますが、今後は、事業用も可能性があるかもしれません。
 
 確定申告
 個人の所得税・贈与税等の確定申告の季節になりました。事務所では、この時期、確定申告事務に忙殺されます。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
 また、昨年に不動産の譲渡等があった場合などで、確定申告が必要な方で、申告事務を私どもの事務所にご依頼いただける方は、ご連絡ください。
 不動産の譲渡とは、お金が動かない交換や、税金はかかりませんと言われた収用なども申告が必要です。申告を忘れてしまいますと、通常、税額が大きくなるため、多くのペナルティーを払わなければなりませんので、注意してください。



          Corner 

 




 

 
サラリーマンの確定申告
 
 サラリーマンの方でも、所得税の確定申告が必要な場合があります。
 
 例えば、
*不動産所得や譲渡所得などがある人
*ご自身や家族に高額な医療費の支出があった人
*新たに借入金で住宅の取得をされた人
*年末調整で各種控除を受けるのを忘れた人
*災害による支出があった人
*満期保険金を取得した人
 


 編集後記
 「地域振興券」の配布が始まりましたが、その為に徹夜で並ぶ人も出たとか。深く考えずにはしゃぐ国民、こんなことで景気が良くなると考える政治家。似たもの同士ですね。
 確定申告の時期となりました。書類の準備はいかがでしょうか。日銀問題などで納税意欲が減退した方もいらっしゃるかも知れません。でも国民の皆が、決められた中で正しい申告をしなければ、国の財政は成り立ちません。税金の無駄遣いは、この時期忘れて申告をお願いします。
 風邪がはやっています。栄養を付けてインフルエンザと景気を乗り切ってください。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ
 

    

Last Updated:9/FEB/1999