P5通信

          NO.102
 




 

 

平成10年3月1日

 

確定申告

 

 毎年3月は個人の確定申告の時期で、申告のご依頼のため1年に1度この時期だけお会いする方も少なくありません。一年の間には、元気に活躍されていた方、転職・転業され新たな活動を開始された方、退職された方や病気で療養されていた方など様々です。しかし、1年に1回でも長い年月お付き合いを頂いておりますと、以前の様々なことが甦ってきます。人生の色々な転機を経てもかわらずにお会いできることに感謝しております。

 税理士会では、この時期には還付申告などの無料相談を行って、会員である税理士を相談会場に派遣しております。そこでの相談の大半は年金を受け取って申告を必要としておられる人や高額な医療費を支払ったために還付を受けようと確定申告をされる人です。

 厚生年金・国民年金の老齢年金などの通常の公的年金を受け取られる場合には、公的年金控除があり、1年間の年金の受取額からこの公的年金控除額を差し引いたものが所得になります。公的年金控除額は、年齢によって差が付けられており、65歳以上ですと最低でも140万円の控除があり、65歳未満ですとこれが70万円となり、それ以上は受取金額によって控除額が異なります。

 例えば、65歳以上の方で昨年1年間の年金受取額が300万円ですと150万円控除されてこの年金の所得は150万円となります。同じ金額を65歳未満の方ですと、控除額は約112万円となり188万円の所得となります。いずれにしましても年間の年金の受領額が70万円以下ですと、所得は発生しませんので源泉所得税が差し引かれていなければ、通常申告する必要はありません。


3月の税務予定
 贈与税・所得税の確定申告納付     16日
 個人消費税の申告納付         31日
 




 

 年金の受取で気になるのは、公的年金以外の年金です。よくあるのは、ご主人を亡くされた方が、夫が掛けた生命保険や退職年金に関する信託から受け取る年金があった場合です。この場合には公的年金控除額はないため、収入金額から差し引かれる金額は、一定の会費など非常に少ないものになり、殆どが所得となってしまいます。この所得が38万円を超えますと僅かな収入しかないのに扶養にもなれず、所得税が発生します。もちろん年金として受け取らずに一時金で受け取れば、その時の所得は増えますが、一時所得として通常より幾分有利となりますので将来的に考えて決める必要があります。

 また、新聞紙上でも掲載されていましたが、官庁職員・特別団体職員などが退職して受け取る退職金が何千万円にもなると報道されておりました。

 無料相談で担当したある一般の方は、20数年勤めて150万円の退職金しかありません。これが実状です。もちろん退職金が有れば良い方だと思われる方もいらっしゃるかも知れませんね。

 中小企業が倒産すると、遅配の給料さえも払ってもらえない事態になります。この様な場合には労働基準局で、調査して支払われるのですが、倒産会社の従業員の遅配給料がいくらかは会社の責任者も居場所が判らない場合が少なくないため、いくらになるのかを給与の計算者や税理士事務所などに確認をとってからになります。これでやっと支払ってもらえるので、とても公的資金の導入や税金により、どうにでもなるのと訳が違います。もちろんそのような会社では退職金など夢のまた夢です。

 また、確定申告というと医療費控除について質問を受ける場合が多くなります。無料相談会場で相談された医療費控除の対象になるかどうかの質問で次のようなものがありました。

相談者「九州にいる母親が重病で入院しています。この為東京にいる私は母親の看護のため航空機を利用して行っています。この費用は医療費控除の対象になるでしょうか?」

相談者「税務署で聞いたら良いと言われたんですが......」

 皆さんはどう思われますか?

完全看護と言っても、やはり肉親が看病をしなければ成らないことも確かにあると思いますし、お母さんの病気が原因した支出であることも確かですが、今のところそれらについては医療費控除の対象にならないと言うのが一般的に考えられています。問題は、税務署の職員が医療費控除の対象になると言った(あるいは言ったと思った)件ですが、二つの理由が考えられます。一つは、相談の段階で病気に成られた方の交通費だと誤解があった場合(この場合でも東京から九州に通院するに必要な支出が医療に関連したものかは問題になります)と、本当に看病のための交通費が医療費控除の対象になると理解していた場合です。この場合の答えとしては、課税の公平は損なわれるかも知れませんが、その税務署職員に申告の検算をして貰った方がいいでしょう。

 寝たきりの成人などのおむつ代は、医療機関による「おむつ使用証明書」が有れば医療費控除の対象となります。しかし赤ん坊のおむつ代は、今でのところ対象には成りません。何故でしょうか?これは、病気かどうかによって区別するのだろうと思います。成人が寝たきりになって使用するおむつは、自己の意思に反して、人としての尊厳を失なわざるを得ない状況になって初めて使うのです。老衰、意識障害による寝たきりも病気の進行だと考えます。この様な場合、現代医学では打つ手がないのも確かで、現実に医師にかかっていない場合も少なくありません。しかし税務行政(法律で規定しているわけではありません)はそれでも医師による「おむつ証明書」を要求します。病気であると考えるならば、おむつ証明書が有ろうと、無かろうと寝たきりで有ればおむつが必要になるのは当たり前です。以前「おむつ証明書」がとれなかったときに税務署と意見が対立したことがありましたが、結局認めて貰いました。

 

税制改正(つづき)

1.事業用資産の買換

  ちょっと難しくなるかも知れませんが、この改正は、不動産関連の事業者には土地の活性化につながるかも知れない重要な税制改正です。もちろん銀行から資金が出るかどうかが大きなポイントですが、銀行の担保物件の売却では、積極的に推進することも考えられます。

 この買換えの制度は、事業用の土地などを売って、一定の資産と買い換えた場合に、その売った土地等による課税が繰り延べられる制度です。

 大きな改正は、今まで課税繰延割合が60%までであったものが、80%まで可能になったことと所有期間が10年超で有れば、場所の限定をされずに事業用の建物や、機械などの事業用の減価償却資産ばかりでなく土地についても認められたことです。

 また、同族会社の代表者がその会社に賃貸している不動産の譲渡についても、事業用の判定さえクリアーすれば認められます。

 



       
   Corner 

 




 

 

バック・アップ

 今月はパソコン教室はお休みさせて頂きますので、紙上パソコン教室です。 教室では、一太郎やEXCELが多いのですが、今回は、データーのバックアップのお話です。

 パソコンの最大の問題は、大事なデーターが消えてしまうことです。確かにパソコンは色々なことが出来る反面、トラブルの発生も少なくありません。 そこで、大事なことはデーターはしっかりコピーを取っておく必要があります。バックアップの方法はフロッピー(FD)やMOなどにコピーをとっておくことが一般的ですが、これを自動的に行えればもっと確かになります。

 Windows95の場合、BACKUP.BATを作って、そこに xcopy c:\data f\data /d /e /c /h /i /r /y と書いておきます。何をコピーしたいかによって\data”を代えて下さい。またどこにバック・アップするかによって“f”の部分を代えます。そのコンピュータでも良いですし、LANで他のコンピュータに接続されていれば他のそのコンピュータにネットワークドライブを割り当てて、そこにコピーしても構いません。また“システムエージェント”などに登録しておけば、好きなときに自動的にバックアップしてくれます。


編集後記
 確定申告もピークを迎え大忙しの事務所です。通常の業務が遅れてしまいご迷惑をおかけいたしますが、宜しくお願いいたします。そろそろ花粉も飛び始め春もそこまで来ています。もう雪は見たくないですね。
             編集発行 株式会社プランニングファイブ
 


    

Last Updated: 6/MAR/1998