平成21年7月1日
年金から引かれる住民税
梅雨の真っ只中。国税庁は7月1日、相続税や贈与税における土地等の評価額算定の際の基準となる路線価及び評価倍率の平成21年分の路線価図等を公表しましたが、これによると同年分(今年1月1日時点)の標準宅地(約37万地点)の全国平均額(1u当たり)は、全国平均で前年分に比べ5.5%マイナスの13万7千円と4年振りの下落となりました。 平均路線価を圏域別にみますと、東京圏33万1千円(-6.5%)、大阪圏が16万9千円(-3.4%)、名古屋圏が、11万9千円(-6.3%)となっています。 この下落となった要因としては、ここ数年続いていたマンションやオフイス需要、不動産登記等の活発化などによる“ミニバブル”が、景気の急速な後退からオフィスビル等の収益低下や土地需要の減退などによると考えられています。 ちなみに、路線価日本一は、24年連続で東京都中央区銀座5丁目「銀座中央通り」となり、その価額は3,120万円。1平方メートル当たりで前年分に比べ2%(640万円)下落しましたが、、それでも一坪1億円です。
今年10月から個人住民税の公的年金からの特別徴収が始まります。納税者の支払に出掛ける手間と市区町村の事務の効率化のためだと言われています。 これまでは年4回、役所の窓口や金融機関に出向いての納付が求められていましたが、今後は年金から引き落としされることになります。 新制度の対象となるのは4月1日現在65歳以上で、個人住民税の納税義務がある人。全国の市区町村では、6月20日までにが税額決定・納税通知書を送付しているそうです。 引き落としの対象となる年金とは、老齢基礎年金、昭和60年以前の制度による老齢年金、退職年金などで、障害年金や遺族年金などの非課税年金からは引き落としされません。また引き落としされるのは年金所得分のみで、給与所得や不動産所得によって生ずる個人住民税は、これまでどおりです。 なお、今年度は年度途中から新制度がスタートするため、6月、8月の住民税の納付月はこれまでどおり出向いて納付しなければなりません。 いずれにしましても、年金の受け取り金額が,急に減額される人が出てきますので、びっくりしないようにしてください。
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「エコ」が主流 「低炭素革命」や「低力発揮・21世紀型インフラ整備」など銘打ってスタートした14兆円の補正予算が、そのうちの半分が独立行政法人の箱モノと全国に満遍なく割り振られる道路整備事業であることは置くとしましても、最近は何でもかんでも「エコ」。 「エコポイント」、「エコ減税」に「エコカー補助金」など、さまざま。このうちの「エコカー補助金」は、今年4月1日から始まっている「エコカー減税」と合わせ、エコカーの普及と経済へ刺激を与えることが狙いで制定されたもので、補助金の対象者は、@車齢の古い車を廃車し環境性能が高い新車を購入する人、A環境性能が良い新車を購入する人のいずれか。 @は、最初の登録から13年以上経過した車を廃車して引取業者により引き渡した上で、エコカー(2010年度燃費基準を満たす車)を購入する(スクラップ・インセンティブ)と適用されるもので、乗用車なら25万円、軽自動車で12万5千円の補助が受けられます。 この13年がポイントになります。これは、廃車する車の初度登録年月日から、購入する新車の初度登録年月日までに13年を迎えていれば補助が受けられます。廃車する車の13年車検の受検は求めておらず、車齢が13年に達する直前に廃車して新車を購入しても、廃車する車の初度登録年月日から購入する新車の新規登録日までの期間が13年以上なら対象になります。 Aは、廃車を伴わなくとも、排気ガス性能が4ツ星、かつ2010年度燃費基準+15%以上達成した車両を購入した場合に適用され、乗用車なら10万円、軽自動車で5万円の補助金が出ます。いずれの場合も購入時に値引きされるのではなく、新車購入店を通して申請することで購入後に所定の額が還付される仕組みになっています。また、この補助金は、21年4月10日以後の新規登録に遡って適用を受けることが可能ですが、22年3月31日までの時限措置で、「合計約280万台分」という予算がなくなり次第終了となります。@はそうなさそうですし、Aを考えますか? 雇用が不安定な折に、目先だけの需要による景気の喚起については、懐疑的な見方が多いようです。 のれん代 「のれん」と言っても、「セールスマンはのれんと同じ、外に出てれば営業中」の「のれん」ではありません。あまり一般的ではありません。企業が会社を買収したときに貸借対照表に出てくる「のれん」のことで、銀行などを除いた上場企業の「のれん」代の総額は、2006年で5兆円だったと言うことです。その年のデータでは、ソフトバンクが1兆円。英ボーダフォンの携帯事業の買収によるものだったとのこと。ローソンがam/pmを145億円買収し、そのとき発生したのれん代が90億円だったそうです。 「のれん」とは、企業の買収などの際に、買収された企業の純資産(時価)と買収価額との差額をのれん代といいます。この「のれん」で問題となるのに、償却はどうなるのか? 会社を時価より高く買ったとしますと資産となる「のれん」が発生しますが、そのあとで,これを償却(費用化)しなければなりませんし、逆に時価よりも安く買収したとなれば「負ののれん」が発生し、収益が発生します。 いずれにしても、処理のしかたによって、会社の利益を圧迫して会社の業績が一度に悪くなったり、利益が発生してしまったり大変なことになります。そこで、会計も税務も、一定のルールが定められています。 書き始めてからなんですが、一般の皆さんには、興味のなさそうな話題です。今月号も遅れに遅れてこの通信を書いていて、苦し紛れに目に付いた雑誌の記事から、書き始めてしまったというのが、実際の所です。 さて、こののれんの会計処理が,今年の4月から変更されました。 大きな変更は、 @持ち分プーリング法の廃止 A負ののれんの発生時一括利益計上 B合併等対価の測定日の変更 などです。 税務上の処理は、平成18年の改正のまま変わりません。 通常ののれん(正ののれん・資産調整勘定)も負ののれん(差額負債調整勘定)も、5年間で均等に費用(損金),収益(益金)に計上することになっています。 すなわち、会計では負ののれんは、即、収益にしますが、税務では、5年間に分けて課税しますので、申告書で調整することになります。 省略
税の歴史−江戸時代の土地保有
わが国の土地制度の四大改革は、@大化の改新(645)、A太閤検地(1582)、B地租改正(1873)に、C農地改革(1946)だといわれています(土方『江戸時代の江戸の税制と明治六年地租改正法公布』67頁)。 江戸の土地についてみ見ていきますと、大きく分けて@大名の上屋敷や旗本、組屋敷からなる武家地(6割)、A神社や寺地からなる寺社地(2割)、B町人と工人の居住地である町地(2割)に、残りがC江戸府内では最も少ない百姓地 からなっていました。C百姓地は、検地帳に記載されている高持(たかもち)百(びやく)姓(しよう)で、その土地を所有し年貢を納める義務がありました。 町地は沽(こ)券(けん)地(ち)とも言われ江戸の町人の土地売買は,原則自由となっていました。町地を所有できるのは、町人のみですが、実際にはそれほど多くはいなかったようです。 町人間の町地の売買は、通常家屋付きで、名主宅で証文(沽券状)と引き替えに金(きん)子(す)を払い、その上名主、五人組、町中に祝儀を振る舞ったと言うことです。家督相続や家主の交替のときも,証文を入れて名主、五人組の保証を取る契約が結ばれました。 今の登記に当たる名主保管の「沽券帳」があり、土地の明細が記されていました。江戸では火災が多かったため,町奉行所では沽券帳のほかに明細地図のような「沽券絵図」を各町に命じて作らせていました。 なお、「沽券にかかわる」の沽券は、この売り渡し証文ですが、その後「沽券」は「売値」の意味で用いられるようになり、人の値打ちなどの意味で使われるようになりました。 この町地の地主や家持ちは、地租の負担はありませんでしたが、住民税に当たる「公役銀」を屋敷の間口に応じて負担していました。 武家地と寺社地は,幕府拝領地で売買等の処分はできませんので、地租の負担はありませんでした。武家地のうち江戸で最大の紀州藩上屋敷の13万坪も地租はもちろん免除されていました。現在の迎賓館と赤坂御所のあたりです。
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