P5  NEWS       SHONAN TAX OFFICE NO.235   
 



 
 
平成21年4月1日
 
国民皆保険制度
 
 暖かい年度末だと思ったら、一転寒くなり3月末に雪が降るなど,はっきりしない気候が続きます。
 
 4月は、新年度のスタート。学生さんは入学・新学期、新入社員は社会への第一歩、そして桜の季節が人々を迎えてくれます。そんなウキウキした気持ちからか、今月は珍しく早めにこの通信を書き始めています。
 
 我が国では、すべての人がいずれかの医療保険に加入することになっています。これを“国(こく)民(みん)皆(かい)保(ほ)険(けん)制(せい)度(ど)”といいます。もちろん皆保険だから,医療費のすべてが保険でまかなわれる訳ではなく、自己負担や、差額ベットの負担も馬鹿になりません。正しくは、“国民皆保険支払制度”という方が良いのかも知れません。
 入院すれば、差額ベッド代が発生します。このため別途任意の保険に入っておく方が安心です。任意保険の場合には、一度加入したら、度々変更されるこの保険制度と違い、通常保険料に変更がありません。
 この制度を支える健康保険には、

 

@大企業などの組合健保
 

A大企業以外の多くのサラリーマンの政管健保(協会けんぽ)

 

B自営業者などが入る国民健康保険

 

C公務員や教職員などの共済組合等

 

D75歳以上の高齢者等を対象とする長寿医療制度(後期高齢者医療制度)

 

 などがあります。

 

 皆さんの保険はどれでしょうか?


 
加入者数
 (万人)
一人あたり年間
保険料額(万円)
 組合健保  3,000   19.5
 政管健保  3,600   17.2
国民健康保険  5,100    7.6
共済組合等   980   −
長寿医療制度  −   −
 

平成17年度統計資料(http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyk_5_1.html)から 一人あたり保険料額は、平成18決算状況の国庫負担等以外の保険料を17年度の加入者数で除したものです。国保の中に長寿医療が含まれています。

 









 

4月の税務・総務予定
(税務)
*申告所得税口座振替日  22日
*個人消費税口座振替日  27日
(総務他)
*4月の給与の支払時の介護保険料率の改訂

 
 

 平成20年4月からスタートした長寿医療制度については、十分な情報の入手ができませんでしたので、空欄になってしまいましたが、我が国の人口構成のうち65歳以上が、総人口の2割超(2,600万人)で、長寿(後期高齢者)医療制度の対象となる75歳以上は1割(1,100万人)ですので、相当な人が対象となっているはずです(総務省、平成18年9月推計http://www.stat.go.jp/data/topics/topi181.htm)。

 

 今回はこのうちの政管健保についての話です。あまり税と関係はないのですが、社会保険(健康保険+厚生年金)の支払がある事業者にとっては、また面倒な話です。
 およそ、3600万人が加入する政府管掌健康保険は、昨年(平成20年)10月より、国(社会保険庁)から新たに設立された民間の公法人である「全国健康保険協会」で運営されてます。この「全国健康保険協会」の運営する健康保険を「協会けんぽ」といいます。「けんぽ」も「かんぽ」も似たような名前で、社会保険庁の職員が大半横滑りした組織ですので同じようなものなのかも知れません。
 さて、まず手始めに、今年の3月分からこの協会けんぽの介護保険料率が、0.06%上がります。すなわち40歳から64歳までの健康保険料率は、9.33%から9.39%に。給与計算をされる方は、また変更です。これが事業者と折半されて半分を従業員が負担します。介護保険に該当しなければ,変わりませんので8.2%です。
 
 これからが本題。この「協会けんぽ」は、都道府県別に保険料率が定められることになりました。国民健康保険と同じ仕組みになるようです。これは、10月支払分から適用されます。高いところは、北海道で8.26%、最も低いところは、長野の8.15%です。事業者にとってはまた面倒な話。
 複数県にまたぐ従業員のいるところは、どのようになるのか?保険料の納付はどうするのか?いっそ勝手に引いてもらった方がどれだけ良いか・・
 都道府県別の保険料率を導入する目的は、地域ごとに医療費削減に努めるように促すのが狙いだそうです。カリホルニア州(404,000?)より小さな日本全土(378,000?)を細分化した制度が、必要なのかも疑問ですし、医療費削減にどれだけの効果があるのかも明らかにされていません。
 国民健康保険も市町村によって計算方法が異なり複雑なものになっています。
 我々が、会社に入り給料を貰いますと、健康保険(社会保険料)を控除されて支払われていました。段々収入が多くなるとそれに応じて健康保険の控除額が多くなります。もちろん若い頃は、それ程病院に行くこともありませんし、掛けた分はそのまま他の人に使かわれていました。負担していた組合健保も政管健保もその何割かは、高齢者の多い国保の負担に回されていました。歳をとってきて若い人から頂く保険料から補助して貰うのだからありがたく受け取れと、今まで集めた保険も年金もせっせと使った後になって言われても、それでは納得できないのではないでしょうか。
 
省略
 
 前から言われていることですが、本当に皆保険というのであれば、制度の一本化などシンプルにすべきですし、地震保険ではあるまいし、都道府県別なんていうのはどうでしょうか。
 
 本来の税金の話が、全然出て来ませんでしたが、今年の21年度の税制改正法案は、昨年と違い白けた国会で3月27日に通過しました。その中から。

 

*廃業に追い込まれたシャッター商店街の活性化策として土地の譲渡における特別控除が認められています(措法34条の2A十三)。果たして、実効性はどうでしょうか。
*何と

いっても大きな改正は、事業承継関係でしょう。

 昨年度決められた相続税の課税体系の改正は、先送りになりましたが、中小企業の事業承継がうまくいかずに廃業になるのを防止するため、後継者への引き継ぎを容易にするように税制上で対応しようとするものです。
 

 イメージは、

@会社の株を後継者に生前に贈与します。通常でしたら大変な贈与税がかかりますが、ズーとそのまま事業継続してその株式を保有しるならば、一定の部分について、贈与税をひとまず猶予します。しかし、原則毎年税務署に継続しているかどうかの届出が必要です(措法70条の7)。

Aやっと贈与者が亡くなりますと、@の贈与税は免除されて、今度は、その贈与した株式は贈与時の価額を相続財産とみなされます(70条の7の3)。

Bそしてその株式に係る相続税額を株式の保有要件など一定の条件で納税猶予を受けます(70条の7の2)。

そしてまた@が繰り返されて、うまく事業承継できるというものです。これはまさに,お世継ぎへの株式の移転を図る“世襲承継税制”です。

 
 
省略
 
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税の歴史−戦国時代
 
 戦国時代になると,大名は合戦に明け暮れ、当然税の取立も厳しくなります。そうなると納税者である百姓衆から税の減額を求める減免要求が出されてきます。これを“詫(わび)言(ごと)”といいます。

 

 百姓衆は、天災や合戦による困窮状態を理由に年貢の減免を要求します。これを“退(たい)転(てん)詫(わび)言(ごと)”といいます。一種の訴訟ですが、さもなければ、逃散や欠(かけ)落(おち)といった実力行使に出るほかなく、うまくいけば大名側が赦免として対応してくれました。
 
 税金の計算は、検知で掌握された田畑の面積に税率である基準貫高を乗じて算出します。そして減免要求などで免除額を控除します。この控除額のことを“引方”といいます。
 
 年貢の他に雑税として労務提供などの“公事”がありますが、賦役の軽減を求めてこちらも減免の要求が多いところ。有名なものに1550年(織田信長が家督を相続した頃です。) の相模北条氏の領国での百姓の一斉蜂起で、次のような大幅な税制改正がなされました。

 

@公事の代わりに貫高6%の金銭? 納付の創設
 

A代官などの恣意的な課税の禁止

 

B還住(呼び戻された)百姓の借財の免除

 

 などです(佐藤『租税』80頁)。

 

 現在とあまり変わりません。

 

 中世後期は、江戸時代と違い、一致団結する必要があるときには一揆を結ぶことがしばしばあったようです。こうした一揆を結ぶ際に,参加者全員の団結を強め,維持するために行われた儀式、“一(いち)味(み)神(じん)水(すい)”、を行って年貢の減免闘争を展開したと言われています。
 

 江戸時代になると,目的を持って集まった共同体である一揆は、あたかも、反乱、暴動を意味するとして厳しく罰せられました。

 
省略
 

編集後記

 季節はもう春です。今年も、もう3ヶ月が経過しました。事務所では所得税の確定申告も終わり、一息ついています。厳しい世の中にどう対処しようか。お客様に何を提言し、どのようなことができるか模索しています。ただ言えることは,昨年と同じことをしていては、何も変わらないということで、ご一緒にこの時期を乗り切るお手伝いをしたと思っています。


        
 編集発行 株式会社プランニングファイブ