P5  NEWS       SHONAN TAX OFFICE  NO.225
 



 
 
平成20年6月1日
 
道路交通法
 
 6月1日から,改正道路交通法が施行されました。交通事故による死亡者数は、10年前には約1万人でしたが、18年には6千人に減少しました。死亡事故件数をなんとか24年までに5千人を切ろうと,罰則の強化,被害軽減対策等を盛り込んだ改正道路交通法は、その影響の大きさもあり新聞紙上でも取り上げられています。
 

 まず、飲酒運転関連の制裁の強化がなされています。特に「ひき逃げ」の罰則が強化されました。また、高齢運転者対策として、75歳以上になりますと車の前後に「高齢運転者標識」の表示が義務付けられます。これはタクシーなどの営業車も対象になります。75歳以上のドライバーは、医療制度だけでなく、仕事も区別されることになりました。

 

また、後部座席シートベルトの着用が義務付けられました。罰則は、ドライバーにかかります。これは高速道路については,直ちに適用になります。 なお、シートベルト着用が免除されるケースも規定されています(道交法施行令26条の3の2)。

 

@ 負傷、障害のある人や妊婦さんででシートベルトを装着することが療養上又は健康上適当でない者(一号)

 

A 著しく座高が高いか又は低いこと、著しく肥満していることその他の身体の状態により適切に座席ベルトを装着することができない者(二号)

 

B 自動車を後退させるために自動車を運転するとき(三号)

 

 その他、前後に護衛のつく車両とか、消防自動車や選挙カーなど,まだまだ沢山あります。

 

 ただし、妊婦、傷害等により、シートベルトを着用していない場合には、警察官から呼び止められる場合もあり、母子手帖や障害者手帳などを呈示して説明するなど面倒なので、できるだけ着用していた方が無難です。

 

 なお、天皇陛下など皇室が乗られる車は前後に護衛の車が付くため、着用義務が免除されています。沿道の人々に向かって手を振るときにシートベルトもないでしょう。ただし,義務化されているかどうか分かりませんが、高速道路を移動中はベルトを締めることになるそうです。

 










 

6月の税務・総務予定
(税務)
*所得税予定納税の納税通知          15日まで
*個人住民税の納付(第1期分)         条例で定める日
(総務他)
*給与計算 住民税額の変更

 
 今、大きな問題の一つになっている中小企業になんとか元気になって貰らおうと、国では色々な施策をとっています。
 

 現在の事業環境は、開業に較べて廃業する件数が多いと言うことで、年間30万件が廃業しています。そのうち7万件は、後継者がいないことによる廃業だとされて30万人近い雇用が喪失しています。

 

 もう一つは、金融機関の中小企業に対する融資が非常に厳しい。そして、資金調達の道が,殆どが金融機関に限られてしまい市場からの資金調達は困難で、中々事業の拡大や新規事業の開拓ができません。

 

 このため、後継者への事業承継と金融の支援を目的とした「経営承継円滑化法」が、先月5月9日に成立して、今年10月1日の運びになりなりました。

 

 これに先立ち、中小企業庁は、あらゆる事業承継のニーズに対応したワンストップサービスを行う“事業承継支援センター”を全国に設置し、5月30日から一斉に支援事業がスタートしました。

 

 この事業承継支援センターは、経営力の向上や事業承継等、中小企業が直面する課題に対してきめ細かな支援を行う「地域力連携拠点事業」の拠点となる商工会議所・商工会等全国300ヵ所のうち、100ヵ所に併設されるもので、すでに予算措置が講じられています。これらの支援センターでは、税理士や中小企業診断士、企業OB、経営指導員等専門家を配して、企業への専門家の派遣や、後継者不在により廃業の危険性がある企業と開業希望者の交流会を行うなどのサポートを行うそうです。

 

 この事業承継支援センター事業の募集も行われています。NPO法人などの公益性のある民間団体にも認められますが、自治体との連携業務事業が過去に無ければ,難しそうです。事業を受託しますと年間2千万円程度の事業費の交付を受けることができます。

 

 ちなみに「経営承継円滑化法」は、正確には「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」という長ったらしいものです。この法律では、よく使われる“事業承継”と言わずに“経営承継”といっています。「事業」よりもっと広範な「経営」全般だという拘りがあったのかも知れません。

 

 この法律はチョット堅くなりますが、@遺留分に関する民法の特例とA金融支援からなっています。

 

 そして、この民法特例の中身は、

 生前贈与株式等の財産を遺留分算定基礎財産からの除外

 生前贈与株式の評価額の固定からなっています。

 

 これは、死後の財産処分を定める遺言の制限として民法で設けられている遺留分制度を、事業承継の円滑化のために敢えて制限する規定です。

 

 この遺留分制度は、諸外国でも配偶者に限定して定められていたり、米国やイギリスのように原則は,遺言が優先するなどその国によってかなり差があるようですが、日本では配偶者はもちろん子供にも遺留分の定めをおいています。

 

 現在の事業を営んでいる人が高齢化して、後継者である子供に継いで貰らいたいと考えていたとします。自分の後継者である子供にこの事業用資産を遺言や贈与で引き継がせたりしますと、大半の財産がこの事業関連の財産ですので、その他の相続人から遺留分を取り戻されることも考えられます。そうなりますと、結局事業を継続することができなくなってしまいます。

 

 そこで、生前にこの事業用資産を後継者に贈与してこの部分については、遺留分の財産の対象にしない定めとか、対象にする場合であっても後継者の努力で価値が上がっても現在の時点での財産価値で固定することを定めています。ただし、ただ定めれば良いというものではなく、推定相続人全員の合意、経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可を求めています。

 

 果たしてコレで有効に機能して、使える制度なのかまだまだ未知数です。

 その上、今年の後半に明らかにされる事業承継税制がまだハッキリしません。
 

 この経営承継円滑化法の附則では、

 
(相続税の課税についての措置)
第2条 政府は、平成20年度中に、中小企業における代表者の死亡等に起因する経営の承継に伴い、その事業活動の継続に支障が生じることを防止するため、相続税の課税について必要な措置を講ずるものとする。
 

と定められているだけです。

 

 参議院の経済産業委員会(H20.4.24)の審議で事業承継税制との関係についての政府の回答は・・

 

 今年の一月に閣議決定されました・平成20年度の税制改正の要綱で・・は、21年度の税制改正で、取引相場のない株式に係る相続税の納税猶予制度というものを創設しようと・・この納税猶予制度を使うためには、今御審議いただいているこの事業承継税制(ママ) が成立をして、そしてこの法律案によって経済産業大臣の認定を受けた中小企業が、中小企業の株式を後継者が相続等により取得された場合に、その納税猶予制度を使えることができると、こういう二重になっているわけです。
 

 とされていましたが、どうもハッキリしない答弁でした。もう少し明確になるまで待ってください。

 
 省 略
SHONAN TAX OFFICE
(http://www.shonantax.com/)
P5コーナー
(株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の資産運用、相続対策業務、パソコンの購入及び指導、貴社のホームページの作成・ドメインの取得、計算書類の公告のお手伝いをしております。
Q&Aコーナー
 源泉所得税を中心としています。主に国税庁の質疑応答事例集から簡略して書いております(http://www.nta.go.jp/)
 
【単身赴任者等に支給する着後滞在費
Q.会社の都合によって従業員を転勤させることにしましたが、転勤先での社宅が確保できないため単身赴任させ、旅費規程により当分の間月額5万円を支給することとしていますが、いわゆるこの着後滞在費についての課税関係はどのようになりますか。
 
A.給与等として課税されますので、滞在費を含めて源泉徴収することになります。
 従業員を転勤させた場合、その転居のための旅行に通常必要な支出に充てるため支給する運賃、移転料等は、原則として課税の対象とはなりませんが、着後滞在費は一種の別居手当・住宅手当と考えられますので、給与等として課税することとなります。
 
【家具等を貸与した場合の経済的利益】
Q.わが社は、外国人社員(居住者)に社宅を貸与する際、自社所有の家具又は他からリースを受けた家具等を無償で貸与していますが、この場合の経済的利益はどのように評価すればよいですか。
 なお、貸与する家具等は、テレビ、ステレオなどで時価総額、300万円程度のものです。また、これらのリースを受けた場合の1か月当たりのリース料の合計額は10万円程度です。
 
A.家具等を貸与した場合の経済的利益の額は、自社所有の家具等については、定額法によって計算したその減価償却費相当額にその家具等の維持管理のために通常要する費用相当額を加算するなどの方法によって合理的に見積もった額とし、リースを受けた家具等については、リース料相当額が、別途、源泉徴収の対象となります。
 
【給与の支給期日に死亡した者の課税】
Q.給与の支給期日に死亡した者に対し支給する給与は、所得税の対象?それとも相続財産?となりますか。
 
A.結論から言いますと、死亡日の支給給与については,所得税の対象となり、源泉徴収等をします。ですから所得税の対象になり、かつ相続税の対象にもなります。ただし、死亡後に支給期日の到来する給与は相続財産になります。すなわちこの場合には所得税は課税されません。

 

 省 略

 


編集後記

  6月の初旬に関東地方でも梅雨に入ります。暑かったり、寒かったり、またいつもじめじめした気候になりますが、実りの秋を迎えるための大事な季節。食事には気をつけよう。

   編集発行 株式会社プランニングファイブ