P5 NEWS      SHONAN TAX OFFICE NO.211
 



 
平成19年4月1日
 
地価は上がるの?
 
 暖冬の影響か、今年は桜の開花が早いと報じられています。
 世の中は、新年度がスタート。所得税などの例年の確定申告が終わり、ほっとしてもいられません。4月からの予定もかなり埋まっています。歳のせいか、いつも急かされているみたいで、暦の日捲りの早いこと。
 国交省では、先月23日に平成19年1月1日時点の公示地価を公表しました。
 新聞報道では、“バブル崩壊以降16年ぶりに全国平均で地価が上昇”と。土地をお持ちの方やこれからご自宅の購入を計画している方は、「もっと上がるの?」と。

でもどうでしょう!!

 
 今回の公示地価で判ることは・・
 @全国全用途平均
  0.4%上昇(ただし前年は2.8%下落でした。)
 A用途別の全国平均
  住宅地が0.1%、商業地が2.3%の上昇。
 B三大都市圏(東京・大阪・名古屋)の地価上昇が大きい
 住宅地で2.8%、商業地で6.5%上昇
 地価の上昇の要因としては、次のようにいわれています。
 @マンション・オフィス需要の増大や不動産投資の拡大を背景に三大都市圏の中心都市を中心に上昇
 A地方圏は、住宅地が2.7%の下落、商業地が2.8%の下落となり全用途平均で15年連続の下落
 Bその他・・一部上昇
 新幹線開業期待により函館市
 観光振興により太宰府市など
 C中心都市と地方で2極化傾向が進んでいる。
 ここまで読まれて、嫌になったかも知れませんが、結果として言えることは、不動産ファンドは、今がピークで今後鈍化しそうだと言われています。地方もまだまだ二極化が鮮明ですので値上がりは期待できないと。不動産投資は株と同様で、今後もかなりのリスクがあると考えておいて下さい。
 

4月の税務・総務予定

(税務)
*申告所得税口座振替日  20日
*個人消費税口座振替日  26日
(総務他)
*給与のベースアップ
 

 

平成19年度の税制改正に関する法案が国会を通過し、殆どは4月1日から適用されます。これら法律の外に政府などがその法律に定められた細部を定める政省令も明らかになりました。

 この政省令で、はじめて判ることも少なくありません。減価償却費の計算方法は、法人税法施行令48条に先月3月までに取得した資産の方法として旧定額法、旧定率法として定められました。4月からの分は、新しい条文として施行令48条の2(この条文は、今まで特別な償却方法を定めたもので、これは48条の4に変わっています)に規定されました。
 専門家以外の方には余り面白くないと思いますが、これを読んで全体が判ります。新法で「償却保証額」なんという言葉ができたのだとか・・
 
 平成19年度の改正でも、他の法律などが整備されてから適用されるものもあります。
 チョット難しいのですが、新信託税制の話をしておきます。
 
 信託(トラスト)は、中世のヨーロッパの十字軍遠征の時代に遡ります。遠征の間長期に留守にする家族のために、財産を他者に託して管理してもらい残した家族が安心して生活できるようにとこの方式が考え出されました。
 日本では、信託法として大正11年に制定されましたが、それ以後80年以上にわたって実質的な改正がされないまま定められていました。でも世の中は大きく変わり、信託を利用した金融商品が幅広く定着してきました。また、信託法が制定された当時には想定されていなかった形態での信託の活用も図られるようになり、信託財産残高は、平成18年3月で650兆円を超え、重要なインフラの一つとなっています。 
 そこで、信託法を抜本的に見直そうということになり、平成16年9月に法制審議会に信託法の見直しに関する諮問がなされ、平成18年3月に信託法案および信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案として、内閣から国会に提出されました。
 信託とは、乱用の歴史だともいわれていますので、中々一筋縄では決まらなかったようで、次の国会に引き継がれて、やっと平成18年12月8日に可決成立し、同月15日に公布されました。でも、その施行日は、原則として、公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日とされていますが、一部を除いて今年の夏以降の施行だといわれています。
 改正信託法のポイントは、社会・経済情勢や財産管理方法の変化に適確に対応するという観点から、「規律の明確化」と「実務に即した合理化」のための現代化を図り、新たに自己信託を認めたと言うことです。
 なんだかサッパリ判りませんし、面白くないですが、興味深いのは「自己信託」が、新たにできとということでしょうか。
 信託の方法には、従来からある@契約による方法(信託法3条1号)、A遺言による方法(同法2号)と今度新たにできたB自己信託(信託宣言)による方法(同法3号)があります。こんなのができて良いのかなとも思いますが、他の国でやっているところもあるし、ひとまずやってみて余り乱用が目に余れば今後対応していこうということなのかも知れません。
 この「自己信託」だけ説明します。
 自己信託は、債権者が変更されることなく債権の流動化を図ることが可能となります。そうです、委託者と受託者が同じ。財産は移りません。
 利用の方法としては、例えば、
 @身体の不自由な子供の養育費を確保するために、親が財産の一部を自己信託しておけば、万一、親が自己破産しても子供の養育が続けられる。
 A企業がある一つの事業を他の事業から切り離して自己信託すれば、その事業から得られる一定期間の収益を受け取る権利を、信託受益権の形で投資家に売り渡すことで、まとまった資金を調達できる
 Bサービサー(servicer債権回収会社)が債権を自己信託することによりサービサーの固有財産と債権回収金のコミングル(混在)リスクを回避することが可能となると説明されています。
 
 このように便利な半面、詐害的に用いられる可能性もあり得ることから、公正証書等によることが要求されます(第4条第3項)し、簡易な手続きで債権者は直接信託財産に強制執行できるものとされています(第23条第2項)。なお、この自己信託の規定は、信託法の施行から1年後に施行されることになっています(附則第2条)。
 
 それでは、一番大事な税制(こっちが専門です)はと言いますと、税制はハッキリしています。今まで通り、財産を預けた方に課税をする受益者課税(パススルー課税)の原則は変えません。しかし一方、これは極端な節税に使えそうです。そこで不当に税を回避するような場合など一定の場合には、預けられて管理運用をする受託者段階での課税も予定されました(法人税法4条の6ほか)。

 

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相続・贈与税の誤った認識
 
先月まで所得税の関係の誤った認識を特集しました、今月からそれ以外を紹介します。主に国税局の税務相談室の後継者引継用の資料を参考にしました。
 

1(誤り)民法に定められた法定相続分以外の方法で遺産分割をすると贈与税が課税されると思っている。

 

(正しくは)民法上の法定相続分(民900)は、遺産分割までの潜在的な被相続人からの権利の取得割合を定めたもので、遺産分割協議で、法定相続分と異なる割合となっても贈与税は課税されません。

 

2(誤り)相続税の申告期限までに、相続人間で分割が整わなかったので、当初は未分割として法定相続分で申告した。その後当初申告と異なった割合で取得が確定しましたの、増えた者は修正申告、減った者は更正の請求を行う。

 

(正しくは)原則は、特別の手続は必要なく、各相続人間で清算します。但しある者が減額更正をしますと、その他の人に増額更正されます。もちろん、分割が確定したことにより、小規模宅地とか配偶者の税額軽減の特例などの適用ができることになった場合には、更正の請求等をします。

 

3(誤り)相続人間で相続人でない被相続人の孫に財産を取得させた。相続人ではないため遺贈により財産を取得したとみなされ、相続税が課税される。

 

(正しくは)相続人や遺言などによる受遺者以外の者が財産を取得した場合には、相続人からの贈与とみなされます。

 

4(誤り)相続人以外の者に死亡したらこの財産をあげるよという死因贈与契約を結んでいた。死因贈与も贈与だから贈与税の対象となる。

 

(正しくは)相続税法上は、死因贈与は、遺贈(遺言と同じです)に含まれ相続税の課税対象となり、贈与税は課税されません。

 

5(誤り)相続人以外の人で遺言(遺贈)で財産を取得した者も葬式費用などを負担した場合には、債務控除ができる。

 

(正しくは)相続人でない者は、被相続人の債務を承継することはないので、遺贈により財産を取得した者であっても、債務控除はできません。

 
一部省略あり
 

 編集後記

  個人の確定申告が終わって、ホットしています。申告後に石垣島で日本一早い海開きを見てきました。八重山諸島の海開き、去年は小浜島で、今年は18日に石垣島で開かれました。今年もカラッとしない海開き。でももう南の島では夏です。

  編集発行 株式会社プランニングファイブ