P5 NEWS      SHONAN TAX OFFICE  NO.176
 



 
平成16年5月1日
日本の税の歴史
 
 今月も発行日から大分遅れて書き始めています。毎回何を書こうか迷いつつスタートが遅れ気味。以前は早かったのにと思ったり、2ヶ月同時の合併号なんて気持ちがスゴク動かされます。
 内容より継続をとることにして、今回も大学の講義ネタから書き始めることにしますが、まだ全体をどうするかは考えていませんので、どうなることやら。
 20歳前後の大学生に教える税法とは、どのような内容が良いのか悩むところです。大学の講義なので「租税法律主義」はキーの一つにはなりますが、それだけでは、学生は興味を示さないし、それだけ理解も弱くなる。
 そこで、今年から講義が始まる前に、税金についてどんなことを思っているか、感じているか、何でも良いから書いて貰うことにしました。2大学、社会人も含めて100名弱から、その結果を紹介します。
消費税関連(一番多い)
・消費税、今頃何で総額表示
 裏があるのでは・・・
・消費税と所得税の課税最低限の引き下げ議論は安易に過ぎる
 (本当に若い大学生の意見です・・)
・景気対策のために減税しても消費税を増税すれば意味がない
・消費税が総額表示で割高に感じ、意味がない
・身近な税。消費者のために還元を
・金持ちから、貧乏人まで
 良い税金ではない。
税はもっと身近に、税の使い方の説明責任を果たせ
税金は、意味のない道路や公共事業に使わずに我々の為になる使い方を年度末に道路工事が多い
無駄遣いされている税金なんて払いたくない
税金はもっと簡素に
税金払って良いこと有るの
相続税は払いたくない
 死ぬときは何も残さない。
海外援助も良いが、国内にも援助を
使い方に世論の意見を反映していな い
脱税した人は重罪に
農家は、相続税で土地がなくなる
 食の自給率はどうなるのか
逮捕された議員まで給与を払うのは 納得いかない
確定申告をすると税金が返る?
クロヨンってあるの
税は自分のために払っている!
税の使途の開示がされていない
 有効利用されているか?
年金は払うの、もらえるの
外国に住んで、日本で納税しないの は売国奴だ
子供の預金利息からも税が引かれて いるのは納得できない
ガソリン税、たばこ税は高い
 後色々ありましたが、納得する意見ばかりです。
 グループディスカッションをしてもらいグループ意見を代表に発表して貰いましたが、その中から・・
「君たちは税について開示不足だと言っていますが、どこで入手していますか?」
学生「テレビで・・・」
同じく学生「テレビタックル」
 税の使われ方については、こちらも知らないこともあり手つかずですが、勉強をしなければとつくずく感じました。
 

5月の税務・総務予定
(税務)
*自動車税の納付  通常月末
*固定資産税第1期分納付
          通常月末
*個人住民税特別徴収税額通知

(総務他)
*労働保険料の申告・納付

 
 

日本の税の歴史

 

N  たいそうなテーマで果たして書けることやら。文献を探していますが、なかなか見つかりません。殆どの文献は明治以降、あっても江戸時代ぐらいからしかみつかりません。
 高校の教科書に載っていたと思いますが、ある程度全国一律に定められた税としては、(そ)・庸(よう)・調(ちょう)・雑徭(ぞうよう)があります。
 話としてはあまり面白くないかも知れませんが・・・
 西暦645年に、朝廷で大きな権力を握っていた蘇我氏を廃除した大化の改新がありました。それまで皇族や豪族が私有していた土地と人民を、国家が直接統治し、公地公民の実現を図りました。701年には大宝律令が作られ、710年には奈良に平城京が作られました。 そういえば、中学の歴史の勉強でかすかに記憶があります。
 これにより税の中央への集中の道が開かれ、わが国も本格的な律令国家の道を歩き始めました。律とは今で言う刑法、令とは行政法などに当たります。
 全国の耕地はきちんと区分され、6年ごとに戸籍が改められ、6歳以上の男女に口分田(くぶんでん)が与えられました。口分田は一生の間の耕作は認められましたが、売買はできません。死んだら返します。これを班田収授法(はんでんしゅうじゅのほう)といいます(『新しい歴史教科書』扶桑社)
 口分田を与えられた公民は、租庸調などの厳しい税の義務を果たさなければなりません。
 租は田地の収益に掛けられ、穂のついた稲500把に対して15把(3%)の租を納めました。しかし実際には、田の面積を基準にしていました。稲作農業を重視していたのでしょうが、後には畑についても課税が行われました。
 庸・調は人別課税で、庸は“ちからしろ・力代)とよみ、京に上って力役に服すのですが、実際は物品を納めました。調は、郷土の産物を納めますので、庸調は京に送られ中央政府の財用に当てられました。これが大変で、運送は庸調を出す戸の責任。庸調は人頭税ですので、年齢等の区別は若干有りましたが、全般に平均し、貧富の差なく負担しなければならなりませんでした。下層民には重課となるばかりでなく、京から遠方の公民は輸送に膨大な負担が生じました。
 このほかにも諸国の堤防築造などの労力を課す雑徭があり、地方の国司は私用にこの労役を使うことも少なくなく、過酷な税でした(『法制史』体系日本史叢書4,『社会史T』体系日本史叢書8)。
 ちなみに、奈良時代の日本の人口は600万人、平城京は10万人で官僚は1万人ほどだったそうです。
 国家組織を目指した律令国家は、中間的な氏族首長・豪族を否定したにもかかわらず、結果としては官僚貴族の旧勢力が、世襲的な門閥権力化・私権化していきました。このため、土地公有制度の基礎は破壊され、次第に封建社会の形式に進み、税も荘園貴族の支配へと移っていきます。
 日本の税の歴史としては、鎌倉時代、室町時代の中世においては、あまり特質すべきものは無かったようです。
 
 
省略
 
 SHONAN TAX OFFICE
     税理士 中江 博行
     税理士 大野千寿子
     スタッフ一同
P5コーナー
(株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の資産運用、
相続対策業務を行っております。

 
 
消費税総額表示と印紙税
 
 4月1日から、消費税の総額表示がスタートしました。一部で混乱はあったようですが、それほどの騒ぎもなく動き出しているようです。暗算の苦手な人にとっては、支払の時(特に割り勘などの時)に、利点を見いだしたかもしれませんね。
 さて、この総額表示の義務付けを受け、印紙税通達も一部改正されることとなりました(法令解釈通達、課消3-5・課審7-3 平成16年2月19日)。
 その内容は、領収書や契約書等の文書に税込価格と税抜価格の両方を併記した場合には、消費税額等を含まない税抜価格をもとに印紙税額を算定することができるというものです。
 消費税額等を含めて「総額31,290円」を受け取る領収書の場合に、領収金額31,290円とだけの記載では、印紙税 200円が課税されることになります。
 しかし、「税込価格31,290円、税抜価格29,800円」等との記載であれば、記載金額30,000円未満として印紙税は非課税となるというものです。
 具体的には次のような記載であれば、印紙税法上の記載金額は29,800円として、印紙税は非課税となります。
@31,290円(税抜価格29,800円)
A31,290円(内消費税額等1,490円)
B31,290円(税抜価格29,800円、消費税 額等1,490円)
 ただし、31,290円(消費税額等5%を含む)という記載では、取引価額に含まれる消費税額等の金額が必ずしも明らかではないとして、課税文書になりますので注意が必要です。
 
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 編集後記  
 国民年金のポスターに起用された女優さんの年金未納問題が、政治家にまで飛び火。国会内は大騒ぎです。でもこれらの人たちを非難できるのは、ごく一部で、未納者はかなりいるはずです。誰かを援護するつもりはありませんが、仕組みの難しさ、手続きが面倒なこと、そして何よりも広まってしまった年金に対する不信感を何とかしない限り、未納者は減らないでしょう。
 税の問題と併せて、皆がもっと考えていかなければならない問題ですね。

    編集発行 株式会社プランニングファイブ