P5 NEWS      SHONAN TAX OFFICE NO.173
 




 
平成16年2月1日
相続時精算課税制度
 
 平成15年中に贈与を受けた方の贈与税の申告が2月1日(今年は2月2日)から始まりました。今年の贈与税の申告では、昨年創設された相続時精算課税制度を選択する者がどの程度いるか興味深いところです。
 この制度は、昨年のP5NEWSでも既に取り上げましたが、生前贈与を受けた人が贈与時に贈与税を支払い、その後の相続時にその贈与財産と相続財産を合計した価格をもとにして相続税を計算し、そこで計算した相続税からすでに支払った贈与税を控除するという制度です。すなわち、贈与税、相続税を通じた納税をする、つまり両税を一体化するというのが、相続時精算課税制度です。
 ただし、この制度を適用できる人に制限が設けられ、原則として、65歳以上の親である贈与者から20歳以上の子供である推定相続人、つまり親が亡くなった時の相続人になる人に対するものでなければなりません。
 また、この適用を受けるには、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、税務署に制度選択の届出書を申告書に添付して提出しなければならないとされています。すなわち、贈与税の申告書に相続時精算課税の計算明細書をつけ、さらに「相続時精算課税に係る財産を贈与した旨の確認書」、受贈者の戸籍謄本等や贈与者の住民票の写し等、を添付しなければなりません。
 この制度を選択しますと2,500万円までの贈与が非課税になります。すなわち、贈与税だけなら控除額は通常の
110万円より多いため納税額は少なくなりますが、相続税も含めたトータルの納税額となるとケースによっては相続時精算課税の方が納税額が多くなる場合もでてきます。また、一度この制度を適用しますと、相続までこの制度を取りやめることができません。このため、税理士がこの制度の利用を推奨するのは、非常に限られるのではないかと思っています。
 平成15年分贈与税申告から、「相続時精算課税制度」を補足するものとして、相続人が贈与税申告内容の開示を求めることができるようになりました。
 

2月の税務・総務予定
(税務)
*固定資産税第4期分の納付      通常3月1日
*贈与税の申告   
      2月2日〜3月15日
*所得税の確定申告       2月16日〜3月15日
なお、平成15年分の確定申告期間中は、月曜日から金曜日以外でも、東京、神奈川県下ほか多くの税務署では2月22日・29日の日曜日に限り、確定申告の相談・申告書の受付を行います。
(総務他)
*新入社員の受け入れ準備
*給与査定

 
 
平成16年度の税制改正(2)
 
☆土地・建物などの短期譲渡所得課税 の税率の引き下げ
 税制改正(1)でご案内しましたが、保有期間が5年超の長期譲渡所得の税率が、26%から20%(所得税15%、住民税5%)に改正されることになっていますが、5年以下保有などの短期譲渡所得の税率も52%(所得税40%、住民税12%、総合課税による計算との比較がありますが)から39%(所得税30%、住民税9%)に税率の引き下げが予定されています。
☆ マイカー通勤などの場合の通勤手 当の非課税限度額
 会社から支給される通勤手当は、新幹線など交通機関を利用している場合、最高10万円を限度として、1ヶ月当たりの合理的な運賃等の額までが非課税とされています。その一方で、自動車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当は、通勤距離に応じ非課税限度額が異なります。マイカーで片道35Km以上から通勤している人の通勤手当の限度額が16年4月1日以降支給されるものから次のように改正されます。
 
 マイカー通勤の非課税限度額
 (現行)         (改正後)

20,900円又は
運賃相当額*
 
 片道
  45km
24,500円又は
運賃相当額*

  35km
20,900円又は
運賃相当額*
16,100円又は
運賃相当額*

  25km
16,100円又は
運賃相当額*
11,300円又は
運賃相当額*

  15km
11,300円又は
運賃相当額*
  6,500円
 
 
  10km
 6,500円 
 
  4,100円
 

  2km
 4,100円 
 
 全額課税
 

  以下
 全額課税 
 
*10万円限度(出典 税務通信2802号)
 
 改正の話からはずれますが、これにも色々な場合が想定されます。
 例えば、足が不自由な障害者の方が、2km未満の距離をやむを得ずマイカー通勤しても通勤手当は課税されるのかどうかです。電車やバスなどの交通機関を利用する場合には、2Km未満であっても、合理的な通勤定期代などの運賃の額までは非課税とされています。そこで、このような場合にまで、2Km未満の交通用具を使用する場合の通勤手当を課税するでは、納得を得にくいと思われますので、このような場合については、合理的な通勤運賃相当額までは、非課税とされています。
 また、通常でもよくあることですが、営業の人が直接外回りのため、会社の車(社用車)を通勤にも使っている場合があります。この場合にもし通勤手当を支給したらどうでしょうか。
 これは、チョット無理ですね。給与と同様に課税されます。消費税も給与の支給と同じです。
 
☆ 公的年金控除の改正と老年者控除 の廃止
 現在の年金課税は、昭和62年に給与所得課税から雑所得課税に変更され、そのとき、老年者年金特別控除が廃止され、老年者控除額が引き上げられています。
 公的年金控除に対する改正は、年齢65歳以上の者に対する上乗せ措置を廃止するとしています。現在、公的年金控除の最低保障額は65歳未満70万円、65歳以上では140万円ですが、65歳以上の最低保障額を動かし120万円となります。65歳未満では変更はありません。
 公的年金控除額(単位万円)
年金等
収入
 65歳
 未満
  65歳以上
現行 改正
 200  87.5 140 120
 300 112.5 150 120
 400 137.5 175 137.5
  500 153.5 196 153.5
 また、65歳以上に適用されている老年者控除の50万円が無くなりますので、65歳以上の人の納税額は今後増えるのは確かです(概算では、390億円の増税だそうです)。
 
☆ 重要な適用期限の延長
 以前期限を決めた改正がされ、今年度に期限が到来するものも少なくありません。もしそのままで、延長されなければ、元に戻る、すなわち増税となるものも出てきます。
 今回延長される予定としては、法人の土地重課制度、中小企業者に対する留保金課税、宅建業者が取得した一定の新築住宅に係る不動産取得税などです。
 
 省略
 
 SHONAN TAX OFFICE
     税理士 中江 博行
     税理士 大野千寿子
     スタッフ一同
P5コーナー
(株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の資産運用、
相続対策業務を行っております。

 
 
確定申告
 確定申告の時期となりました。今回は、知っているようで知らない確定申告の注意点です。
 
1.未収家賃でも収入に計上?
 家賃等については、収入すべき権利が確定した時に収入があったものとします。ですから、未収であったり、家賃の額について係争中のため供託されている場合であっても、権利が確定していれば収入に計上しなければなりません。
 
2.共有賃貸不動産の事業的規模の
  判定
 アパート等の不動産が2人以上の共有とされている場合であっても、その不動産の全体の貸付の規模で判定します。
(事業かそうでないかで青色控除額に違いが出ますので注意してください)
 
3.医療費の支払が10万円超でないと医療費控除が受けられない?
 医療費控除額は次の算式で求めます。
その年の支払医療費−保険金等で戻ってきた金額−10万円(注)
 =医療費控除額(最高200万円)
(注)10万円と所得金額の5%のいずれか少ない金額
 つまり、所得が200万円未満の場合は、医療費の支払いが10万円以下でも医療費控除が受けられることになります。
 
4.還付申告はいつからできる?
 確定申告は2月16日から始まりますが、還付申告は1月1日からです。
 
5.過年度分の還付申告
 サラリーマン等の確定申告義務のない方の場合には、通常5年間遡って還付申告する事ができます。つまり、今年は平成11年分まで遡って還付請求ができます。
 
1、今月のパソコン教室は、
 省略

 編集後記  
 昨年のSARSに続いて、今年は世界中が鳥インフルエンザの脅威にさらされています。狂牛病で牛肉が心配、鳥インフルエンザで鶏肉が心配。一体安心して食べられるものがあるのでしょうか?立春を過ぎると税務の世界は確定申告に突入します。2月16日から3月15日までの短期決戦ですから、インフルエンザで倒れるわけにはいきません。この一ヶ月は、所長も大好きな焼肉、焼鳥をじっと我慢?&#!
  
  編集発行 株式会社プランニングファイブ