< P5通信2003年3月号

    

    


      
 

 P5 NEWS      SHONAN TAX OFFICE NO.162
 



 
平成15年3月1日
ディーゼル車規制
 
 首都圏の1都3県(神奈川,千葉,埼玉)では,平成15年10月1日から,ディーゼル車規制が実施されます。 これは,該当地内を運行するディーゼル貨物自動車等で,一定の排ガス基準を満たさない車の運行が禁止されるというものです。但し,ディーゼル車でも乗用車は除かれますが,自家用車(白ナンバーのディーゼルトラックなど)も適用になり,走れなくなります。
 この規制は、10月から開始され、新車登録から7年を経過したトラック、バス等に適用されます。この結果、規制値を満たさないディーゼル車には、より低公害な車への買い換えか、指定された粒子状物質減少装置の装着が必要となりました。
 ディーゼル車の使用が多いトラック業界では、規制をクリアする黒鉛減少装置(PM減少装置)を装着する場合の税務処理がどうなるかに注目していました。
 この装置を装着する費用は,1台当たり,30〜50万円もかかるそうです。この支出金について社団法人東京都トラック協会が東京国税局に照会した結果、“修繕費とする”という回答が出たそうで,この費用を固定資産として,減価償却しなくても良くなり,この点は朗報です。
 但しこのように修繕費として費用計上できるとしても装置装着費用に限定されるのはもちろんですが,厳格に適用されるはずです。
 なお,神奈川県では,規制開始時期は、平成15年10月1日ですが,平成16年3月31日までは指導期間とし、知事の運行禁止命令は、発令しないこととなっています。それ以降で,運行規制に違反すると50万円以下の罰金となります。
 また、荷主も、輸送の委託者が運行規制を遵守するよう、例えば粒子状物質排出基準に適合する車両の使用を業務委託の条件とするなど、適切な措置を講じなければならないとされますので,契約書等の変更も必要になるでしょう。
 
 

3月の税務・総務予定
(税務)
*所得税・贈与税確定申告期限(納期限)   17日
*個人消費税の確定申告期限(納期限)    31日
(総務他)
*新年度給与算定
*ホワイトデー対策

 
【ある事例】
 よくある事例です。
 A社は,生命保険会社と,A社の役員であるXさんを被保険者として死亡保険金9,000万円の終身保険契約をして,3,000万円の保険料を一時払いで支払いました。その後,Xさんは,A社を退社し,A社からこの生命保険契約上の権利を退職金の一部として貰いました。具体的には,契約者や受取人の名義をAさんにします。このときAさんの退職金としては,退職時のこの保険を解約した場合に支払われる金額(解約返戻金相当額)の3,700万円と現金で支払われた金額を基に計算しました。
 その後,Aさんは,この契約を解約し,保険会社から,4,000万円を受け取ったというものです。
 この場合には,Aさんは,所得(一時所得)が発生し,申告をしなければなりません。一時所得の計算は,
{(総収入金額)−(収入を得るために支出した費用)−特別控除(50万円)}×1/2
となりますが,
(総収入金額)=4,000万円でいいのですが,
(収入を得るために支出した費用)は,会社が一時払いした,3,000万円となるのか,退職金の計算に使った返戻金の3,700万で良いのかが問題となりました。どちらだと思いますか?
 これは実際にあった事例で,税務署(課税庁)は,一時所得の金額の計算上控除できる金額は、法人が一時払いした保険料に限られ、退職所得として課税された退職時の解約返戻金相当額ではないと言ってきました。納税者のXさんは,それは変だぞとして争ったものです。
 このような税務上の争いは,裁判所に係争する前に,必ず不服審判所で判断することになっていますので,Xさんは,審判所に課税庁は間違っているとクレームを付けました。審判所は,Xさんの主張を認め,収入を得るために支出した費用とは解約返戻金相当額だとしました。
    (平成13年12月12日裁決)
 このように法人から個人へ保険契約者を変更することは,良くあることで,この場合には,解約返戻金で行うこと,そして万一,その後の解約時の所得計算では,この返戻金を使うべきことに注意して下さい。
 ちなみに,審判所の判断と異なる課税庁は,この審判に不服でも裁判所に訴えることはできませんので,これで確定します。
 
【知っておかなければいけない最新税務情報・続続】
 平成15年度の改正で,土地の移転を促進して有効利用を図って貰おうと,登録免許税の改正が打ち出されています。
 特に不動産を購入し、所有権登記を行う際に発生する税である登録免許税が大幅に改正されます。
登記の
種類原因
現行
 改正案
本則 特例
所有権の移転
 売買等
 遺贈、贈与等
 相続、合併

5.0%
2.5%
0.6%

2.0%
2.0%
0.4%

1.0%
1.0%
0.2%
所有権の保存 0.6% 0.4% 0.2%
 
 特例は,平成15年4月1日からの3年間に適用があります。なお,土地については,1/3の特例は廃止されます。また,住宅用家屋を取得した場合の所有権の保存登記等の税率の軽減措置(0.3%)も17年3月まで延長されました。
 
 登録免許税は,意外に馬鹿にできない費用です。
 例えば課税標準(固定資産税評価額で購入価額ではありません)2,000万円の土地を購入した場合の登録免許税は,
 売買日  登録免許税
〜15年3月31日

 
33万円
2,000万×5%(本則)     ×1/3
15年4月〜    20万円
18年4月〜    40万円
 
 課税標準1,000万円の建物を購入した場合
 売買日
 
 登録免許税
住宅用 事業用
〜15年3月31日 3万円 50万円
15年4月〜 3万円 10万円
 結構すさまじいでしょう。
 もっと早く判っていれば・・
  SHONAN TAX OFFICE
     税理士 中江 博行
     税理士 大野千寿子
     スタッフ一同
P5コーナー
(株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の資産運用、
相続対策業務を行っております。

 
一夫多妻制の外国人の配偶者控除
 今,所得税の確定申告の真っ直中。申告の現場では,外国人の申告が増えているそうです。このため,この通信でも昨年は,外国人・非居住者の税金を何度かとり上げました。
 ところで,一夫多妻制の国から日本に出稼ぎに来て、日本人の女性と結婚する外国人男性の申告で問題になることがあります。
 外国人男性のうちに、自分の出身国に複数の配偶者がいるため,「結婚している女性の数だけ配偶者控除が認められる」と思っていた人が少なくなく,数年前まで税務署でもそのように回答した例もあったようです。
 そのためか、国税庁では内部職員に対して外国人の配偶者控除取扱いの周知を図っています。
 配偶者控除とは,「居住者が控除対象配偶者を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額から38万円・・を控除する」(所得税法83条)とし,控除対象配偶者とは,「居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの・・のうち、合計所得金額が38万円以下である者をいう」(同法2条三三)と規定されています。これだけで法律の判断をします・・・が・・・
国税庁は、「控除対象者の数に応じた控除が受けられるという規定ぶりとはなっていない」と説明したうえで、「控除対象者の数にかかわらず38万円しか控除できない」と説明しています。それでは,他の配偶者は扶養親族となるのかという問題がおきますが,配偶者が2人以上いる場合でも、一方の者について扶養控除の対象とすることもできないとしています。
 また,外国においてきた子供についての扶養控除については,「扶養控除の要件として生計を一にするということがあるが、仕送りの事実がありその子供の所得が38万円以下であれば扶養控除の対象になる」とされています。
 
1、今月のパソコン教室は、
 省 略
 

 編集後記  
 確定申告真っ最中の事務所の中は、書類の山です。何から、どう整理していったらいいのか・・・なんて悩んでる暇はありません。とにかくタイムリミットが17日ですから(今年は2日間得した気分です)。飛び交う花粉と戦いながら、奮闘しております。皆様には、何かとご迷惑をおかけいたしますが、宜しくお願いいたします。
  
  編集発行 株式会社プランニングファイブ